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公開 2015年06月15日  

学校行事で育まれるリーダーシップと新しい学びのカタチ

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文化祭などの学校行事はなぜ大切なのでしょうか。高校生になると生徒たちが自分たちで行事の運営を牽引して進めていきます。学校行事も、子どもたちにとっては大きな成長の機会。現役高校教師が学校行事について「新しい学びのカタチ」という視点から考えてみました。


高校で先生をしています。

初めての記事になります。おかぴーこと岡本眞一郎です。公立高校に32年勤めています。これから高校の話題を中心に、教育や社会に関して書いていきたいと思います。どうぞよろしくお願い致します。さて、私はいま東京大学をはじめとする難関大学に多くの生徒が進学する高校で進路指導を担当しています。



授業は高校3年生の英語を担当しています。新学期もスタートして早くも2か月が過ぎ、中間考査が終わり来週は文化祭が行われます。この時期、高校では体育祭や文化祭を行う学校が多いと思います。

学校行事はリーダーシップを育む場

学校行事は、小学校の時から委員会を組織して先生の指導の下に計画実施しています。高校生ともなると、大部分が生徒たちの自主的委員会活動によって運営されます。例えば、勤務している高校には校内に合宿所があって、文化祭実行委員は文化祭実施の5日前から校内に泊まり込みます。すべての生徒が下校した夜9時半ごろから、毎日各教室を回って違反がないかチェックしたりして、文化祭全体の運営を強力に牽引していきます。



行事が苦手という生徒もいますが、クラスの中でリーダーシップを発揮する生徒が苦手な生徒でも参加できるような係りや役割を上手に割り振りして、クラス全体が一丸となって取り組めるように手腕を発揮してくれます。このあたりの配慮は、小中学校ですと担任の先生がリーダーの生徒に働きかけていく場合が多いと思いますが、高校ではすべて生徒たち自身でやりとりしています。もちろん、学校によってその程度に差はあります。



現在はFacebookなどで卒業後10年20年たった生徒たちが、社会でどのように活躍しているかをうかがい知ることができます。行事でリーダーシップを発揮した生徒たちは、やはり、社会に出ても積極的に仕事に取り組んでいることが多いです。

新しい学びのカタチ

このごろ、先生の一方的な講義を生徒が受動的に学習する学び方から、「アクティブラーニング」「協働(きょうどう)学習」「PBL (Project Based Learning)」など、生徒たちがグループで能動的に学んでいく活動を授業の中心にしていこうという「学び方」そのものが変更されつつあります。



これは、今まで経済活動の中心が工業製品を作って売ることでしたが、これからは「知識」が経済活動のベースになっていく時代に変わるというわけです。今後、社会で必要とされる新たな能力は、新しい課題を発見し、グループで答えを出して解決していくことだと思います。

学校行事は、新しい学びの最前線!?

話を学校行事に戻しましょう。学校は従来から行事を非常に重要な教育活動と捉えてきました。文化祭の出し物を一生懸命に準備している生徒たちを見ていると、先ほどあげた「新しい学び方」というのが実はすでに学校行事の中で行われていることがわかります。



膨大な時間やお金をかけてまで行う学校行事ではありますが、あくまで教育活動であるため「失敗が許される」のです。この点は実社会と最も異なることではないでしょうか。授業での新しい学び方に期待が高まりますが、従来の学校行事も大切にしていきたいものです。



子どもたちが成果を発表する学校行事には、ぜひ、いらしていただき、子どもたちの成果と成長を見ていただければと思います。

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