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子育て中、世間から取り残されたように思えた。私自身の“成長の証”を見つけた日

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子どもの成長に毎日心躍らせる私たち、親。
でもたまには自分の成長に目を向けてあげても、いいじゃない。


トイトレと国会中継

私は当時悩んでいた。

息子2歳、トイレトレーニングがうまくいかない。


朝起きて、「はっ!息子トイレ連れていかなきゃ」

公園行く前に「本当に出ない?いちお、座っとこ?」

お風呂で「だから言ったじゃ〜ん!!(怒)」


30年近く生きて、人の膀胱の具合をこんなに気にしながら生活したことはない。

子育てって、ほんと、こんなの初めてなんですけど、がてんこ盛り。


息子が寝てから、トイトレ成功談を読み漁り、録画しておいた子育てトイトレ特集番組を見る。

朝から晩までトイトレ三昧なのである。

夜遅く、疲れて帰ってきた夫にご飯を出す。

「テレビ、ニュースに変えても良い?」

「うん、いいよー」

「いやーこの問題ねー。どう思う?」

「え?」

テレビニュースでは国会答弁が行われていた。

正直、朝から晩まで息子のトイトレのことで頭がいっぱいで、世の中についていけてない。

何も知らなさすぎて、よくわからない、夫に伝えた。

「おぉ、そうかあ。お疲れ!」


「お疲れ!」と言ってくれたけれど、夫は私にガッカリしたんじゃないだろうか。

何を隠そう、私が自分自身にガッカリしていたからである。

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もしかして、退化してる…?

出産を機に専業主婦になった。

それからは私の世界は息子を中心に回り出し、半径3メートルくらいのことで手一杯の人間になってしまったようだ。

息子は、確実に成長している。

寝返り、ハイハイ、歩き、今は走り回っている。

泣くだけが意思表示だった赤ん坊は、拙い言葉を紡いで、母に必死に話しかけてくる。

成長めざましいのである。


じゃあ私は?

私は息子が産まれてから、何に成長したのだろうか。

自分で産んだ子の面倒を自分が見るのは当たり前。

世の中の動きにすらついていけず、むしろ退化してるのでは……?

そんな思いにかられて不安になる日が、これまで幾度となく、ある。

だがこんな考えに「そんなことないよ」と自分に言ってあげたい出来事が数年後に起きたのである。

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夏の日のジェラート屋事件

3歳になった娘と大きな植物園に出掛けていた。

地元では有名なお出かけスポットでちょうど良い感じの遊具もあり、平日は小さな子を連れた親子連れで賑わっている。

娘は、植物はもとより遊具にもさほどの執着を示さず、「じゃあ行こうかね〜」と早々に出口へと向かう。

もう?と思わず吹き出してしまうけれど、すぐ近くにジェラートの名店があるのだ。

植物園にきた人はほとんど、その店に吸い込まれていく。

私たちも例外ではない。

木苺とミルクのダブルをオーダーし、二人で分け合って食べる。

分け合って、と言いつつ、娘が8割くらい食べる、これもまた例外でない。

最後のコーンを娘がばりばりと食べ終わり、よし、帰ろうか、となったその時。

双子のベビーカーを押すお母さんがお店のテラス付近に来たのである。

外はジリジリと暑いのに、お母さんはその場に動かず立っていて、どうしたのかな?と遠巻きに様子を伺っていた。


あ。

入れない……んだ。

そのジェラート屋は店内の温度を保つためか二重扉になっており、しかもその扉がやっと大人ひとり通れるくらいの大きさだったのである。

ベビーカーを押して、中には入れない。

しかも双子ちゃんの片方の子は寝ているっぽい。

しかし、もう片方の子はもうアイス!アイス!状態。

……お母さん、詰んでる!


結婚する前の、「子どもが苦手」だった私は無理だったけど、今なら。

一応、2人の乳幼児育児を経験した私なら。

あのお母さんを助けられるんじゃないのかい!?

いやこのご時世、逆に迷惑かな?

でもあれは間違いなく「こんな時もうひとり、大人がいたら……」のヤツ!


娘の手を引いてそおっと近づき、「よろしければお子さん達、注文の間見てましょうか?」と申し出ると、お母さんは驚き申し訳なさそうにしながらも、財布を持って店の中へ走って行った。

お母さんが視界から消えて、双子ちゃんは泣いちゃうかもしれないけれど、戻ってきたら泣き止むだろうし、何よりアイスがあればすぐご機嫌になってくれるはず。

娘を膝に乗せ、手遊びの歌を10数曲か歌ったらお母さんが戻ってきた。

手遊び歌は、なんだかんだ、短い。


なんと双子ちゃんは泣きもせず、お利口さんに待っていた。

途中で起きた子は、私の顔を「……どなた?」と言いたげな顔で終始こちらを見つめていた。

戻ってきたお母さんから、紙袋を渡され、こちらも恐縮してしまう。

アイスを頬張る双子ちゃんを見ながら「アイスって育児の神アイテムですよね」と顔を見合わせて笑い、別れた。

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育児は育“自“

自分が妊娠したら、日本って本当に少子化なの?と思うほどに、街の中で妊婦さんや、子ども連れの家族をよく見かけるようになった。

だけど多分それらの存在は、前々からずっと私の周りにあったのだけれど、「子ども」に対する「心のフック」が私の中になく、気付かなかっただけのようだ。

そして、その「心のフック」は私の育児が進むにつれて増えていっていると思う。

育児をしていると、ジェラート屋のお母さんのように、ままならぬ場面に直面することが多い。

そんな心がザラザラする場面に「母になった私のフック」が反応するようになったのだ。

今まで「気付けなかったこと」に「気付くことができる」ようになり、「出来なかったこと」が「出来るようになる」。


そこで、はたと思ったのである。

あら、私、ちゃんと人間として成長しているじゃないの、と。

ずっと同じ場所に止まっているように感じていたけれど、私はちゃんと人間として前に進んでいる。

そう思うと、「退化なんかしてないよー」と、過去の自分の思いを、何年越しに一蹴することが出来たのだ。


自分の内側を耕している。

それにいち早く気付けるのは他ならぬ自分自身である。

ちゃんと、自分にも目を向けてあげないとな、とこの件を通して感じたのだ。


先ほどの双子ちゃんのお母さんから渡された紙袋の中には、お土産のアイスが1つ入っていた。

家に帰ってそれをトイトレとはもう無縁の、6歳になった息子にあげると、「超美味しい〜」と目を丸くした。

「お母さんが買ってくれたの?」

「ううん。人からもらったの」

「友達?」

「いや、友達ではないかな」

「え、じゃあ誰から?」

「……名前は知らない」

「え、知らない人からアイス突然もらうことなんてあるの?大丈夫なアイス……?」


大丈夫です(笑)

人生、何が起こるかわからない。

だから面白いのかも、と聞き慣れたフレーズが心に刺さる。

そんな最近の私である。

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この記事を書いた人
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獅子えもん

3歳差兄妹を育てる30代主婦。
転勤族の家に生まれ、転勤族の夫と結婚し、現在の住まいは人生17軒目。
趣味:LEGO。我が子の頭の匂いを嗅ぐこと。...

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