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公開 2016年11月13日  

「母となって働く」を考える時、”足し算思考”をする前に、やっておきたいこと

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「足し算」のまえに、「棚卸し」を
例えば、出産して一時的に仕事から離れている時。「育休中に自主的に勉強してスキルアップをしておこう」とか、「この機会にこんな資格をとって」「ゆくゆくは自宅でお教室を開いて」と、頭がどんどん足し算モードになりがちです。

出典:http://amanaimages.com/info/infoRF.aspx?SearchKey=11017005515

はじめまして。NPO法人マドレボニータ 産後セルフケアインストラクターの高橋葉子です。

私はインストラクターの仕事のほかに、「母となってはたらく」を考える『NECワーキングマザーサロン』というプロジェクトのリーダーも担っています。

私自身は、子どもが18歳と15歳になっており「育休からの復帰」「再就職」といった時期は過ぎています。

しかし、今の自分や、これからのはたらき方を考え、語ることは、何歳になっても必要で、自分の来し方を振り返ることはとても大きな意味を持つと思っています。

ついつい「足し算思考」になっていませんか?

例えば、出産して一時的に仕事から離れている時。
「育休中に自主的に勉強してスキルアップをしておこう」とか、「この機会にこんな資格をとって」「ゆくゆくは自宅でお教室を開いて」と、頭がどんどん足し算モードになりがちです。

でも、そこで一歩立ち止まってみてほしいのです。

焦る前に、まずは今、自分自身が持っているもの、力、時間、心のスペースを改めて考えてみませんか。

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スーパーやコンビニでは定期的に「棚卸し」をして在庫を把握しています。
その「棚卸し」から見えてくるものがあるのです。

やみくもに発注をかけて在庫過多な商品。
全然売れてなくていつの間にかトレンドでなくなっている商品。
バラバラにストックされていた商品整理してみたら、新たに空き棚ができたりすることも。

「母となって、はたらくこと」を考えるときも同じように考えてみると、新たな発見があるはずです。

はたらく時間や、仕事の進め方など、「母となった」ことで、「独身時代のはたらきかた」とは優先するものが変わってくるかもしれません。

「母になって、はたらく」上で、
・なにを優先したいのか?
・自分の強みはなにか?
・どうしてもしたいことは?
といったことを、整理していくのです。

棚卸しの中で生まれる心の葛藤

棚卸の作業の中では、様々な葛藤が出てくると思います。

私はこれを売りたい(優先したい!)ということと、実際の売れ行きやニーズ(自分が置かれた状況)が「全部マッチする」ということは、なかなかないかもしれません。

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子どもが生まれてもバリバリ働き続けるパートナーやどんどん出世していく同僚に対して羨ましさを感じたり、なんともいえない嫉妬心を感じたり。
自分だけ置いてきぼりにされたような孤独感を感じたり。その感情に翻弄される時も。

そんなとき、一度、いや一度と言わず定期的に、自分自身の棚卸をしてほしい。

「今、自分が何を優先したいのか。何を大事だと考えているのか」を自身でしっかりと把握することが出来れば、そんなふうに湧いてくる気持ちとも上手に付き合うことができるようになるんじゃないかなと思います。

自分の想いを誰かと共有するということ

棚卸しをすることは、楽しいことばかりではないかもしれません。
1人でじっくり向き合うのがつらい時、自分の目線だけでは堂々巡りから抜け出せない、という時もあります。

そんな場合は、1人で棚卸しをするのではなく、「誰かと話してみる」ということを私はおすすめします。

自分自身の棚卸しをするのに一番よい方法は、安心して話せる場で、他者と語ること。

自分の心の中を、他者と共有するために言語化する作業は、自分の内面を整理するのに最も有効な方法です。

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「NECワーキングマザーサロン」では、「思いがけない言葉が(自分から)出てきた。」という声をよく聞きます。

一人で頭で考えるだけでなく、他者にむかって言葉を紡ぎ出す過程で、底のほうにすっかり潜んでいた思いが、掘りおこされて浮かび上がってくることがあります。
誰かが発した言葉が心に残り、それがさざ波のように問いかけてくることもあります。

他の人たちの想いや生き様にふれて、「みんながんばっているんだな、そして同じように悩んで葛藤しているんだな。」と気づいたり、応援したい気持ちが生まれたり、「じゃあ、自分はどうしたいんだろう。」とさらに自分に向き合える力が生まれてくるのです。

他者と話すことで、私自身もとても助けられ、また勇気をもらっています。

「母となってはたらくこと」

これから、母となってはたらく方も、今、母となってはたらいている方も、母となってはたらくことに迷ったり、悩んだり、自信をなくしたり、そんな時にはぜひ足し算ではなく、棚卸しをしてみてください。

そして、それをぜひ誰かと話してみてください。

「母となって、はたらくこと」「悩みながらもがきながらそれでもはたらくこと」を少しでも考えている皆さんを、私はこれからも全力で応援していきたいと思います。

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NECワーキングマザーサロン

NECとマドレボニータの協働事業であるNECワーキングマザーサロンは昨年までに全国28都道府県、110都市で開催し、のべ参加人数は5,647人、このプロジェクトに参画したボランティアはのべ542人にものぼります。

広く一般市民に向けて開かれたプロジェクトで、「母となってはたらく」を考えたい女性なら、年齢、子どもの有無、未婚既婚は問わず、どなたでも参加できます。

真摯に語ることが許されている場で、言葉を紡いでいきましょう。ぜひご参加ください。

筆者:高橋葉子 NPO法人マドレボニータ理事/産後セルフケアインストラクター
再構成:古谷紀子 NPO法人マドレボニータ


(編集:コノビー編集部 橋本さやか)

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