私は診察の始めかたとして2つ大事にしていることがあります。
1つ目は、子どもたちが診察にきた際、必ず「こころの準備」ができる時間を設けること。
それは子どもたちと今を共有する、ということです。
・これから行うことの流れ
・すこし痛いこと
・すぐ終わること
・泣いてもいいこと
子どもが不安や心配を抱いたまま診察が始まることがないよう、こちらが伝えられる情報をきちんと伝え、また子どもがなにか聞いておきたいことがないか心配なことがないかも合わせて聞くようにしています。
そして2つ目は、子どもに「選択肢」のある処置を行うことです。
たとえば注射の場合、
「右のおててがいい?左のおててがいい?〇〇くんが選んでいいよ!」
「〇〇ちゃん、今日は座ってやる?寝てやる?」
「じっと見ていてもいいし、こっちのアンパンマンを見ていてもいいよ!どうする?」
というように、声をかけてから、注射をします。
ここで大切なのは、子どもに選択肢があるということ。
仮に子どもが選べなくても、大丈夫です。
選べなかったら次の提案をスムーズに出します。
「そっか、じゃあ〇〇くんはお箸をこっちで持つから、反対にしとく?」
「じゃあ楽チンなように、寝てみる?」
「見てると心配になっちゃうかもしれないから、アンパンマンとにらめっこにしとくか!」
こうすれば、子どもが自信を無くさないようにサポートすることができる、と考えています。
このようにやむを得ず強制された状況を、自分で選び取った印象に変えるだけで、子どもたちは「自分は大切にされている(権利は守られている)」と感じ、結果驚くほど主体的に診療に協力してくれるようになります。
これはきっと、病気の子どもに限ったことではありません。
苦手な野菜を食べる食器の色。
宿題の順番。
大切な場面で履く靴。
「どっちがいい?」を取り入れることができるきっかけは、お家の中にもたくさんありそうだなと思っています。
「どうしたい?」ー小児科医が目指す、子どもに選択肢がある診察室とは【きょうの診察室】

どんな子どもでも、子どもらしく主張し、成長し、選択する力と権利を持っています。今回は医療現場の子どもに関わる際のヒント「チャイルド・ライフ」から、子どもの力を支え、引き出すコツを一緒に学びましょう!
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