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「今日はちっくんありますか?」病院を嫌がる子どもの気持ちを考える【きょうの診察室】

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病院に行くのを嫌がる子どもを目の前に、みなさんはどんな言葉をかけていますか。物心ついたお子さんを病院に連れてきてくれるのは、本当に大変なことだと思います。今回は子どもが診察室で伝えてくれた不安や疑問から教えてもらったことを、みなさんと共有できたら嬉しいです。

きょうの診察室①:「今日はちっくんありますか?」

診察室ではまず、お子さん自身に話しかけることを大切にしています。

よく最初に聞くのは「○○くん(ちゃん)が一番困っていることはなんですか?」というもの。
これは子ども自身が、自分のからだのことを自分で感じて、表現する機会を応援したいという想いから聞いている質問です。

そうすると子どもたちは、色々なことを伝えてきてくれます。
その中でも多いのが、もじもじしながら「あの、きょうは、ちっくんがありますか?」という質問返し。

きっとお家を出る前に、

親:「病院に行こうね。」
子:「やだ!」
親:「なんでイヤなの?」
子:「ちっくんだからやだ!」
親:「まだちっくんがあるか分からないでしょ!」

…みたいなやりとりがあるのかなぁと想像します。


なので、質問を受けたときにはゆっくりと目線を合わせて、「そうだよね。これからどうなるか気になるよね。まずはもしもしして、ちっくんが必要ならちゃんとその前に○○ちゃんに伝えるね。その時は協力してね。」とお話をします。


すると、
「うん!」となることが8割。
「ぎゃーっ!!!」とパニックになることが2割くらい。


「うん」となるとその後の診察には、とても協力的になる子どもが多いという印象を持っています。
するとご家族もほっとして、誇らしげな表情で見守ってくださいます。


「これから僕はどうなるの」という単純で当然の疑問。

具合の悪い子どもを前にするとつい、忘れがちなことかもしれませんが、そこに向き合うだけで、子どもは自分のからだに必要なことについて、理解して協力してくれようとするのです。

きょうの診察室②:「このゼリーなに?」

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超音波の検査のときに、よく見えるようにつける透明のゼリー。
あの感触が好きな子もいるし、嫌いな子もいます。

ある日、こんなことがありました。

神妙な顔で、超音波検査を受ける男の子。
じっとプローベの先を見ています。

よろしくね、と検査を始めようとすると、

「まって、このゼリーなに?なんでつけるの?」


それまでは「ひんやりするよ」と声をかけることはあっても、そのゼリーの役目について子どもに説明したことがありませんでした。

「たしかに。これ何か分からないよね。」

自分のからだに広げられる、この青くてあやしい物体がなんなのかを知りたいという気持ち。
あたりまえだよなぁと、考えさせられる質問でした。

「聞いてくれてありがとうね」と言い、説明をさせてもらいました。

子どもの質問はいつも、見えなかったものにはっと気づかせてくれる、すごいパワーがあると感じています。

子どもの疑問や不安に、大人からアプローチしていこう!

子どもでも、大人でも、自分の身に起こることについて知っておきたいと考えるのは、とても大切なこと。
そしてそれは小さな子どもにとっても、病気で病院に連れてこられた子どもにとっても変わらなく大切なことです。


子どもはその発達の特性から、近くにあるすべてのものを自分用だと思ったり、過去の怖い経験が、同じ場面では必ず繰り返されると感じたりすることがあります。

診察室にある怖い器具も全部自分のために用意してあるんだと感じたり、またちっくんして痛い思いをしなくちゃいけないんだと、思うことがあるのです。

つまり子どもたちにとって「病院」という場所は、私たち大人が思っているよりももっと怖い場所に見えることもあるのです。


だからこそ、子どもの疑問や不安に、大人のほうからアプローチしていくことが大切だと思っています。


もしお子さんが病院に行くことになったら、できる範囲で、起こりうることを伝え、不安に思うことについて耳を傾けてあげていただければ、と思います。

ご家族がそうすることで、逆にお子さんが「ぜったいやだモード」になった時には、「わかった、じゃあまず先生に聞こう、手伝うから」と小児科医に丸投げしてくださって構いません!(笑)


大変な思いで連れて来てくださるからこそ。
病院での時間が、子どもにとっても、周囲の大人にとっても、少しでもいいものになるようにといつも考えています。


みんなで協力して、子ども自身が自分のからだに起こることを認識したり、不安や疑問と向き合うようなお手伝いができたらいいですよね。

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病気・怪我・健康 病院 小児科

この記事を書いた人

小児科医 やまぐちありさ

小児科医。
目標は「こどもとその周りで支える人々が、少ししんどい時にこそ、がんばらなくてもいい社会を実現すること」。

高校を中退後、ロンドンのインド人病...

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