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産後に感じる無気力感や絶望感…「産後うつ」は他人ごとではない。その原因は?

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出産後に気分が沈み、絶望的な気持ちになってしまうことを「産後うつ」といいます。核家族化・少子化・出産年齢の高齢化・地域関係の希薄化などが関係しているといわれ、約11人に1人という割合で、多くのママが「産後うつ」を経験しています。これは決してひとごとではありません。とあるママの経験談をご紹介します。

増加している「産後うつ」

「産後うつ」とは、出産後に絶望的な気持ちや無力感に襲われてしまうことをいいます。涙が止まらない、笑うことができない、赤ちゃんがかわいいと思えない…そのような症状に苦しむママが増えています。

最近では、約11人に1人という多くのママが「産後うつ」にかかっているといわれ、中には発作的に自殺したくなるような重症ケースもあります。過去には、聡明なアナウンサーが産後うつで飛び降り自殺をしたというショッキングな出来事もありました。

産後うつの理由は「ホルモンの大変動」

世間には「産後うつ」に理解がある人ばかりいるわけではありません。

「赤ちゃんが元気に生まれたのに、何で落ち込むの?」「泣いてばかりいて情けない。母親になったんでしょ?」「うつ病になるのは、心が弱いだけなのでは?甘えている!」このように、ママを追い詰める言葉をかける人もいます。

「産後うつ」は、心が弱いからなるわけでもなく、情けない母親だからなのではありません。発症の理由としては、ホルモンの急激な大変動が影響しているのです。

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このグラフを見て分かる通り、妊娠中にゆっくりと増加したホルモンは、産後になって一気に急下降します。

毎月の生理前だけでも「いらいらする」「眠くなる」「食欲が増す」などの変化を感じる女性が多いのですが、このホルモン変化を「ビル20階建ての高さ」と想定すると、産後のホルモン大変動はなんと「エベレストの高さ」に相当するのだとか。

これだけのホルモン大変動が起きているときに、慣れない育児が始まるのです。

あるママから届いたお手紙「私は産後うつでした」

あるママから、「産後うつ」について書いたお手紙を受け取りました。
「私、めちゃくちゃな気持ちでした」と、切ないメッセージがしたためられています。

以下、本人の了承を得て、彼女からのお手紙を引用します。

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私は初めての出産でわくわくしていました。無事に娘が生まれて、お母さんになれたことが信じられなくてうれしくてたまりませんでした。しかし産院から退院してすぐに、ピンク色の世界が真っ暗な世界に変わってしまったのです。

私は「産後うつ」についてよく知りませんでしたが、あとから「産後うつ」について知り、きっとそうだったのだと思います。毎日いろんなことが頭の中をぐるぐるしていて、めちゃくちゃな気持ちでした。赤ちゃんを愛したいのに、かわいいと思えませんでした。真っ暗なトンネルに閉じ込められたような感覚で、このままこの暗闇が続くと思うとぞっとしました。おっぱいを吸わせると乳首に血がにじんで痛むし、母乳が出ないのは母親失格だと思ったら、ますます情けなくなって泣けてきました。

世の中には虐待で赤ちゃんを殺す人がいることが許せなくて、怒りがあふれて涙が止まらなくなりました。そして、もしかしたら私も殺してしまうかもしれないという恐ろしい気持ちにもなって、また涙が出ました。

よく考えたら、私は陣痛が始まってからゆっくりと眠っていないと気が付きました。ゆっくりとご飯を食べることもしていませんでした。会陰切開の傷が痛くてうずいていて、座るのもおっくうで、服を着る気分にもなれなくて、おっぱいが出たままで過ごしていました。

私はいつも笑っている優しいお母さんになるはずでした。でも私は泣いてばかりだったので、こんな母親のもとに生まれた娘を不憫に思えてきてまた泣きました。誰でもできていることが私にはできない。ずっと仕事を頑張ってきたし自信があったのに、私は女性として当たり前の育児すらちゃんとできない。こんな私なんかもう生きる価値もないから死んでしまおうとも思ってベランダから下を眺めていたけれど、飛び降りたらこの子はもっと不憫になると思ってまた泣きました。赤ちゃんが生まれてから、私は泣いていた記憶しかないのです。

誰かにこの思いを聞いてほしかった。仕事に行ってしまった夫が恋しくて、私のことを守ってほしくてたまらなくて叫びだしそうでした。実家の母に子供のように甘えて「大丈夫よ」と言ってほしかった。抱きしめてほしくてたまらなかった。

赤ちゃんが泣くたびに近所の人に虐待だと思われるような気がして、いつも窓もカーテンも閉めていました。でも本当は、近所の人に「かわいい赤ちゃんね」と声をかけてほしくてたまらなかった。お友だちが「元気?」とチャイムを押してくれないかと期待しましたが、実家は遠いのでラインのメッセージだけです。本当は、口が曲がるくらいしゃべり続けて、誰かにこの思いを聞いてほしかったのです。

この体験をどうしても伝えたくて手紙を書きました。

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社会全体で産後をサポートしていけるように

社会全体に「産後うつ」が増えている背景として、核家族化・少子化・出産年齢の高齢化・地域関係の希薄化などが関係していると考えられています。つまり、少子化で「赤ちゃんとの生活」をほとんど知らないまま育児が始まり、核家族で日中1人ぼっちで赤ちゃんと向き合い、「誰でもやっていることだから弱音を言うのは恥ずかしい」と頑張りすぎてしまうママが増えている、ということなのだと思います。

「産後うつ」の増加と地域関係の希薄化は大きく関係しています。昔のように近所の交流が豊かであれば、「あらあらどうしたの?」「何かあったら手伝うから声をかけてね」「ちょっと抱っこしてあげるから少し寝たら?」と見守られ、赤ちゃんの泣き声が響いても安心していられたかもしれません。実際に、昭和の初期には「産後うつ」にかかる人はほとんどいなかったそうです。

産後は、ホルモンが大変動する時期に慣れない育児が始まることになります。そんな時に「助けて」「つらい」と言えるママばかりではありませんよね。

「こんにちは」「赤ちゃん生まれたの?」「かわいいねえ」「手伝えることある?」「何かあったらいつでも言ってね」…。そんなあたたかい声かけをしあえる地域が増えてほしい。そして「元気な赤ちゃんを産んだらそれでおしまい」になることなく、「産後のママ」をサポートできる制度がもっと増えていき、社会全体で「いのちを生みだした、産後」を支えあえるようになってほしい。
私はそう願っています。

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この記事を書いた人

momotaro

埼玉県内の助産院院長。

助産師・看護師として、幸せな母乳育児をアドバイス。
母乳育児支援では「ママにとってのラクチン授乳」と「赤ちゃんの気持ち通訳」を...

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