子どもの病気の中には、おなかが痛くなるものがたくさんあります。
痛がる我が子をみて、「”もうちょう(虫垂炎)”かも?」「まさかあの腸重積!?」と心配されるご家族も多いのではないでしょうか。
もちろんそういった病気もたくさんありますが、実は腹痛の原因で多いのが「便秘症」です。
病院に来た時には、痛みに顔をゆがませていた子が、浣腸をしていっぱいうんちがでて、すっきりした顔で小躍りしながら帰るうしろ姿を、いろいろな意味でほっとしながら見送ることがよくあります。
おなかが痛くて診察に来た子どもが便秘だったことが分かると、「なんだ、ただの便秘か」と思う親御さんも多いようです。
しかし私は、便秘はあなどれない病気だと思っています。
基礎に重大な病気があることもありますし、そればかりではなく、
・おなかが痛くなって園や学校で恥ずかしい思いをした
・トイレにずっとこもっていてバカにされ、嫌な思いをした
・浣腸をして怖い思いをした
…など、子どもの自尊心や、恐怖心、不安などに関わることの多い病気だからです。

「おなかが痛いとお母さんが○○」…ある女の子の一言にハッとさせられる【きょうの診察室】
大切な我が子が体調を崩したとき…みなさんはどんな気持ちになりますか?きっと心配でたまらず、早く良くなってほしいと思うでしょう。実は子どもはそんな大人のことを、よーく見ていて、ときにこんなふうに気遣ってくれているのです。
たかが便秘、されど便秘

きょうの診察室:「おなかが痛いと、お母さんが…」
ある日の救急外来でも、おなかが痛いと言って受診した3歳のSちゃんが、浣腸をしてすっきりしたということがありました。
帰り際にお母さんに「よかったですね」とお伝えすると、「実は、Sちゃんは産まれてからずっと、便秘がちなんです。」とご相談してくれました。
産まれてから“ずっと”とおっしゃるので、その背景にほかの病気がないかなと思い、詳しく話を伺うことにしました。
私:「それは今まで、お子さんもお母さんも何回も何回も大変な思いをしたでしょう。」
お母さん:「便秘なんかで救急受診に来てごめんなさい。便秘でもちゃんと話を聞いてくれると思わなかったです。」
私:「便秘はお子さんや家族の生活に大きな影響をあたえる大事な病気なので、ご相談いただきありがたいです。」
お母さん:「そうなんだ・・・。」
お母さんはそう言い、これまでSちゃんが排便のたびに泣き叫ぶので、一緒につらい想いをしてきたことを話してくれました。

お母さん:「おなかが痛いってなると、便秘だと分かっているのでトイレで格闘するんですけど、なかなかうんちは出てこないし、おなかが痛いのも治らないしで、Sちゃんは泣きだししまって…。
私もそのたびに必死になって、「うんち出すのよ!」とつい大きい声をだしながら言ってしまっていたんです。
いちど、おなかを押さえているから「痛いの?」って聞いたらSちゃんが、
『おなかいたいと、おかあさんが、おこるから・・・』
と言ったことがあって。はっとして、すごくショックだったんです。」
その後、外来で慢性便秘の治療をして、うんちの時間が以前ほどしんどくなくなったSちゃん。
お母さんも、「うんちのたびに緊張することがなくなりました」と笑顔で通院されています。
Sちゃんもお母さんも、ずいぶん肩に力を入れてがんばっていたんだな、と、二人の表情を見るたびに感じます。
子どもを怒ってしまったご家族に伝えたいこと
誰しも、病気の我が子を怒りたいわけではないと思います。
もちろん、病気になった子ども自身も、病気になって誰かを困らせたくて、病気になったわけではありません。
そうわかっていても、何度も何度も同じことが繰り返されたり、今回のように、「こんなことで」と遠慮して誰にも相談できなかったりすると、子どもに対して怒鳴ってしまったり、冷たくしてしまったりすることもありますよね。
親であるまえに、人間だから、きっとあたりまえのこと。
でも、息詰まる前に空気が抜けたら、もしかしたら怒らずにすんだかもしれません。
私は「怒る家族にこそ、あったかいことばが必要なのだ」と、思っています。
だから、私たち家族の周りにいる人ができるのは、相談の窓口を広くあけておいて、お母さんが息詰まる前に相談してくれるようにサポートすること。
あるいは、もし怒ってしまってもへこみすぎないように、そばにいること。
怒ってしまったご家族へ。
怒ってしまうのは、あなたが悪いからではなくて、きっと怒りたいくらい必死で、しんどかったから。
ほかの家族でも、友人でも、小児科でも。
門をたたいて、ゆっくり深呼吸できますようにと、応援しています。

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