少し前に話題になった、ある箱をご存知ですか?
フィンランドで1930年代から続いているという、妊娠したらもらえるマタニティパッケージ。
中身はというと、生まれてくる赤ちゃんのためのスターターキットになっていて、洋服やシーツや、おむつ、その他いろいろ、70種類以上のものグッズが詰め込まれているとのこと。
申請をすれば、誰でも無料で受け取れるそうです。
「やっぱり、さすがは福祉大国フィンランド。いいなあ・・・」
「日本はこういう動きがないよね」
といった声が一般的だと思いますが、実は、日本にも希望が持てる取り組みが始まろうとしていることをご存知でしょうか?
人口約540万人のフィンランドに対し、日本の人口は約1.2億人。
日本において、国がこうした方針を打ち出すには少しハードルが高いように感じてしまいますが、特定の地域で、しかも、企業と住民主導のプロジェクトならば、実現できる可能性はグッと高まります。
なんと、そんな取り組みが、横浜市の戸塚区から始まろうとしているのです!!
横浜市で2015年に子育て当事者が実施した1562件のアンケートによると、「待機児童の問題よりも『地域で子どもを生み育てる環境・雰囲気』が重要」という子育て世代の声が見えてきたとのこと。
それを受けて、横浜市戸塚区で活動する「NPO法人こまちぷらす」と、高齢者の見守り支援などを展開している「ヤマト運輸株式会社神奈川主管支店」が、自治体や地域住民と共にプロジェクトを立ち上げています。
国から送られて来る仕組みになっているフィンランドに対し、このプロジェクトでは、老若男女の地域住民が一針ずつ心を込めて縫う「背守り」が出産祝いの中に含まれているなど、「地域の住民が赤ちゃんを迎える」ムードをつくることに重点がおかれているところが最大の特徴です。
※背守りとは、昭和初期まで庶民に広く知られていた産着の背に縫い付けるタイプのお守りのことを指します。
■NPO法人 こまちぷらす 森様
このプロジェクトを通して、「お母さん頑張ってるね」「一人で頑張らなくていいからね」そんな声が店頭や電車の中、街中で溢れていくといいなと思っています。
出産祝いを送ることが目的ではなく、みんなで縫ったり声かけしていく中でうまれる交流や相互理解が大事だと思います。これから関わってくださるみなさんと一緒にそんなあたたかい「空気」をつくっていきたいと思います。
みなさん一緒にこのプロジェクトをつくっていきましょう!
■ヤマト運輸株式会社 神奈川主管支店 石原様
ヤマト運輸のセールスドライバーは、「地域」のお客様に日々育てていただいております。
このプロジェクトに参加することで大好きな「地域」に恩返しをしたい。そんな思いを持っています。
「地域」の一員として、お子さまの誕生を共に歓迎し、お子さまの成長を共に見守り喜ぶ。
多くの方にご参加いただき「地域」との関わり方を一緒に考えていきたいと思います。
「子どもの誕生をみんなで祝福し、子育てを社会みんなが支える文化」を一緒に醸成しましょう!
このプロジェクトは、企業の協賛とボランティアによって支えられています。フィンランドの様に社会保障の一環として税金が使われることはありません。
しかしながら、地域住民を巻き込み、一つの小包を届けるプロセスに多くの人が関わることのできる「ウェルカムベビープロジェクト」は、「国」から物が届くこと以上の価値を、地域にもたらすかもしれません。
まずは2016年の4月から、横浜市戸塚区でスタートしますが、そこでの取り組みが成功した暁には、ぜひ、全国各地で手を挙げる地域住民や企業が出てくるといいですね!
今後の展開に、注目が集まります。