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【医師監修】産後いつまで安静にすればいい?床上げの期間や産褥期の過ごし方

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産婦人科では、退院後の過ごし方についてあまり強く言われることは無いかもしれません。しかし、母体の回復のためには、産後安静にしておく事が大切です。<監修:直レディースクリニック 竹村 直也院長>

目次 産後の体には大きな変化が起こっている
産後には「床上げ」期間が必要
産後の「産褥期」の過ごし方
産褥期の注意点
安静を確保するには

産後の体には大きな変化が起こっている

産褥期とは?


分娩後から非妊娠時の状態に戻るための期間のことを産褥期(さんじょくき)といいます。

産褥期は出産後約6~8週間とされます。


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産褥期が産後の体に与える影響


産褥期の体の変化として大事な部位は、子宮、骨盤、乳房の3つです。


子宮

妊娠前には握りこぶし大くらいしかなかった子宮は、分娩直前には約30cm超にまで大きくなっています。

産後の6~8週間をかけて、子宮が妊娠前の元の状態にまで戻っていきます。

悪露(おろ)と呼ばれる分泌物が子宮から出ますが、徐々に量が減り、止まります。

これには個人差がありますが、6週間後くらいまでには止まっている人が多いです。


骨盤

妊娠・出産で広がった骨盤の位置が元に戻ろうとします。

骨盤が緩んだ状態で歩き回ったり、赤ちゃんの抱っこなど重いものを運んだりすると、一気に体への負担が大きくなってしまいます。

産後そのまますぐに動いてしまうと骨盤が緩んでしまい尿漏れや便漏れの原因にもなり得ます。

また年を重ねると症状が深刻になることもあります。

これを防ぐためには骨盤を支えている骨盤底筋群という子宮の下にあるハンモックのような筋肉の緩みを防ぐことが大事です。

産褥用の骨盤ベルトで固定したり背筋を伸ばす姿勢を心がけましょう。


乳房

頭からプロラクチンというホルモンが分泌されて乳房から乳汁が分泌されるようになります。

授乳は赤ちゃんの栄養、免疫に役立つのみならず良好な母児関係の確立にも役立っています。

授乳期間中は血中プロラクチン濃度が上昇しており、この間は排卵が起こりづらくなっており生理が止まります。

授乳量が減少したり卒乳することにより生理が再開します。


出産後は赤ちゃんがお腹から出たぶん体が軽くなり、動きやすく感じることがあるかもしれません。

しかし、妊娠出産を経た骨盤は大きく広がり、グラグラの状態になっています。

この骨盤が、日常生活を送れるくらいに締まり安定するのに、約1ヶ月かかるのです。

この時期に、歩き回ったり起き上がっている時間が長いと、どうなるでしょう。

妊娠中はお腹が大きくなるので、骨盤の中はほぼ子宮が占めています。

出産を終えて子宮が縮まると、子宮があった場所には、腸などの内臓が降りてきます。

広がったままの骨盤の中に、この内臓がはまり込んでしまうと、骨盤底筋に内臓の重さが大きく掛ります。

そうなると、腰痛・尿漏れ・だるさなど、様々な症状が出る可能性が高まります。

このように、ママの身体には非常に大きな変化と負担があるのです。


産後には「床上げ」期間が必要

床上げとは?


最近はあまり聞かれなくなった「床上げ」という言葉。

これは、「産後の1ヶ月は布団を敷いたまま、できるだけ横になっていましょう」

「1ヶ月たったころに布団を上げて、家事を再開しましょう」という意味です。

この、布団を上げられるようになった日を、「床上げ」といいます。


床上げの期間はどれくらいがベスト?


少なくとも産後3週間が経過するまでは、できる限り安静に過ごすようにしましょう。

その後1ヶ月健診で医師の判断をあおぎ、徐々に普段通りの生活に戻していきます。


但し、産後の身体の回復には個人差があります。

3週間経過時点で回復が遅い人もいれば、早い人もいるでしょう。


そのため正確にいつ床上げするのがベストとは決められません。

ママの回復状態を最優先に考え、産後4週間以降を目安に床上げの日を決めると良いでしょう。


産後の「産褥期」の過ごし方

どのように安静にすればいい?


産後の1ヶ月は、起き上がっている時間よりも、横になっている時間を長くする事が大切です。

ママがするのは赤ちゃんのお世話だけ。

とはいえ、それだけでもたくさんの時間起き上がっていることになると思います。

赤ちゃんのお世話に1時間かかったら、今度は1時間は横になって休む。

そんな風に心がけると、1ヶ月の安静期間が過ぎた後は動きやすい身体になってくると思います。


産後は、出産の疲れを取るためや、睡眠不足の解消のためだけに休むのではありません。

出産という大きな負担の掛かった身体の状態を元に戻すために、安静にする必要があるのです。


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床上げ後、家事はどこまで可能?


3~4週間以上の絶対安静の状態から、いきなりすべての家事を再開しようとするのは負担が大きいものです。


長時間歩き回ったり、立ちっぱなし、重いものを上げ下ろしするなど、重労働を伴う家事をするのは、床上げ直後は避けましょう。

例えば、買い物で数十分以上の外出、買い物袋を持つ、料理や洗い物でキッチンに立つ、などは要注意。


ほかにも、床拭きや窓拭き、洗濯物を干す、掃除機をかける、浴室やトイレ掃除、上の子の送迎などは、場合によっては身体への負担が大きくなるかもしれません。

家族と協力して回数を減らすなど対策を。


床上げ後ママ自身がつらくなければ、まずは身の回りの簡単な掃除や洗濯ものをたたむ程度の、ごく軽い家事から始めるのが良いでしょう。

いずれにしても、産後3週間以上の安静は確保するようにしましょう。


いつから外出していい?

1ヶ月健診までは、長時間の外出は避けます。

買い物や兄弟の送迎でどうしても外出しなければならない時は、なるべく短時間で済ませましょう。

身体の調子が良ければ、ベランダ・お庭・近所まで軽く出る程度なら良い気分転換になるかもしれません。


1ヶ月健診で問題なく回復しているようであれば、これもまた近所から徐々に短時間の外出に慣らしていくことが望まれます。

1人きりで外出する場合は、出先で急な体調変化があった場合に備えて携帯電話を持ち歩き、家族や病院にすぐに連絡がつくようにしておくと安心です。

くれぐれも無理の無い範囲で、少しずつ外出してください。

産褥期の注意点

産後すぐに動くとどうなる?

妊娠・出産で広がった骨盤の位置が元に戻ろうとします。

骨盤が緩んだ状態で歩き回ったり、赤ちゃんの抱っこなど重いものを運んだりすると、一気に体への負担が大きくなってしまいます。

産後そのまますぐに動いてしまうと骨盤が緩んでしまい尿漏れや便漏れの原因にもなり得ます。

また年を重ねると症状が深刻になることもあります。

これを防ぐためには骨盤を支えている骨盤底筋群という子宮の下にあるハンモックのような筋肉の緩みを防ぐことが大事です。

産褥用の骨盤ベルトで固定したり背筋を伸ばす姿勢を心がけましょう。

また、自分でも気付かぬうちに無理をすることにより、身体だけでなく精神も「産褥期精神障害」という、いわゆる"産後うつ"の状態になる可能性もあります。

家事などのできることはほかの人に任せたりして頑張りすぎないことが大事です。


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産後やってはいけない姿勢


猫背

肩こり・腰痛のほかに、腹圧が掛かる事による尿漏れ・便漏れにつながる可能性があります。

授乳時は特に猫背になりやすいので、授乳クッションなどで負担を減らします。


反り腰

腰痛の原因になります。

赤ちゃんを抱っこしている時にバランスを取るため、反り腰になる場合が多いようです。

立ち抱っこの時はおしりを引っ込める事を意識してみてください。


身体の片側だけに体重を掛ける

足を組んだり、身体のどちらか一方に重心を掛けた座り方や寝かたは、骨盤のゆがみと腰痛に繋がります。

どちらか一方の姿勢がラクに感じても、少し時間を置いたら反対側に姿勢を変えるなど対策を。


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2人目の場合はすぐに動いていい?


出産の負担は何人目でも大きいものです。

2人目以降は上の子のお世話などがあるため、つい無理をしがちですが、産褥期に動くべきではないことには変わりません。

周囲の協力を得て、安静に努めてください。

どうしても動かなくてはならない環境であれば、必要な時以外は常に体を横にしておくなどして、意識して休憩を多く取りましょう。


安静を確保するには


以前は、「里帰り」といえば、産後の安静を守るためのものでした。

しかし最近では実家の親世代がまだ働いていることも多く、昼間に産後のママが家事を担うパターンも少なくありません。

こうなると里帰りの意味がなくなってしまうので注意しましょう。


また、様々な理由から里帰りをしない場合もあるでしょう。

毎日の食事準備や最低限の掃除洗濯をどのように分担するか、きちんと家族で話し合う必要があります。

上の子の園の送迎があるときは、同じ園のお友達にお願いしたり、ファミリーサーポートを利用するなどができるかもしれません。

買い出しは、インターネット注文や定期宅配を活用できるか確認しておく事をおすすめします。


産後のしんどさや回復速度には個人差があります。

産褥期に動いても大丈夫だった体験談や、何とかなったという話を聞いても、そっくりそのまま信じてしまうのは危険です。

産後、こんなにきついとは思わなかった、こんなはずじゃなかった、と悔やむ前に、家事の人手の確保について妊娠中からよく話し合っておきましょう。


何より周囲の人間も、産褥期についてよく理解しておく事が大切です。

妊娠・出産という大仕事を終えた母体を労り、回復に専念できる生活体制を協力して作っていきましょう。


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【監修】竹村 直也先生

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2000年神戸大学医学部卒業後、神戸大学付属病院産婦人科助教、淀川キリスト教病院産婦人科部長を経て、現在は直レディースクリニック院長を務める。

資格:医学博士 産婦人科専門医 母体保護法指定医

直レディースクリニック(https://nao-ladies.com/


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この記事を書いた人
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助産師 柴田星子

助産師、2児の母。
女性が本来持っているカラダの力に興味を持ち、整体の勉強をしているときに妊娠、出産。カラダを整えるコツが分かっていたことで、それ以前に流産し...

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