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公開 2015年10月31日  

僕にとっての【ヒーロー】は、学校で一番のいじめられっ子だった

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小学校4年生のころの僕の友だち。僕にとって彼はヒーローだった。足が早くてすっごいカッコ良かった。走るのが好きな僕にとって一緒に走っていてとても楽しかったし、敵わない相手だった。でも彼には友達がいなかった。当時はなぜそうなのかわからなかった。


目次 小学校4年生のとき同じクラスだった彼
彼は足が速くて、運動会はいつも一番だった
20歳を過ぎた頃、初めて会った彼のお母さん
久しぶりに会った彼はやっぱり九九が出来なかった
見え方で人が変わるなら、皆が幸せになれる見方をしたい

小学校4年生のとき同じクラスだった彼

九九ができない、平仮名が書けない・・・

当時の僕には
皆が「変だ」と思っている理由が分からなかった。

彼は、言葉も途切れ途切れで
誰も彼と会話をしようとしなかった。

けど、僕たちは仲が良かった。

彼は足が速くて、運動会はいつも一番だった

誰よりも早く、ゴールできる彼がかっこよかった。

僕にとって、彼はヒーローだった。

でも

みんなにとって、彼はヒーローじゃなかった。


みんなにとって、彼は悪口の対象だった。
なんであんなにカッコイイのに
ヒーローじゃないのか分からなかった。

20歳を過ぎた頃、初めて会った彼のお母さん

大人になってから出会った、彼のお母さん。
その言葉が印象的でした。


「あ、●●くん、だよね?
 うちの子ね、いじめられてたのよ
 "気持ち悪いくせに走ってんじゃねえ"って

 だから
 走るのは早かったけど
 走るのは好きじゃなかったんだって

 でもきみと一緒に走るのだけは楽しかったって
 ずっと言ってたの

 "今日も走ってくるね"って言ってよく学校に言ってたの

 一緒に走ってくれて本当にありがとうね」

久しぶりに会った彼はやっぱり九九が出来なかった

久しぶりに会った彼。
彼は、中学校にあがっても、大人になっても、
九九ができないらしいです。


僕は「彼のできない所」が見えていなかった
僕は「彼の良い所」が大好きで、彼は「ヒーロー」だった

皆は「彼のできる所」が見えていなかった
皆は「彼の苦手な所」が嫌いで、彼は「悪口の対象」だった


人の見え方によって
こんなに人って変わるんだと思いました。

見え方で人が変わるなら、皆が幸せになれる見方をしたい

もし、みんなが
お互いの良い所、素敵な所に目を向けるようになったら・・・

自分に自信をもって
自分の良い所をもっと伸ばせるようになるんじゃないかって思います。

でも子どもたちは、いろんな物の見方をまだ知らない。
だから僕たち大人が、教えてあげる必要がある。
見方を知ることでもっと多くの子どもたちが
自分のことを好きになって、もっと誇らしく生きられるようになるかもしれない。

こうやって伝えたことで
もし1人でも多くの子どもたちが「誰かの良い所を見る」ようになったら
それは彼のいたおかげで。

きっと彼はもう、僕だけのヒーローじゃないんだと思います。

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