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子どもを幸せにしたいなら、親が今幸せになることだ

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「だから、子ども時代に一番学習しなければいけないのは、幸福です ママたちとの対話から生まれた 子育ての知恵ツイート41」(著:陰山英男)より、全10回にわたり「知恵ツイート」の一部をご紹介いたします。
第1回目は「未来の幸せのために今の幸せを我慢すれば、さらなる我慢が待っているだけだし、親が我慢すれば、子はさらなる我慢を強いられる」をご紹介します。

我慢の象徴だった星飛雄馬

「今、我慢すれば、将来それがいい形で還ってくる」。

日本の教育の中には「将来のために今を犠牲にする」という考え方があります。

それで思い出すのは、かつて日本中の子どもたちを熱狂させたマンガ『巨人の星』です。巨人(軍)の星になるために父親からスパルタ式でトレーニングを受けた主人公、星飛雄馬の物語です。今、観ればあきらかに虐待ですが、将来のためにつらくても根性で乗り越えるという考え方は、当時ごく自然に受け止められていたように思います。

星飛雄馬の家庭には幸福そうな笑顔はありません。

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私は、この物語にどうしても日本の国を重ね合わせてしまうのです。
戦後の荒涼としていた時代は、だれもが食べることに必至で幸福について考えるどころではありませんでした。

明日生きるために今我慢をするのもやむなしという時代でもありました。しかし、それが、やがて明日の夢のために今を犠牲にする。という考え方になり、その名残を引きずって生まれたのが星飛雄馬の物語だったのかもしれません。

モノが豊かになってきてもこの国は、しかし幸福になることをいまだに学んでいない。

そんな気がしてなりません。

今を犠牲にする人に、幸福は永遠に訪れない

幸福は学ぶものです。
子どもにとって一番身近な存在である親が幸福のモデルになります。


モデルがいないと人は学習できません。

ある衝撃的な出来事に出会ってから、私はそう考えるようになりました。

あれは、私が小学校で担任をもっていた時代ですから20年近く前の話です。しつけがうまくいっていないと感じられる教え子の母親と話すために、家庭訪問をしました。
そのお母さんから話を聞きながら私もアドバイスをしたのですが、どうも伝わっているようには感じられません。半ばあきらめて帰ろうと立ち上がったそのときです。

「私は、母親というのは何をしたらいいのかわからないんです」とそのお母さんが言いました。

「私は施設で育ったので、母親が何かをしている姿を生まれてから一度も見たことがありません。だから母親になって何をしたらいいのかわからないんです」

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この言葉に、私は衝撃を受けました。
そうか、そういうことだったんだ。

このお母さんはあの子を生んだのだからまぎれもなく母親だけど、その母親というのは何をするのかは誰からも学んでいなかったのか。だから、母親なら当然と私が思っていたことができなかったのか。

ショックを受けながらも、これまでの疑問が解けたのでした。 

ちょうどその頃、テレビでカンガルーの社会の成り立ちを伝える番組を観るともなしに観ていました。
番組では繁栄する群れと衰退する群れの違いを比較していました。繁栄する集団は母親が敵から守る術を子どもに教えることができます。

その母親は自分の母親や周囲から見て学んでいたからです。
でも繁栄できない集団の母親はそれができません。敵から身を守る母親の姿を見たことがないからです。

人はモデルなしには学ぶことはできません。
親の幸福な姿を見ることができれば、子どもはその姿に憧れます。
幸福になるために何をしたらよいのか、身につくのではないでしょうか。

親が我慢する姿しか見たことがなく、将来のために今を犠牲にすることを強いられた子は、常に今を犠牲にして我慢することしか学べないでしょう。

いつも今を犠牲にする人に幸福は永遠に訪れないのです。


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自己肯定感・自己効力感 個性と自己肯定感

この記事を書いた人

隂山英男

立命舘小学校校長顧問。1958年兵庫県生まれ。岡山大学法学部卒業。
「読み書き計算」の徹底反復と「早寝早起き朝ごはん」の生活習慣の改善を提唱する「隂山メソッド...

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