「集中力がない。」
小さな子ども達は、大人からよくこの言葉を言われます。
保育園や幼稚園のクラスなどで、工作をしているとき。
ママに絵本を読んでもらっていたけど「次!」と違う絵本を持ってきたとき。
すべり台で1回すべっただけで違う遊具で遊びだしたとき。
「この子は集中力がない。」と見られてしまうのです。
本人からすれば、ただ、やめただけ。
「もう終わりにしよう」と、自分で判断しただけなのに。
本当は、自分の活動を自分で決めるって、すごい力です。
しかしそれを「集中力がない」と見られてしまう。
これっておかしいと思いませんか。
この違和感は、大人のシチュエーションにおきかえるとわかりやすいと思います。
例えば、友人がある音楽をすすめ、アルバムをかしてくれたとき。
聴いてみると、自分にはあまり好みじゃない。
あなたは、それでも聴き続けますか?
「せっかく紹介してくれたし」、「聴いているうちに良くなるかもしれない」と、そういう自分なりの理由や興味を見つけて最後まで聴く人もいるでしょうが、「わたしには合わなかった。」と途中で終わりにするのが自然な反応ではないではないでしょうか。
じゃあ、それは、あなたの集中力がないからか。
違いますよね。
ただ、自分には好みが合わなかったと、聴くのはやめようと判断しただけのことです。
こんな当たり前のことが、子どもだとそうはいきません。
他の子と比べられ、大人が決めた時間の長さと比べられ、
「この子はできない」「集中力がない」と、本質とは異なる見方をされてしまうのです。
じゃあなぜそう見られやすいのか。
それはきっと多くの大人が無意識的に 「子どもは大人が育てないと育たない未熟な存在」 という先入観を持っているからではないでしょうか。
たしかに子どもの育ちの中には、大人のサポートが必要な部分はあります。
しかし全ての力が未熟で、教えないと育たない、何もできない、というわけではないのです。
私自身、これまで5万人を超える子ども達と出会わせてもらいましたが、
出会った限りでは、集中力のない子どもって、見たことありません。
先日も、こんなことがありました。
ある保育園にて、4歳児クラスの子どもたちと色紙や画用紙を使ってお菓子をつくって遊ぶワークショップをしたときのこと。
打合せの際に、担任の先生がこう言いました。
「すみません。なかには集中がもたない子もいると思いますが…」
実際はどうだったか。
クラスの子どもたちはみんな、予定してした2時間では足りないというほど、集中して遊んでいました。