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公開 2015年03月30日  

分娩の痛みを感じない!?無痛分娩・和痛分娩とは?リスクやメリットまとめ

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背中から管を挿入して、薬剤を持続的に使用する事で陣痛による痛みを軽減する方法を、無痛(和痛)分娩と呼びます。今回は無痛分娩のリスクやメリットについて解説します。


無痛分娩・和痛分娩とは?

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帝王切開時に使われる硬膜外麻酔を、分娩進行中から使用する事により陣痛の痛みを和らげる方法です。痛みを完全に取る事は難しいため、無痛分娩というよりも和痛分娩という言葉が用いられる場合があります。上手く麻酔が効くと分娩進行中の痛みがとても少なくなり、お産全体に使う体力がかなり軽減されます。しかし、現在の日本で無痛分娩の普及率は10%にも満たない状況で、欧米の50〜80%と比較するとかなり差があります。

なぜ日本では無痛分娩が浸透しづらいの?

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大きく分けて2つの理由があります。1つは妊婦さん達や周囲のお産に対する考え方によるもので、日本では昔から「陣痛を乗り越えてこそ母親になれる、子に対する愛情がわく」といったイメージが未だに強く根付いているためです。もう1つは、産科の人員不足により十分な体制を取る事ができないため、無痛分娩を取り扱える施設が増えないという理由です。



無痛分娩では麻酔を使用するタイミングの判断や薬剤の量のコントロール、また麻酔による合併症などに注意が必要なため、通常の分娩に比べて麻酔の管理を行う医師が必要です。現在の日本の産科ではそのような体制を整えられるところがまだ少ないため、わざわざ遠方から無痛分娩を希望して受診する妊婦さんも多いようです。希望者が増えてきている無痛分娩ですが、やはりメリットとリストをよく理解した上で選択することが必要です。

無痛分娩のメリット

なんといっても、陣痛の痛みを軽減できる事にあります。痛みに耐える時間も非常に少なくなるため、お産全体に使う体力も大幅に減少できます。産後も授乳や育児にたくさんの体力が必要なので、産後のママの体や子育てにとってもこれは大きなメリットです。さらに産後にできる裂傷の処置でも、麻酔の効果により痛みを感じずにすみます。また分娩進行中に、母体や赤ちゃんに何かしらのトラブルが生じて緊急帝王切開が必要になったときも、すでに麻酔のチューブが通っているため、スムーズに帝王切開を行う事が可能です。

無痛分娩のデメリット

無痛分娩では、麻酔の影響で分娩にかかる時間がやや長くなる傾向があります。そのため、自然分娩に比べて陣痛促進剤を使用するケースが多くなります。以前は無痛分娩により出血量が増えたり帝王切開の確率が上がったりする言われましたが、これは現在の研究で否定されています。しかし、鉗子(かんし)や吸引カップを使ってお産の進行を助けることが必要になる鉗子分娩や吸引分娩の可能性は高くなるようです。



また麻酔による合併症のリスクがあることも、無痛分娩のデメリットの一つと言えるでしょう。産後に吐き気や頭痛が生じたり、分娩中に下肢の感覚が鈍くなるため、産後しびれや感覚障害が起きることがあります。これらを防ぐためには経験のある医師に担当してもらう、きちんとした管理体制の元で分娩を行うといったことが必要です。無痛分娩をする際は、その産科の方針や体制をよく聞いてから判断するようにしましょう。

まとめ

日本ではまだ、広く浸透したとは言いがたい無痛分娩。上手に利用すればとてもメリットが多い分娩方法ですが、無痛分娩特有のリスクがあるのも事実です。それらのリスクを軽減するために、無痛分娩を希望する場合は、分娩先の麻酔方法や管理体制についてしっかりと話を聞いてから選択しましょう。

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