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公開 2021年01月09日  

「目標」ってないとダメ?改めて考えてみたい「未来と自分」のこと

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『10代の「めんどい」が楽になる本』(内田 和俊著/KADOKAWA)より、その一部をご紹介します。



思春期に差し掛かる「10代」は、様々な場面で生きづらさを感じたり、心がザワザワしたり……。

10代の子どもたちに知っておいてほしい「考え方」や「対処法」をわかりやすい言葉で伝えてくれる『10代の「めんどい」が楽になる本』。

今回は書籍から一部抜粋して、子どもはもちろん、大人も改めて考えさせられる「目標」についてご紹介します。


目標ってなきゃいけないの?

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マンガ・石山さやか

目標ってなきゃいけないの?

「ある」のと「ない」のとでは、どっちがいいかの二者択一で訊かれたら、確固とした目標はあった方がいいでしょう。

それによって生活にハリが生まれます。

でも、10代の頃は、私は目標なんかなくてもいいと思っています。

あと、10代の頃って、感受性が強くて、発想も柔軟な時期なので、目標がコロコロと変わったりしがちですが、私はそれが当然だと思っています(大人たちはコロコロ変わることに関して、極めて否定的だけれど……)。

ただ、目的はあった方がいいです。

「ん?」と思った人が多いと思います。

まず、「目的」と「目標」の違いを説明します。


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『10代の「めんどい」が楽になる本』より


目的は英語にすると「goal(ゴール)」です。

「死ぬときまでには、こんなふうになっていたい」とか「一生涯を通じて、こんなこと を大切にしていきたい」など、自分が進むべき方向性のようなものです。

漫画の中でナナさんが「自分らしく」と発言していましたが、あれがまさに目的です。


私が中高生時代、不良っぽい生徒が、よく「ビッグになりたい」と公言していたものですが、それもまさに目的と言えるでしょう。

このように、目的とは、漠然としていて、 抽象的なものが多いです。

それに対して、目標は英語にすると「objectives (オブジェクティブス)」です。

目的であるゴールまでの道のりに点在するマイルストーン(中間目標地点)のようなものです。

よく人生はマラソンにたとえられるので、マラソンで説明します。

マラソンは、長くて起伏に富んだコースを走ります。

ランナーは、まずあの曲がり角まで、そこを通過したら、次はあの黄色いビルまで、そこを通過したら、次はあの橋の手前までなど、ランナーそれぞれが目につく中間目標地点を定めて、少しずつ、少しずつ、がんばって走り続けます。

こんなふうにゴールに至る途中に、設定する数々のマイルストーン(中間目標地点)が「objectives (オブジェクティブス)」なのです。


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目標は、目的とは異なり、「研究課題を自由に選べる学校(○○大学○○学部)に入りたい」「自分の能力を最大限にいかせる職業に就きたい(例えば、洋服をデザインする仕事)」など明確で具体的なものになります。

「ちょっと難しい言い方かもしれませんが、目標とは目的を達成するための手段でもあります。

目的は言い換えれば「自分軸」とも言えるものです。

何を一番大切にするか、ここだけは絶対に譲れない、これは自分の人生において優先順位の一位になる、そういったものです。

目的は人生の目指すべき方向性です。これは、絶対にあった方がいいと思います。

冒頭でも私は「目的はあった方がいい」と言いましたが、正確には、「目的を思い出してください」と言った方がよかったかもしれません。

目的はあった方がいいと言うと、がんばって考えたり、どっかから借りてきたようなものを取ってつけたりする人が多いのですが、目的は、もともと自分の中にあるものです。

それを掘り出す作業が必要です。


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実は、性格にも、「資質」という核になる部分があり、これはもともと生まれつき備わっている部分なのですが、それと同様に目的は、自分の中にもともとあるものです。

幼い頃から漠然と大切に抱きかかえてきたものなので、思い出したり、掘り出したりする作業が必要です。

自分の目的が何か、すぐに思いつく人もいるでしょうが、そうでない人は、常にどこか頭の片隅で、気にかけながら、今までどおり普通に過ごしてみてください。

思いもよらぬときに、自分の内なる声が聞こえる瞬間が訪れ、「ああ、これだ!」というものが必ず思い浮かぶはずです。

これだけは、誰に何と言われようが、絶対に曲げたくはないと抱き続けてきた信念やずっと大事に守り続けてきた熱い思いのようなものです。

ですから、基本的にコロコロ変わるものではありません。

一方で目標は、二転三転するのが普通です。

いろんな人と出会い、いろんな体験をして、そこから、たくさんの刺激と影響を受け、何度も何度も形を変えていくことが多いです。

例えば、「たくさんの人たちの笑顔に囲まれた人生を送りたい」という目的があったとします。

そのために中高生の頃は、目標のひとつとして、なるべく早く結婚をして、まず家族を持ちたいと思う人もいるでしょう。

でも、その後、いろんな情報や人に触れ、世界各国を転々としながら救援活動をするような仕事に就くことになり、仮に結婚をしなかったとしても、「たくさんの人たちの笑顔に囲まれた人生を送る」という目的を達成することはできているのです。


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このように、目標とは目的を達成するための手段なので、様々な事情により、変わっても何も問題ありません。

私の知る限りでは、中高生のときの目標を、そのまま大人になってからも持ち続ける人は少数派だと思います。

限られた情報と体験から導き出された中高生時代の目標は、 たいてい変わります。

それはよくも悪くもない、幸でも不幸でもない。ただただ自然なことなんです。

目的さえ明確であれば、目標は自然とハッキリした形になっていきます。

しかも、ほとんどのケースで、どうせ目標は形を変えていきます。

だから、今は別に目標がなかったとしても、大丈夫です。


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「目標」がなくても大丈夫、その一言がなんだか心強い。

子どもたちが、自分の人生の「目的」を自ら意識できると良いですね。

また、10代の方々だけでなく、親の私たちも人生の「目的」を改めて考えてみてはいかがでしょうか。

他にも、「自信が持てないとき」「SNSから離れられないとき」など、現代の子どもたちが抱えてしまいがちな悩みを楽にしてくれるヒントがたくさん。

ぜひ、書籍でもどうぞ。

(編集:コノビー編集部 大塚)


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