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公開 2019年12月15日  

あんよが少しだけ苦手だった娘。初めて立った日の光景が忘れられない<第三回投稿コンテスト NO.5>

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1歳半になっても、つかまり立ちもしなかった娘さんが心配だったというたまこさん。育児書や周囲の意見を気にしないようにと思っても、やはり胸には不安があったそうです。



長女は破水から3日かかってやっと産まれた第一子。

母乳は出なかったけど、ミルクを飲んで順調に大きくなりました。

首もすわってきて、「次はどんな成長をするんだろう?」とワクワクしながら成長の目安表をよく眺めたものです。

周りの子達が、「うち、寝返りをしたよ!」「ズリバイ始まったよ~」と言い始めた頃、うちの子はまったくしませんでした。

まぁ、破水してから出産まで3日かかったぐらいだからマイペースなんだろう、とあまり気にしていませんでした。



それから「ハイハイしたよ!」と声が聞こえ始める頃、うちの子はようやく寝返りをし、そのままお座りをしました。

あれ?動かないの?成長の目安表がまったくあてにならず、成長の遅れに焦り始めた私。

いつしか目安表を見ないようになりました。

周りが高速ハイハイやつかまり立ちをするようになった頃、うちの子にも変化が。

おしりズリとでも言うのでしょうか?座ったまま、床に手をついてズルズル動き出しました。

なんだこれ~??もちろん周りにはこんな事をする子はいなく、ちょっと浮いた存在でした。


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みんなが靴を履いてヨチヨチ歩く頃、うちの子のおしりズリはさらに磨きがかかりかなりの高速移動が出来るようになりました。

おしりはどんどん引き締まり、幼児とは思えないアスリートのような引き締まったおしりに成長。

さすがに不安で、検診のたびに相談するも「いつかは歩くよ。」と言われるだけ。

初めての育児で不安もある中で、周りと違うことに不安は募っていきました。

でも育児書だけは見ませんでした。

絶対今より不安になるだけなのがわかっていたから。

先生も足や股関節に問題はないと言っていたし、大丈夫。この子はマイペースなだけなんだと自分に言い聞かせていました。



周りもおかしいと思っていたのでしょう。児童館で私達親子がいると、ちょっとよそよそしい態度をとられるようになりました。

「あの子は足に障害があるんじゃない?」

「私だったら、心配で大学病院とか行くわー」

子どもの成長は個人差があるのが当然なのに、心無いことを言われたこともありました。

だって足には何も問題はないもの。

この子のおしりズリはこの子の個性なのに。



頭ではわかっていても、焦りと不安が毎日私を襲います。

手を繋いで歩いている親子がとてもうらやましくて、抱っこでしか外を歩けない娘を見て、「私はこの子と手を繋いで歩くことは出来るのかな」と落ち込むことも。

おしりズリがどんどん進化して、手とかかとでうさぎのように跳ねるようになりました。

マイペースな子は自分の道しかいかないのだろうか…。

でも絶対育児書見ない。当時はスマホじゃなかったので、検索も絶対しませんでした。

今より不安になるなんて、とても堪えられそうになかったからです。



月日は流れ、娘は一歳半になりました。

もちろん歩きません。つたい歩きもしません。つかまり立ちさえしません。

そんな中、児童館に行きました。人があんまりいない午後。

お昼寝のリズムも崩れ、児童館の保育士さんと話して気晴らしがしたかったのです。

保育士さんと話している間、娘はおしりズリでお気に入りのおままごとスペースへ。

「娘ちゃん、おしりズリがすごいね!いつかは立つよ、大丈夫だよ、お母さん!」

「そうだといいんですが…」


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そんな会話をしていた時、保育士さんが叫びました。

「立ってる!お母さん、娘ちゃんが立ってるよ!」

下を向いていた視線を娘に向けると、娘が…立っていました。

人生で初めて、時が止まったように感じました。

娘はお気に入りのキッチンにつかまり立ちをし、そのままつたい歩きをしたのです。

涙が出てきて、今まで押し込めていた不安が一気に吹き出して、私は泣いてしまいました。



あの時の、あの瞬間、私は絶対に忘れることはないのでしょう。

まさにハイジの「クララが立った!」ばりの感動です。

そんな娘も今は小学4年生。

あの頃あれだけ悩んだのは何だったのかと思うぐらい元気です。

走っている姿を見ると、ふとあの瞬間を思い出します。


(ライター:たまこ)


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※ この記事は2024年03月13日に再公開された記事です。

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