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公開 2015年12月16日  

産科医が伝授!子宮筋腫と診断された時、チェックしたい3つのポイント

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婦人科疾患の代表格であり、不妊症の原因にもなりうる「子宮筋腫」。目に見えないほど小さい筋腫も含めると、じつに女性の7割以上が子宮筋腫を持っているといわれています。今回は、子宮筋腫と診断された時に必ず確認しておきたいポイントを解説します。


子宮筋腫ってどんな病気?

胎児を育てる場所である子宮は、筋肉の塊です。その筋肉の一部が大きくなってしまい腫瘍になる病気、これが「子宮筋腫」という病気です。30歳以上の女性の20−30%が、子宮筋腫を罹患するといわれています。顕微鏡的な小さい子宮筋腫を含めると、なんと75%もの女性が、子宮筋腫を持っているともいわれます。

このように非常に一般的である婦人科疾患のため、子宮がん検診などで超音波検査を行った際に、子宮筋腫であると告げられる事も少なくありません。基本的には良性腫瘍であり、毎月の生理に関連するホルモンによって段々大きくなります。そして、たとえ子宮筋腫があったとしても、全員に症状が認められるわけではありません。

子宮筋腫により起こりうる症状は?

では、子宮筋腫によって起こりうる症状には、一体どのようなものがあるのでしょうか?

子宮は妊娠を成立させる臓器であり、「子宮内膜」という胎児のベッドの役割をする部分が、毎月厚く整えられるようになっています。

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この子宮内膜が毎月剥がれて外に排出される現象が「生理」です。しかし子宮筋腫によって、子宮内膜が長く伸ばされるような事があれば、そのぶん月経血の量が増えてしまい、「過多月経」が引き起こされます。

また、生理の際の子宮収縮は、子宮内膜から作られるプロスタグランジンというホルモンが作用しています。子宮筋腫があると子宮内膜量が増えるため、プロスタグランジンも同時に増え、「月経痛が強くなってしまう」原因となります。

さらに上述したように、子宮内膜は胎児のベッドの役割をするため、子宮筋腫によって子宮内膜が変形しすぎてしまうと、妊娠成立が難しくなって「不妊症」になる可能性もあります。

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また、子宮の前面・背面には膀胱や直腸が存在するため、あまり大きな子宮筋腫があると、頻尿や無尿、排便痛などを引き起こすこともあります。

子宮筋腫と診断されたら…チェックしておきたい3つのポイント

これまでの説明をまとめると、子宮筋腫は非常に一般的な病気であり、子宮内膜やその近くの臓器である膀胱・直腸などに影響を与え、様々な症状をきたすことが分かります。

では、子宮筋腫と診断されたら、まずどうすればいいのでしょう?
子宮筋腫と診断された場合、必ずチェックしてほしい3つのポイントがあります。これらをまず医療機関で確認し、今後どのように対処・治療していくかを考えていきます。

1:大きさ

大きさだけで手術をするのかどうか決まることは稀ですが、一体どれくらいの大きさの子宮筋腫を持っているのか?という点を把握することは非常に大切です。
手術を選択しなかった場合は、半年~1年おきに経膣超音波で筋腫の大きさの変化を観察しますので、しっかりと把握しておきましょう。

2:個数

子宮筋腫を持つ方の半数以上が多発性であるといわれています。子宮筋腫と診断された際は、筋腫の個数にも気を配ることが必要です。

3:位置

最も重要なポイントは、子宮筋腫の位置です。子宮筋腫はできている位置によって、以下の3つに分類されます。

①筋層内筋腫
②漿膜下筋腫
③粘膜下筋腫

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先ほど説明したように、子宮筋腫による症状は子宮内膜に起因するものが多いため、たとえ大きな筋腫があったとしても、子宮の外に発育するタイプだとそれほど過多月経や月経困難症をきたすことはありません。

逆に、子宮内に発育するタイプの筋腫だと、たとえそれほど大きくなくても多大な症状をきたすことがあります。症状は人それぞれなので、その意味でも筋腫の位置を知っておくことは大切です。

まとめ

子宮筋腫は多くの女性が発症する可能性のある病気ですが、症状の有無は筋腫の大きさ・個数・位置が、非常に強い影響を及ぼします。子宮筋腫を指摘された場合は、どんな筋腫がどこに何個存在するのか?ということを、きちんと確認することが大切です。

ほうっておくと、不妊症の原因にもなりかねない子宮筋腫。気になる症状がある方はぜひ医療機関で相談してください。
そうでない方も正しい知識を持ち、もう一度ご自分の体に目を向けてみてはいかがでしょうか。

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