ワーキングマザーで多忙だった私の母。
仕事と家事に追われながらも、就寝前の子どもたちへの読み聞かせだけは欠かしませんでした。
学生時代勉強が苦手だった私ですが、国語のテストだけはいつも高得点でした。
読書する習慣があったことで、自然と読解力や文章力が身についていたのかもしれません。
読書によって知識を得たり勇気をもらったり……。
これまで私は勉強以外でも、いろいろな場面で本に助けられてきました。
だから娘も本好きになってくれたらいいな。
そう思っていたのです。
娘に本の楽しさを知ってほしいとの想いから、これまでいくつかのことを心がけてきました。
まずは読み聞かせ。
私が住んでいる地域の自治体ではブックスタートという取り組みがあり、4ヶ月健診で絵本をプレゼントしてくれます。
それを機に、わが家でも4ヶ月ころから読み聞かせを開始。
まだ言葉の話せない赤ちゃんへの読み聞かせですから、精一杯抑揚をつけてジャスチャーを交えて読んでいました。
私の声に反応して、バタバタしたり叫んだりしながら絵本に見入っていた娘を思い出します。
親子の大切な時間でした。
1歳頃から、月に1度は娘と一緒に図書館に行くようにしています。
家族にとって図書館は、気軽に行けてお金もかからない楽しい施設。
いつしか借りた本を娘に読み聞かせするのが習慣になりました。
ところが、年長さんのころから「もう赤ちゃんじゃない!」と読み聞かせを拒むようになったのです。
このボイコットにより娘が本に触れる機会は徐々に減っていきました。
いろいろな本を読んで、読書の楽しさを知ってほしいと考えていた私は寂しく感じましたが、これも成長の証。
娘が望んだときに再開すればいいか、と見守ることにしました。
それからしばらくが経ったころ、娘に変わったクセがあることに気がついたのです。
娘は朝起きてくるとリビングで寝転がり、数十分ゴロゴロします。
そして、そのゴロゴロタイムには必ず、近くにある紙面を手にとり何かを読みだすのです。
たとえば電気屋さんの広告とか、パンフレットとか……活字なら、なんでもいいようでした。
「どうせ読むなら絵本を読めばいいのに」
という想いから翌朝、娘の定位置に本を置いてみました。
すると娘は、置いてあった本に手を伸ばし読みだしたのです。
次の日からは毎朝違う本を置いてみることに。
チラシではなく絵本を読むようになったことで、以前は目を通していただけの読書が朝の楽しみに変わっていったようでした。
起きてリビングに入ってくるなり本めがけてまっしぐら。
次第に、自分で好みの本を出して読むようになりました。
読書が習慣になった娘でしたが、本の好みは私とは違うようでした。
私が面白そうと思って購入してもパラパラッとめくっただけで
「好きじゃな~い」
と興味を示さないこともしばしば。
どんな本を用意してあげたらいいのだろう。
新しい本を買うことが減ったため、娘は家にある本を繰り返し読んだり、図書館で何度も同じ本を借りたりしていました。
そんなとき娘が「学校の図書室で借りた!」と、一冊の本を持ち帰ってきたのです。
ティーンエイジの女の子たちが謎解きをしながら事件を解決していくストーリーだそうで、表紙には少女漫画風のイラストが描かれていました。
娘は着替えるなりすぐさま読み始め、長時間没頭。
こういう本が好きなんだ!
好みを知った私は図書館に行ったとき、司書さんに同じジャンルの本を紹介してもらうことにしました。
やはりプロ。
次々と似たような本をもってきてくれて、娘もご満悦でした!
司書さんに紹介してもらってからは、図書館で借りられる12冊限界まで本を借り、1週間足らずで読み切ってしまうようになりました。
リビングには常に図書館の本が山積み。
片付けたい……との思いもあり、娘専用の小さな本棚をリビングに置くことにしました。
大好きな本の、可愛い背表紙が整列しているのが嬉しかったようで娘はニコニコ。
その日から本棚のとなりが読書スペースになりました。
その後はますます本好きが加速!
朝の30分ほどの読書と、帰宅後の読書。
宿題とピアノ練習の合間の5分休憩でさえ本を読み、すっかり本の虫です。
夫も含め家族全員が本好きなので、1人1冊本をもってピクニックに行ったり
本の話で盛り上がったりと、読書が家族のコミュニケーションも深めてくれています。
私のちょっとした行動が娘を本好きにしたのか、もともとの気質なのかはわからないけれど
着替えや食事も忘れて何十分も読み耽る娘を見ていると、熱中できる趣味が見つかってよかったねと思います。
これからもっと多方面に興味が広がっていくだろうけれど
いくつになっても親子で読書トークできたら嬉しいな、と淡い期待を抱いています。