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妊娠16週で流産。どうしようもなく悲しいのに、キラリと見えた世界<第三回投稿コンテスト NO.94>

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妊娠16週の診察で、赤ちゃんの心拍が止まっている、と宣告された三月ちひろさん。最後のお別れの前日に旦那さんと訪れたのは、ショッピングモールでした。


一緒にいられなかった娘がいる。

妊娠16週の診察で、赤ちゃんの心拍が止まっています、と宣告されて、そのまま入院となった。

医師の説明を聞きながら見つめたエコー映像の画面はただただ真っ黒に見えて、悪夢に吸い込まれていく感覚しかない。
 
翌日、陣痛促進剤を使って生まれたのは、わたしの手のひらにすっぽり収まってしまう大きさの、だけどお手々もお目々もとてもかわいい、まるでほとけさまのような、小さな小さな女の子だった。

3月だったので、わたしと夫くんはその娘に「やよい」と名付けた。

やよいちゃんがくれた、どうしようもなくかなしいのに、世界がきらきらと輝いて見えた不思議な時間のことを、わたしたち夫婦はずっと覚えている。


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それは、やよいちゃんを失って、退院した日のこと。

病院に迎えに来てくれた夫くんが運転する車に乗って、わたしたちは新しくできたショッピングモールに行った。

もう、明日の朝には、焼き場で最後のお別れをすることに決まっていた。

さようならをする前に、せめておとうさん、おかあさんとして、やよいちゃんにプレゼントをあげたい。

まだ心も体も沈みきっている状況で、平日朝のショッピングモールを夫くんと歩いた。

2人で選んだのは、どうぶつの模様のピンク色のハンカチだ。

このハンカチに、わたしの手で「やよい」とお名前を刺繍をしよう。

小さな棺に入れて、一緒にお空に昇ってもらうのだ。

だってやよいちゃんは小さすぎるから、自分でお名前が上手に言えないかもしれない。

このハンカチを持って行けば、おとうさん、おかあさんのおじいちゃんたちが、きっと見つけてくれるからね。

おかあさんとして、やよいちゃんのための最初で最後のプレゼント。

その時、すごく強く思ったのだ。

「もっと、もっと」と。

この小さなハンカチだけじゃなくて、きれいな色のお洋服も、音が鳴る楽しいおもちゃも、美しい色の絵本も、ふわふわなおいしいものも、ショッピングモールには小さな女の子が喜びそうなものがいっぱい、いっぱい売っていた。

やよいちゃん、生きて産まれてきてほしかったよ。

おかあさんは、あなたにこの世のすてきなものを、あなたにあげたかった。

この世の中は、こんなにいっぱいすてきなものがあるということを、今この瞬間まで、おかあさんは知らなかったよ。

なにもかも、全部、買ってあげたい。

わたしの娘に、この世の中のきれいなものを、ぜんぶ。


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失ったこと、それにまつわるいろいろなことは、言い表せないくらいかなしかった。

でも、あの3月から2年がたって、今になって思い出すのは、やよいちゃんをてのひらで包んだときの温かい気持ちと、ショッピングモールで夫くんと遭遇したきらきらした風景のことなのだった。

これで、いいよね、やよいちゃん。

温かい気持ちと、きらきらとした気持ちを、ずっと覚えているよ。

あなたがくれた思いを持って、いっしょうけんめい生きていくよ。



(ライター:三月ちひろ)




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