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公開 2019年07月19日  

芸人×双子育児の感想は?「一番うれしい瞬間は選べない、だって毎日更新される」

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気になるあの人に、子育てや日々の思いについて聞くConobieスペシャルインタビュー。
第1回はNON STYLE(ノンスタイル)の石田明さん。前夜にバギーを見つめてイメトレから始まるという双子とのお出かけ作戦秘話から、奥さまへの思いまで。前後編に分けてお届けします。


大変よりカワイイが勝る双子育児

── 双子の女の子を子育て中の石田さんですが、お仕事も忙しい中、どのように育児と両立しているのでしょうか?

仕事に行く前と帰ってからは当たり前ですけど、仕事の合間も時間があれば家に帰り、できることをやります。
双子ですから、やっぱり嫁さん1人だと大変だと思うので。

ショッピングモール内の劇場で仕事があるときは朝から家族全員で出かけ、出番前まで一緒にモール内で遊び、出番が終わったらまた合流するという日もあります。
機嫌よく漫才できるので、仕事にもいい影響が出ています。


── 双子の育児はやっぱり大変ですか?

それが楽しいことばっかりで。
生まれる前から「大変だよ」と言われ過ぎて、逆に拍子抜けしています。小さくてかわいい子が2人いるわけですから、たまりません。
常に“映え×2”ですから、写真も動画も撮りまくっています。

性格は全く違うんですよ。
お姉ちゃんはおてんばで同性に好かれるタイプ。
妹は男のツボを知っていて同性から警戒されそうなタイプ(笑)。
いや、よくわかりませんけど。


少し広い家に引っ越したんですけど、いつも2人一緒。ぴったりくっついているのが面白くて。
もうすぐ2歳。
イヤイヤ期に入ったら、こんなのんきなことを言っていられないかもしれませんけどね。


── 担当されている育児はありますか?

担当は決めず、やれるときにやれることをする方式ですが、得意なのは寝かしつけです。
絵本を読んだりしながら、どちらか先に落ちそうなほうを1人ずつやっつけていきます。

あと僕しかできないことといえば、子どもの爪切り。
嫁さんは「怖くてできない」って言うから。

こう見えて僕、はんだごての使い方とかも上手いし器用なんです。
嫁さんが妊娠中の頃、お腹がせり出して自分で足の爪も切れなかったので、僕が切ってあげていました。
そこからずっと爪切り担当です。


── 妊娠中からの徹底サポートが今も続いているということでしょうか。

双子だったこともあり、出産は帝王切開でした。
1週間の入院期間は僕も一緒に病室に泊まり、そこから仕事に通っていました。

生まれて最初の3ヶ月は睡眠時間が全然確保できなくて、今振り返るとやっぱり一番大変な時期だったかなぁ。

母乳だったので、嫁さんが搾乳しておいたのを夜中に僕が温めて飲ませてました。
結局搾乳するのも時間かかるから、そんなに助けにはならなかったでしょうけどね。
夜中の授乳が1回減るくらいで。


── もともと子ども好きだったんですか?

昔から大好きで。
結婚して子どもがほしくてほしくて、5年間待ってやっと授かって。
生まれてきたときはホンマにうれしかったです。

「子どもはかわいいなー」のレベルが全体的に底上げされて、よその家の子どもも格段に好きになりました。
遊び場に行くと、よその子とも真剣に遊んでしまう。

高い高いをしてあげたりして順番待ちの列ができて、ふと見るとうちの子らが“ぽかーん”となってることも。

子どもと向き合うとき、僕は全力で遊びます。
子どもだけに照準を合わせるのではなく、家族全体が楽しくなるようにフル・スロットルです。
すると嫁さんも笑って、子どもも笑って、家全体がいい雰囲気になる。
それが子どもにとっても幸せなんじゃないかなと思ってます。

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1人で双子とお出かけも。前夜のシミュレーションが成否のカギ

── お休みの日はどんな風に過ごされていますか?

家族で遊びにも行きますけど、できれば嫁さんが美容院やマッサージに行ったり自由にできる日にしたいと思ってます。

嫁さんがいない間は僕が単独で2人を見るわけですから、これが試練のときで。
「いいよー、行っておいで」と平静をよそおいつつ、内心はドキドキがバレないよう必死。

2人分の子どもの荷物を持って、めちゃくちゃ重い双子用のバギーも持って、抱っこ&おんぶで出かけますから、1日過ごしたら肩と腰がパンパンです。

戦いは前の晩から始まっています。

お姉ちゃんのほうはお気に入りの毛布があるので、それを忘れないようにセットして。
好きな飲み物や野菜ゼリーはすぐ出せるところに入れて。汚れたらここから着替えを出すとか。

「ああなったら、こう」っていう動きを、前の晩にバギーを見つめながらシミュレーションするわけです。

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これをやっておくと、翌日の動きが全然違ってくる。
子どもとお出かけする際は、「前日に脳内予行演習はしていった方がいい」とパパたちに伝えたいです。


── 双子ちゃんをパパ1人でケア……かなりハードルが高いですね。

僕の休みは平日のことが多いので、公園に行くと近所の保育園の子どもたちとか親子もいるんです。

僕が大変そうにしているもんだから、「あっぷあっぷになっとるお父さん、おるなー」って感じで、保育園の先生や他のママさんたちが助けてくれる。
1人を追いかけてる間、もう1人を見ててくれたり。
ありがたいです、ホンマに。

子育てが始まってから、財布の持ち方も変わりました。

子どもが生まれる前は長財布をお尻のポケットに入れてましたけど、ボールプールで遊ぶときに落ちるんで、今は斜めがけのサコッシュを愛用しています。
財布もお菓子も全部パッと出せて便利です。
抱っこしててつらくなったら、そこにちょっと体重のせてラクしたり。
めちゃ活用してます。


── お子さん2人の好きな遊びやブームみたいなものはありますか?

DIYごっこのおもちゃにドリルとネジがついてくるんですけど、それで遊ぶのかと思いきや、ネジを大量に集めてフライパンで炒めるのがブームです(笑)。
1人が炒め役、1人が食べる役で「おいしー」とか言って、おままごとをしてます。

僕は食べる役で入ることが多いんですけど、なぜか炒め役をやるとシラーっとするんですよね。
「それ、ちゃうやろ」って顔される……なんでかな。

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うれしいことが多すぎる

── お子さんが生まれて、一番うれしかったことは?

一番うれしかったこと……? うれしいこと多すぎません? 毎日更新されません? 一番が決めらへんなぁ。

そういえば先日、お姉ちゃんと2人でアンパンマンの映画を観に行ったんです。
妹のほうは体調が悪くて嫁さんと留守番してて。

前に家族で観たことがあるので2回目だったんですが、歌に合わせてみんなでマラカス持って踊る場面があって。
1回目のときはうまく踊れなかったのが、2回目では完全に踊りこなしてて、成長に驚きました。

僕の膝の上でポップコーンを食べながら映画を観てたのですが、2回目だから自分にとって重要じゃないシーンを判断して、そのタイミングで後ろを振り向いて僕の口にポップコーンを入れて食べさせてくれたりも。

たまらなかったです。これが直近のうれしかった出来事ですかね。

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── 双子だと、子育ての苦労話もたくさんあるのでは?

夫婦2人だと、どうにもならないこともあります。

たとえば、僕は仕事、嫁さんも病院、義父母も用事があるという手も足も出ない日。
そういう日は地域の方がやってらっしゃる保育施設に預けるんですが、預けた途端に子どもたちがギャン泣きするんです。

全然その場を離れられなくて、後ろ髪引かれる思いで仕方なしに仕事行きますけど。
たいてい僕が預け役で、嫁さんがお迎え役。
つらいところだけ担当しているのでホンマにつらいです。

普段からもっと頻繁に利用していれば子どもも慣れてくるんでしょうけどね。

義母に燃やした謎のライバル心!?

── ご両親にSOSを出すこともありますか?

僕の両親は大阪にいるので難しいですが、嫁さんの両親は近いのでよく来てくれますよ。
特に生まれたばかりの頃は、お義母さんがいないと回らなかったので、助かりました。

実の親子でも子育ての方針を巡って意見が対立するという話はよく聞きますが、うちは近過ぎず、遠過ぎず、いい距離感みたいです。

ただ、お義母さんがよく来てくれていた頃は、僕としては複雑な思いも。
お義母さんよりは子どもに好かれたいという必死な思いがありまして。
でも忙しくて子どもの面倒を見られない日が続くと、お義母さんのほうになついてしまい、勝手にライバル心を燃やして地団駄を踏んだことも……。

今は子どもたちも僕をお父さんと認識してくれて、自信回復しています(笑)。

やっぱり朝起きたときと夜寝るときに一緒に過ごす人というのは、子どもの中で大きいみたいです。
朝と晩の時間を重ねることで、「この人は家族なんだ」という意識が生まれてきたように感じます。


── 子育てを通して、気づいたことや学んだことはありますか?

何にもできない状態で生まれてきて、人間ってこんな風にいろいろできるようになっていくんだなぁと思いましたね。
子育てをしてると、いろいろ獲得していく過程を目の当たりにするので。

これまで「自分って欠点ばっかりや」と思ってきましたけど、いやいや「ここまでできるようになったんだからすごい」と本気で思うようになりました。

自分は不器用だとか言う人がいるけど、みんな器用ですよ。
何にもできないところから、ここまで成長してきたんですから。
人間のすごさを実感しています。

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ママを本気で笑わせたい

── ご自身で作・演出・主演を手がけた親子向けの舞台を、夏休みに上演されるのだとか?

ママが小さい子どもを連れて行ける娯楽が少なすぎるなと思い、企画しました。

子ども向けの番組やショーはたくさんあるけど、ママが本気で笑ったり楽しんだりできるものって、そんなにないような気がして。

ママって、子どもを見て笑顔になることはあっても、純粋に「笑う」ことって少ないんじゃないですかね。
ショーを観た子どもが、ご機嫌で後ろを振り返ったら真顔のお母さんがいる……みたいな。

だから大人が観ても笑えて、もちろん子どもも楽しめるものを作りたいと思い、昨年から始めた舞台です。
コメディなんですけど殺陣もアクションも本格的で、戦隊ものの要素もあり、ダンスも歌もある。
見どころ満載にしています。


── 子連れファミリーへの徹底した配慮もあるようですね。

子どもが怖がらないよう音量を小さめにして、照明も真っ暗にしないようにしています。
入り口の階段にはバギー持ち上げ係のスタッフがいます。
おむつもS・M・L各種サイズを取りそろえています。

これはうちの子用に使うはずがサイズを間違えて買ってしまって「一生使われへんやん!」となった石田家のおむつコレクションです。
なので全部メーカーが違いますけど、我が家のおむつ選びの変遷を見ていただけるかと思います(笑)。

朝のちょうどいい時間に開演し、上演時間は子どもの集中力に合わせて45分間。
昼前には終わるので、その後、新宿で食事されるといいんじゃないでしょうか。

今はネットで何でも鑑賞できる時代ですけど、子どもたちに舞台やライブなど生のエンターテイメントの楽しさを知ってもらうことで、僕らお笑い芸人の戦いの場を広げていければいいなという思いもあります。


<後編へ続く> 


プロフィール
石田 明
1980年生まれ、大阪府大阪市出身。よしもとクリエイティブ・エージェンシー所属。2000年に高校の同級生・井上裕介とNON STYLEを結成、主にボケとネタ作り担当。爆笑オンエアバトル第9代目チャンピオン。2008年M-1グランプリ王者。近年はお笑い芸人としての活動のほか、舞台への出演や、脚本・演出も。

出演情報
●舞台
幼児・小学生・戦隊ファン向け夏休み企画『ももたろう』
日程:2019年7月22日(月)〜8月8日(木)
会場:ルミネtheよしもと
作・演出・主演 石田明
https://www.yoshimoto.co.jp/lumine/momotaro/

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●全国ツアー
NON STYLE LIVE 2019「Re:争論〜リソウロン」
日程:2019年7月21日(日)〜2019年10月1日(火)
http://nonstyle.yoshimoto.co.jp/

●DVD
『NON STYLE LIVE 〜38サンパチ〜』
2019年7月24日(水)発売

※ この記事は2024年04月09日に再公開された記事です。

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