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公開 2015年08月10日  

【体験談】場面緘黙症の末っ子を「かわいそうな子」にしないために、保育園の先生が言ってくれたこと

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我が家の末っ子は場面緘黙症。登園した時にお友達や保護者の方に挨拶をされてもすべてノーリアクションな娘について、他のお母さんたちに伝えておきたいと申し出た私たちに、保育園の先生はこんな風に言ってくれました。


他の保護者の方に、末っ子のことを理解して欲しいという願い

わが家の末っ子は場面緘黙症と診断され、保育園の先生と今後について話を進めていく中で、どうしても先生にお願いしたいことがありました。それは他の保護者の方々に娘が場面緘黙症であることを伝え、日々の娘の態度に理解を示して貰いたいということ。



娘は、朝登園した時にお友達や保護者の方に挨拶をされてもすべてノーリアクションです。その無反応さたるや、せっかく挨拶をしてくれた人の存在自体を無視するかのような態度で、隣で代わりに挨拶をする私はいつも肩身の狭い思いをしていました。



発語したくてもこの場では発語ができない状況を理解しているので「ほら、ちゃんと挨拶しなさい」と娘に挨拶を促すことは出来なかったのです。常に挨拶をしてくださる方や娘のお友達に申し訳ない気持ちでいたので、場面緘黙症という症状を伝えて理解してもらえたらどれだけいいだろうかと感じていました。

他の保護者に伝えることへの先生の見解

先生は、私たちの思いを一通り聞いてくださり、保護者への伝達は「反対」の立場に立たれました。



「教育を専門的に学んできている私たちと、差別ということを知らないそのままの彼女を受け入れてくれる子ども達とは違う、別の考えがそこに生まれてしまう可能性がある。子ども達は、挨拶をしないしお話もしないし踊りも踊らないけど、それが娘さんなんだ、と何の差別もなしに彼女と付き合えます。ただ、そこに大人の物差しが入り、悪意がなくても大人たちから『娘さんは病気なのよ。かわいそうな子なのよ』なんて言葉が伝わったら、親の言うことを素直に聞く子たちは『あーそうなんだ!あの子はかわいそうな子なんだ!』という認識を持ってしまう。それは私たちは避けたいと思っています。」



そのように、先生はお話されました。

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親の都合を一度どこかに置いておく

先生の見解を伺ってとても恥ずかしい気持ちになったことをよく覚えています。娘を理解してもらうことよりも、挨拶をしない子どもを横目にどこか気負いしていて、挨拶ができない子を育てているわけではないと、親としてのプライドを守ろうとしていたのではないかと自分を省みました。



先生に相談しなければ、あと少しで、娘を「かわいそうな子」にしてしまっていたかもしれません。

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娘が通う保育園の先生は、親と子どもどちらの立場も理解してくれて、何より子どもにとって一番の選択をしてくれるのだと思います。見え隠れする親のエゴや子どもの思いを、上手にすくい上げてくれることに、とても感謝しました。

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