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公開 2015年11月28日  

お友だちと園外で遊ぶ子どもが20年で半減!?その背景とは

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ベネッセが調査をしている「幼児の生活アンケート」より、20年の間で子どもを取り巻く環境や親の子育て観に変化があることが分かりました。
この調査から皆さんは何を思いますか?


ベネッセ「幼児の生活アンケート」

「幼児の生活アンケート」は、乳幼児の生活のようすや保護者の子育てに関する意識と実態を調査するため、ベネッセ教育総合研究所が1995年から5年おきに実施している調査。
第五回目になる今年は、0歳6か月から6歳の未就学児童をもつ保護者4,034名の方を対象に行ったそうです。

調査項目は、子どもの基本的な生活時間や習い事、遊び、母親の教育観・子育て観、子育てで力を入れていることなどで、20年の間でどのように幼児の親子や幼児を取り巻く環境に変化があったのかが分かる、とても興味深い結果が出ていました。

園以外で友だちと遊ぶ子どもが半減、母親との時間が増加

調査の結果、20年間でもっとも変化が大きかったのは幼児を取り巻く環境についてでした。

『平日に幼稚園や保育園以外で誰と遊ぶか?』というアンケートでは、「友だち」と回答した人が20年前は56.1%だったものから、27.3%まで減少。
一方、「母親」と遊ぶことが多いと回答した人は55.1%から86.0%に増加しました。

友だちと一緒に遊ぶ子よりも母親と遊ぶという子が増え、親子の関わりが密になってきているようです。

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平日(幼稚園や保育園以外で)一緒に遊ぶ人

このような変化が起きた背景には、いくつか要因があるのではないかと思いました。

・保育時間の増加
保育園の保育時間、幼稚園の預かり時間の増加により、そもそも子どもが平日遊べる時間が減っているのかもしれません。
保育園に通う子の中には、1日のうち12時間近くを園で過ごす子もいて、家には寝に帰るという子もいるのが現状です。

また、習い事をしている子も増え遊ぶ時間よりも習い事などに時間を費やす子が増えているのかもしれません。

・安全に遊べる場の減少
公園などの遊び場自体には減少はみられませんが、子どもたちが安心して遊べる場所、遊びに行きたいと思う場所が減っているのかもしれません。

また親も、子どもだけで公園に遊びに行かせるのは危険だと考える人が増えていたり、仕事をしているため子どもを公園などの遊び場に連れていく時間がないという人も多いのではないでしょうか。

・遊びの内容の変化
昔は、おにごっこやおままごとなど集団遊びが主流でしたが、現在はテレビゲームやDSなどのポータブルゲーム機で遊ぶ子が増え、遊び相手がいなくても、遊びが完結するものが増えているように感じます。

人間関係の学びより「知的教育」を重要視、園への要望にも変化

調査結果のうち、子どもの遊ぶ環境が変化したことのほか、こどもが幼稚園や保育園で過ごす時間が長くなったことにより、園に求める要望や、親の子育て観にも変化がみられています。

『子育てで力を入れていること』で、「友だちと一緒に遊ぶこと」を回答した者は25.6%から19.6%に減少しており、その一方で、「数や文字を学ぶこと」、「英語を学ぶこと」などの、知的教育分野への取り組みが少しずつ増えてきています。

また、『幼稚園や保育園への要望は?』という問いへの答えも「集団生活のルールを教えてほしい」・「子どもに友だち付き合いが上手になるような働きかけをしてほしい」とする回答が減少傾向にあり、「知的教育を増やしてほしい」とする要望は増加傾向にあるという結果がでました。

確実に子どもたちの生活の中心になってきている「園」。

社会性を学ぶ一機会として園を捉えていたところから、昔は親の責任とされていた部分まで、この20年で園の役割も大きく変わってきているようです。

子どもを取り巻く環境の変化。私たち大人が心に留めておきたいこと。

あなたは、この調査結果を見て何を感じましたか?


私は、女性の社会進出や核家族化など、様々な社会環境の変化が、そのまま子どもたちを取り巻く環境にも変化を及ぼしているということを、改めて感じました。

きっと、これからもどんどん社会の在り方は変わっていくと思います。
その中で、私たち大人が心に留めておくべきことは、「その影響を子どもたちも受けている」ということなのかもしれません。

私たち大人にとってはたった5~6年という時間も、子どもの育ちにはとても大切な時間になります。
子どものことをないがしろにして、大人の都合だけで社会が進んでいかないように意識していきたいものです。



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