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公開 2016年10月20日  

今年は例年より早く流行中の「RSウイルス」感染対策を小児科医と看護師が教えます!

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今年は8月ころから大流行のひどい咳と鼻水がでて苦しいRSウイルス。大人では鼻風邪程度の風邪ですが、2歳以下だと重症化することも多く突然の入院になることもあります。

出典:http://amanaimages.com/info/infoRF.aspx?SearchKey=10568002384

今年は例年よりも早い8月すぎから猛威を奮っているRSウイルス。

今回は小児科医の水野先生と看護師の私、それぞれの視点からRSウイルスについてお話していきます。

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母乳育児・子育て支援でテレビなどにも出演している、小児科医 水野克己先生

大流行中の「RSウイルス」はどんな病気なの?

看護師みなみ:
RSウイルスは、大人では鼻風邪程度の軽い風邪ですが、2歳以下だと重症化することも多いです。
今年はとても流行しているようですね。

水野先生:
そうなんです。
今年は早くから流行し始めて、まだまだ患者さんは後を絶たない状況です。

看護師みなみ:
RSウイルスは赤ちゃんだと、すぐに入院になってしまうことも多いですよね。

水野先生:
ちょっと咳をしてぐったりしているなと病院に連れてきて、そのまま入院になるケースも少なくありませんし、一度受診しても、数日経つと悪化してしまうということもあります。

RSウイルスはどうやって予防したらいいの?

基本は手洗い・うがい・マスク

水野先生:
RSウイルスは接触感染と、飛沫感染、どちらもで感染するので、予防として大切なことは手洗い・うがい・マスクです。
特にマスクは忘れずにつけるようにしてほしいですね。

看護師みなみ:
RSウイルスは、アルコールで死滅する菌なので、おもちゃやドアノブ、テーブルなどこまめに拭くのも効果的です。

上の兄弟の送り迎えにも要注意!

水野先生:
上の兄弟が幼稚園や保育園からもらってきて、赤ちゃんに感染するというケースが多いので、保育園や幼稚園のお迎えの時は、下のお子さんは抱っこしていくのがよいと思います。
「わー赤ちゃんだ〜」とウイルスのついた手で触れられることも防げますからね。

お子さんが1歳未満の場合には

①人混みを避けて、風邪症状の人とはなるべく接触しない
②マスクは必ず着用してもらう
③食べ物のシェアはしない

この3つにも、ぜひ気をつけてほしいです。

RSウイルスかも?受診の目安は?

機嫌が悪い時は要注意!

看護師みなみ:
RSウイルスは鼻水が多くて、咳もかなり苦しそうですよね。
病院に連れて行く目安はどう判断するとよいでしょうか?

水野先生:
以下の症状を参考にしてみてください。

▼要注意、早めに受診してほしい症状

①苦しいので機嫌が悪く、泣いてばかり

②アップアップして飲めない

③呼吸を休みがちになる

「咳がでて苦しそう」、「飲めていない」、「ぐったりしている」時は早めに受診を

▼受診の目安となる症状

①咳をして苦しそう

②鼻水がでて、いつもよりもおっぱいやミルクを飲めていない

③おっぱいやミルクを飲んでも、咳とともに吐いてしまう

④授乳しても、すぐに眠ってしまう(いつもと様子が違う)

⑤授乳してもおっぱいの張りが取れず、ほとんど飲めていない


看護師みなみ:
気になる時にはかかりつけ医にすぐに診てもらうといいですね。

実際にRSウイルスで入院になってしまったら…

100日未満でRSウイルスに感染すると25~30%が入院

看護師みなみ:
日本のデータでは生後100日未満のお子さんでRSウイルス感染があった場合、25~35%の赤ちゃんが入院となっています。
突然の入院に涙される親御さんがたくさんいらっしゃいます。

水野先生:
そうですね。親御さん自身も、ウイルスにかかっていることも多くあります。
お子さんのことが心配だとは思いますが、感染が往復しないようしっかり休んで元気になってほしいですね。

お母さんが感染しても母乳への影響はない

看護師みなみ:
入院になった時に一番相談が多いのが、おっぱいのことです。
「自分もRSウイルスの症状が出ているような気がするけれど、母乳にウイルスがでたりしないか」と心配になる方が多いのですが、母乳に影響はありますか?

水野先生:
母乳にウイルスが出ることはありません。
安心して飲ませていただいて大丈夫です。

むしろ母乳には、免疫成分もたくさん含まれていますし、感染した状態で出る母乳には特異免疫がついて、最適な状態なんです。

看護師みなみ:
おっぱいを飲まないからといってそのままにしていると、乳腺炎になるばかりでなく、母乳の分泌量も落ちてしまいますので、なるべくこれまでと同じ回数、出るだけ搾乳するのがおすすめです。

RSウイルスにかかった時、家でできることは?

家庭内で感染を広げないことが第一

看護師みなみ:
入院にはならなかったけれど、RSウイルスにかかって看病をするという時に気をつけたほうがいいことはなんでしょうか?

水野先生:
やはり、家庭内で感染を広げないことは大切ですね

①鼻汁を触ったら手洗いするか、しっかりアルコール消毒すること、
②咳や鼻水など症状がある時は赤ちゃんはマスクできないので周りがマスクを着用すること
③食べ物をシェアしないこと

このあたりは、しっかり対応していただくといいかなと思います。

授乳の時にできる工夫

看護師みなみ:
RSウイルスにかかると鼻水がつまっていることが多いと思います。

①授乳をする前に鼻水をとってあげ、上体を高くしてあげる
②こまめにげっぷをさせる
③飲み終わってから長めに抱っこ(縦抱きや上体を起こした横抱き)をする

これに気をつけることで、母乳を飲みやすくしたり、吐き戻しを防ぐことができるので授乳の時に工夫してみてくださいね。

赤ちゃんが元気になるために大切なこと

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赤ちゃんとのスキンシップがおすすめ

看護師みなみ:
お子さんがRSウイルスにかかった時、「何もできなくてごめんね」と涙ぐむ親御さんも多いのですが、親御さんのスキンシップほど効果テキメンなものはないと思います。

水野先生:
そのとおりですね。
親御さんとのスキンシップは、とっても大事ですし、お子さんの元気の源です。
なるべくなら、素肌と素肌もよろしいかと思います。

私も病院に来たお子さんに、おでこをくっつけて「お父さんお母さんもあなたを思っているし、早く元気になるんだよ〜」と言っています。

不安な気持ちでいるよりも早めの受診を!

水野先生:
どうしようと不安な気持ちになったら、気軽に受診してくださいね。

完全にRSウイルスに感染しないことはできませんが、できることを知っておくだけでも気持ち的には変わりますよね!
できることはしながら、楽しく子育てしてほしいと思います!

看護師みなみ:
重症化もしやすく、心配なRSウイルス。
予防と早い受診、そして、親御さんのスキンシップもしながら、早く元気になってほしいですね!
水野先生、今日はありがとうございました!

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