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公開 2016年01月02日  

電車で席を譲ってもらった妊婦は大人しくしてるべき?

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ツイッターでのある投稿に多くの人の賛否が寄せられています。今回は、片道2時間弱の電車通勤をしながら妊娠期を過ごした私の経験を踏まえ、意見を綴ります。


妊婦だった私にとって、満員電車は地獄のようでした

私はかつて、片道2時間近くかけて電車通勤をしていました。それでも妊娠するまでは、疲れている時に座れなくてもそんなに大変だとは思わずに過ごしていました。

しかし妊娠が分かってからは、つわりも始まり、立って通勤することが困難になりました。つわり期間はとにかくツラくて、電車内の些細な匂いでも気持ち悪くなり、立っていられないほどのめまいや腹痛に襲われていました。結局その後、なにも食べられず「妊娠悪阻」になってしまいました。

電車に乗っている時に具合が悪くても、妊娠初期はお腹もぺったんこで目立たないため、席を代わってくれる人はほとんどいませんでした。妊婦の私にとって、電車通勤は地獄のようでした。

電車で席を譲ってもらった妊婦は大人しくしてるべき?の画像1

中には席を譲ってくれる方もいますが…こんな声が上がっているようです

以前、ツイッターでこのような投稿があり、沢山の意見が上がっています。

この投稿を見たとき、私は自分が妊婦だった頃を思い出しました。

確かに、席を譲ってもらった後にどう過ごしていたらいいのか、困った経験があったからです。

前述した通り、私の通勤時間は長く、乗り換えも3回。

1つの電車に乗っている時間は、長いもので50分ありました。短時間ならじっと座っていることもできますが、これだけ長時間ともなると、何もせずずっと座っているのも辛いものがあります。

しかし、何度この投稿を読んでもしっくりこないのですが…。

そもそも席を譲ってもらった者は、何もせず大人しくじっとしていなければいけないものなのでしょうか?私は、そこに疑問を覚えました。

妊婦であろうと乗客の1人。マナー違反でなければ自由に過ごす権利があるはず

電車で席を譲ってもらった妊婦は大人しくしてるべき?の画像2

確かに、席を譲ってもらうのはとてもありがたいことです。譲ってもらわなければしんどくて、立っているのがやっとの状態だったかもしれません。

しかしこの投稿に出てくる妊婦さんは、この時もしかしたら、会社や家族に連絡しないといけない事情があったのかもしれません。席に座ることでようやく落ち着くことができ、スマホを使って連絡しただけなのかもしれません。それをこのツイートのように批難されたら、誰だって悲しくなりますよね。

人にはそれぞれ事情があります。なんでもできる便利なスマホなだけに、この乗車時間を使って仕事をしていたのかもしれないし、遅刻しそうで乗り換え案内を調べていたのかもしれないし、具合が悪くて目的地近くの病院を探していたのかもしれない。それは本人にしかわかりません。

席を譲ってもらったという事実。でも「譲った者」と「譲られた者」、そこに上下関係は存在しません。これは妊婦に限ったことではなく、怪我や病気で体が不自由な人や高齢者であっても、席を譲られたからといって何もせずじっとしていなければならない、という決まりはないのです。

譲った方も譲られた方も、お互いを思いやろう

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https://www.pakutaso.com/userpolicy.html

しかしながら、この投稿をよく読むと、具合が悪そうだった妊婦さんが、座った途端スマホでゲームをし始めたら…「席を譲らせるための演技だったのかな?」と思ってしまうのも無理のない話です。お互いが気持ちよくいられるためには、やはり譲ってもらった後の行動も大切だ、ということも頷けます。

席を譲った方は、譲った相手がどんな行動を取ろうとも、マナー違反や明らかに悪意ある行動でない限りは、大きな気持ちで見守ること。譲った相手はたまたま嫌な人だったかもしれないけれど、席を譲ったというその行動は素晴らしいことであり、またその気持ちは尊いものです。

善意ある行動は、見ている人はきちんと見てくれています。従って、譲った相手にそれ以上のことを求めるべきではないと、私は思います。また席を譲ってもらった方も、相手に感謝の気持ちを持って、ありがたいことだと思っていれば、それは自ずと相手にも伝わるはずです。その上で、スマホを使ったり読書をしたりしていても、感謝の気持ちが見えていれば相手が気を悪くすることはないように思うのです。

今回のツイートの根源にあるものは、「相手への思いやりや配慮の欠如」だったのではないかと考えます。

公共の場でお互いが気持ちよく過ごすためには、いただいた優しさに対しての感謝や、相手への敬意を示すことが大切です。それが自然とできれば、優しさと笑顔の連鎖が広がっていくのではないでしょうか。

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