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公開 2016年07月26日  

「うちの子早くたっちしないかな‥」実は“ゆっくり”が育む発達もあるんです。

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近い月齢のよその子がつかまり立ちしたり、歩き出すと「うちの子はまだかな」「遅いのかしら」‥と焦りますよね。でも実は、歩く前の時期って、身体の発達において、とても重要なんです。


バレエで「まっすぐ立つこと」ができない娘。

3歳からバレエを始めた娘。

今日は見学に行ってきたのですが、そこで見たのは、クッペやパッセ(いずれも片足で立つバレエのポーズ)の時に軸がぐらぐらしてしまい、まっすぐ立つことのできない娘の姿でした。

まっすぐ立てないのはなぜだろう?
腹筋や背筋が弱いのかな?

心配になった私は、新体操の教室を主宰し、バレエの先生もやっている友人に相談をしてみました。

すると、彼女から返ってきたのは意外な言葉だったのです。

「娘ちゃんってたっちするの早かった?
もしかしたら、ハイハイの時期が短かったのかも。

ハイハイの時期が短いと体幹が弱くなる?

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© CarbonNYC [in SF!]

確かにハイハイの時期が短く、あっという間に歩き始めていた娘。

驚きながら話を聞いていると、つまりこういうことなんだそう。


・ずりばいやハイハイの時期は、体幹の基礎をつくる時期とも言われている。
・早く歩いてほしいなという気持ちを持つパパママは多いけど、実はこの期間が十分にあることが大切。



すなわち、早くたっちするばかりがいいとは言えないんだそうです。

でもその一方で最近は、発達が早いことをよしとする風潮があるのか、歩行器も充実し、昔より子どもたちが歩き始める時期が早くなってきているといいます。

大きくなってからでも、遅くはない!

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子どもがハイハイをする時期を過ぎてしまっていても、遊びの中で、ずりばいやハイハイの動きを取り入れると体幹を鍛える効果があるといいます。

もうたっちしちゃった、いやいや歩き始めている、それどころかもう走り回ってる!という場合でも、今からできることがありそうですね。

また、大人が足を持ち子どもが手で前に進む「手押し車」や、肩や股関節の柔軟性もあげる「ワニ歩き」なども、体幹を強くするのに、オススメです。


相談に乗ってくれた友人はこんな話もしてくれました。

「今は昔と違って遊ぶ場所もない、時間もない子が増えて、体幹だけでなく遊びを通じて鍛えられるべき“基本的な運動能力”が伸びていない子が多いの。

転倒したとき、とっさに手が出なくて顔から突っ込んだりしちゃうのはそのため。

実は知能を高めるためにも運動は大切だとも言うし、子どもたちには身体を動かす機会を、たくさん作ってあげられるといいよね。」

「ゆっくり」が育むものもあるんです。

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©donnierayjones

またハイハイは、脳の発達によりできるようになり、ハイハイすることで脳がより活性化していくという、良い循環があるといいます。


お喋りするようにならないかな。
歩くようにならないかな。
早くいろいろなことができるようになるといいな。

…親なら誰しもが考えることだと思います。

しかし、ゆっくりが育むものもあるんですよね。


身体も脳の発達にもとても大切なハイハイの時期。
ゆっくり、じっくり見守りたいものです。



参考文献:
東京家政大学附属 臨床相談センター紀要 第11集-1-
東京家政大学附属臨床相談センター主催 第 11 回臨床心理教育研修会
乳幼児期の睡眠・覚醒リズムとロコモーションの発達の良否は、ヒトの知情意の発達の良否につながるか
瀬川 昌也 Masaya SEGAWA

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