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公開 2016年06月09日  

赤ちゃんに「心雑音がある」と言われたら?〜娘に先天性心疾患が見つかった時、我が家で心がけたこと〜

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赤ちゃんの先天性心疾患は、軽度のものまで含めると100人に1人の割合で見られるそうです。実は我が家の娘も、生後半年の時に心雑音が確認されて心臓に穴があいていることが分かり、その後手術を受けました。その時に我が家でどんなことを心がけたのか、体験談をお伝えしたいと思います。


目次 きっかけは、予防接種前の診察でした
心雑音の原因となるもの
次女の診断は「心室中隔欠損症」と「心房中隔欠損症」
子どもの命を守るために、家族で心がけるべきこと

きっかけは、予防接種前の診察でした

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我が家には、現在3歳半の双子の娘たちがいます。

娘たちは29週の早産で誕生し、超低出生体重児だったのでしばらく大学病院のNICUでお世話になりましたが、約3ヶ月後に無事に退院してからは、自宅ですくすくと成長していきました。

最初は大変だったけれど、自宅で普通の生活を送ることができるようになって、少しずつお出かけもするようになった。あとは楽しい毎日を過ごしながら成長していくだけだ!・・・と思っていた矢先、思いがけない転機が訪れました。

その日、私は娘たちを連れて近くの総合病院に予防接種に行きました。当時はいろいろな予防接種をパズルのように組み合わせながら受けている最中で、接種前の診察は「念のために体調を確認するくらいのものだろう」といった認識でしかありませんでした。

しかし、担当の先生が次女の胸に何度も聴診器を当てており、不思議に思っていると私にこんなことを言いました。

「次女ちゃん、心臓に病気を持っていますか?」

私が「いいえ」と答えると、先生はこんな風におっしゃったのです。

「心雑音が聞こえますね。産まれた時にも大学病院でしっかり診てもらっているとは思いますが、念のために主治医の先生に相談してみてください。」

心雑音の原因となるもの

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いろいろ調べてみると、赤ちゃんの心雑音はそれほど珍しいものではないことが分かりました。心臓の機能には問題がなくても、赤ちゃんの体調が悪い時には雑音がまじることもあるそうです。

注意が必要なのは、心臓の機能に問題がある場合の心雑音です。多いものは「心室中隔欠損」や「心房中隔欠損」などの心臓に穴があいている疾患、心臓の弁に問題がある「肺動脈弁狭窄」、お母さんのお腹から出てきたら自然に閉じるはずの血管が閉じない「動脈管開存」などが挙げられます。

この他にも様々な疾患がありますが、小さな穴があいているといったものまで含めると、先天性心疾患のある赤ちゃんは100人に1人の割合で生まれているそうです。

次女の診断は「心室中隔欠損症」と「心房中隔欠損症」

予防接種前の診察で心雑音を指摘された私は、急いで産まれた大学病院に連絡し、小児科専門の循環器の先生に診察していただきました。

エコー検査の結果、次女は「心室中隔欠損」と「心房中隔欠損」といわれる2つの疾患を抱えていることが分かりました。簡単に言うと、心室と心房の2か所で、それぞれ壁に穴があいているということでした。

それぞれの疾患の詳細についてはここでは省略しますが、赤ちゃんの心臓に穴があいていても、その後自然に閉じるケースも多くあるそうです。現時点で赤ちゃんの健康状態に問題がなく、自然に閉じることが期待できそうな場合には、そのまま経過観察をすることが多いとのこと。

ただ、我が家の次女の場合、心房の穴が特に大きく体に負担がかかっていたことから、生後8ヶ月での手術が決まりました。

最初に予防接種前の診察で心雑音を指摘されてから、たったの3ヶ月での手術。正直なところ、親の私はなかなか状況を受け止めることができず、気持ちの整理をすることに時間がかかりました。それと同時に、ゆっくりしている時間もなかったのです。

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子どもの命を守るために、家族で心がけるべきこと

娘が先天性心疾患を乗り越えた経験から、皆さまにぜひお伝えしたいことが2つあります。

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1.健診や予防接種など、多くの医者に診察してもらう機会を大切に

赤ちゃんが産まれると、定期的に自治体が主催する健診を受けたり、たくさんの予防接種に通ったりすると思います。あまりに数が多い上に、子どもが普段元気に過ごしていると「通過儀礼」のように思ってしまう面もあると思います。子どもが小さく生まれていて、健康状態には慎重だと思っていた私でさえもそうでした。

でも、これらの機会をどれも大切にしてほしいのです。

特に、健診の機会は、かかりつけ医以外の医者に診察してもらう良い機会です。家族ぐるみでしっかり理解してもらえるかかりつけ医の存在はとても重要ですが、一方では、お互いに「普段から診ている」という気持ちも働くと思うのです。新しい先生に診てもらう機会は、もしかすると新しい視点を得るチャンスかもしれません。

次女の疾患が見つかった時、私がまず初めに思ったのは、「NICUで3ヶ月も慎重に診てもらっていたはずの娘に、なぜ今さら先天性の心疾患が見つかったのだろう?」ということでした。もちろん、当時の主治医の先生にもすぐにコンタクトを取りました。でもいろいろな話を総合して感じたのは、赤ちゃんの心雑音というのは、それくらい見つけにくいものなのだということでした。

実際、小学校に入学してからの集団検診で、ある程度体が大きくなってから初めて心雑音が見つかるというケースも多いそうです。たったの生後6ヶ月で、予防接種の時にたまたま見つかったのは、むしろラッキーだったのだろうと思うのです。

2.医者と対等に話ができるように、親が主体となって疾患と向き合って

娘の疾患が見つかった時、私たち夫婦は「親がこの疾患についてしっかり勉強する」ということを一番に心がけました。

初めて担当医から説明を受けた時、ショックで頭の中が真っ白だったということもありますが、それ以前に予備知識がなさすぎて何一つ理解ができませんでした。

大切な娘の命に関わることだからこそ、医者と対等に話がしたい。医者の説明がその場でしっかり理解できるまでに知識をつけて、疑問に思うことがあればきちんと解決したい。そして親が心から納得した上で、医者が提案する治療法に同意しようと思ったのです。

現在の医療は素晴らしいので、もちろん信頼していますが、子どもの命の責任を負うのは「医療」ではなく「親」です。最終的な判断は親がしっかりと自分の意思でするべきです。そうすることで気持ちの面でも自信ができ、子どもに不安な気持ちを悟らせることもないと思います。

これは、普段からどんなことにも言えるのかなと思います。

娘の先天性心疾患は思いがけないことでしたが、治療を終えて元気に普通の生活を送っている今、家族で乗り越えられてよかったと心から思います。

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