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弛緩出血とは?10の原因・症状・診断方法・治療法まとめ

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出産で「おぎゃー!」と産声を上げて、元気な赤ちゃんが誕生したら、お母さんは生まれてきた赤ちゃんとの対面で、感動の瞬間を迎えるとともに一安心ですよね。ただ、産後に出血が多く、母体の経過観測を必要とする場合もあります。規定よりも出血が多いことを弛緩出血といいますが、その原因や症状、診断方法、治療法について、ご説明します。

出典:http://amanaimages.com/info/infoRF.aspx?SearchKey=11044015527
目次 弛緩出血とは
弛緩出血の10の原因
弛緩出血の症状の現れ方
弛緩出血の診断方法
弛緩出血の治療法・手術
まとめ

弛緩出血とは

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通常のお産では、産後、赤ちゃんや胎盤が娩出された後、空っぽになった子宮は急速に収縮を行うことによって、胎盤の剥離部(はくりぶ)の断裂した血管や子宮静脈洞を圧迫し、出血を減少することができます。出血の程度は、一般的には200~250ml程で、500ml以内であれば正常範囲です。

しかし、何らかの原因により、子宮がうまく収縮しない場合には、血管が圧迫されずに、大量の出血が続きます。500mlを超えた異常出血のことを、弛緩出血といいます。

弛緩出血は、長時間分娩により、子宮筋が疲労を起こした場合や、巨大児出産などにより、子宮筋が伸びきってしまった場合などが原因で起こります。出血多量の場合は、まれに出血性ショックやDICを引き起こし、母体に危険を及ぼす可能性があります。

弛緩出血の10の原因

産後、子宮の収縮不良により、出血が止まらなくなる弛緩出血は、次のようなことが原因で起こるといわれています。

1. 巨大児、羊水過多、多胎妊娠
巨大児や羊水過多症、多胎妊娠によって、子宮筋が過度に伸展してしまい、子宮の収縮力が弱くなり、弛緩出血が起こります。

2. 遷延分娩(せんえんぶんべん)による疲労
遷延分娩とは、初産婦で30時間以上、経産婦で15時間以上かかる分娩をいいます。分娩がこのような長時間に及んだ場合、子宮筋が疲労を起こし、収縮力が弱くなり、弛緩出血が起こります。

3. 子宮筋腫
子宮筋腫は、30歳以上の女性の3~4人にあるといわれていますが、子宮筋腫を持ったままの妊娠は、さまざまなリスクを引き起こす可能性があります。そのひとつが、弛緩出血で、筋腫により、子宮の収縮が妨げられることで、出血が止まらなくなる恐れがあります。

子宮筋腫は、30歳以上の女性の3~4人にあるといわるほど婦人科ではポピュラーな疾患で最近
増える傾向にあると言われております。

4. 子宮腔内への遺残
子宮腔内に、癒着した胎盤や胎盤片、卵膜、凝血塊などが残っていると、子宮の収縮が妨げられ、出血が止まらなくなる恐れがあります。

5. 全身麻酔薬
全身麻酔薬の影響で、子宮の感覚が麻痺し、正常な収縮が行われないことにより、出血が止まらなくなる恐れがあります。

6. 子宮収縮剤の長時間投与
微弱陣痛に対し、子宮収縮剤を長時間投与すると、子宮筋が疲労を起こし、適切な収縮が行われず、血液が止まらなくなる恐れがあります。

7. 急速遂娩
分娩中に、母体もしくは赤ちゃんの生命に危険な状況が起こり、吸引分娩、鉗子分娩(かんしぶんべん)、ないしは帝王切開により、急速に赤ちゃんの娩出を行うことを、急速遂娩(きゅうそくすいべん)といいます。急速遂娩後の子宮収縮の不良により、出血が止まらなくなることがあります。

8. ぼうこう、直腸の充満
尿や便で、ぼうこうや直腸が充満した状態の場合、子宮の収縮を妨げ、出血が止まらなくなることがあります。

9. 前置胎盤
前置胎盤とは、胎盤が正常より低い位置に付着し、胎盤が子宮の出口にかかっていたり、覆っていたりする状態をいいます。その頻度は、全分娩の0.3~0.6%といわれています。

前置胎盤の場合、子宮下部の筋組織が乏しいため、うまく収縮せず、ここに胎盤が付着していると、血が止まらなくなることがあります。

胎盤が正常より低い位置に付着し、胎盤が子宮の出口(内子宮口)にかかっていたり覆っていたりする状態を「前置胎盤」といい、その頻度は、全分娩の0.3~0.6%といわれています。
(日本産婦人科学会HP)

10. 常位胎盤早期剥離
常位胎盤早期剥離とは、まだ赤ちゃんがお腹の中にいる状態で、子宮壁から胎盤が剥がれることをいいます。胎盤がはがれると、子宮壁から出血し、胎盤と子宮壁の間に血腫ができます。これが要因となり、子宮の収縮がうまく行われず、弛緩出血の原因となることがあります。

弛緩出血の症状の現れ方

弛緩出血になると、どんな症状が現れるのでしょうか?
弛緩出血は、胎盤娩出(べんしゅつ)直後から、持続的あるいは間欠的に、大量出血がみられることが特徴です。また、出血の血液の色が、静脈血成分を含むため、暗赤色であることも、大きな特徴です。

突発的に大量の出血が噴き出すような場合もあれば、じわじわと長い時間出血する場合もあり、個人差があります。出血による痛みはありません。

出産後は通常、悪露(おろ)という、子宮内膜や卵膜、胎盤の残りなどが流れ出る出血がありますが、悪露は、子宮の急速な収縮によって出されるもので、正常な出血です。

弛緩出血の場合は、子宮の収縮不良が原因で起こるものなので、子宮筋が弛緩しているため軟らかいことも、大きな特徴です。

また、子宮腔内に血液がたまると、子宮底が上昇し、子宮底を圧迫することによって血液が噴き出します。出血量が、1,000mlを超えるとプレショック状態となり、2,000ml に達すると出血性ショックとなります。

出血が1,000mlを超えるとプレショック状態となり、2,000mlに達すると出血性ショックとなる。
さらに出血が増量すると消費性凝固障害によるDICを発症する。
(日産婦誌60巻4号)

このように出血が多量になると、脱力感、あくび、めまい、寒気、冷汗、悪心、吐き気、嘔吐、口が渇く、苦悶、呼吸困難、顔面蒼白、チアノーゼ、頻脈、血圧低下などの症状がみられます。

重症になると意識障害の症状がみられるようになります。さらに出血量が増えると、消費性凝固障害によるDIC(播種性血管内凝固症候群)を発症してしまうこともあります。

弛緩出血の診断方法

弛緩出血が疑われる場合、どのような診断が行われるのでしょうか?診察方法について、ご説明します。

弛緩出血は、

■子宮が大きく膨らんで軟らかい
■静脈血を含んだ暗赤色の出血


という特徴的な症状が出るため、比較的容易に診断が出るようです。

ほかに出血を起こす原因疾患がなければ、弛緩出血と診断されます。特に、子宮底を圧迫し、凝血塊などが噴き出したら、弛緩出血だと確定されます。

内診では、血液の色調や凝固の有無など、また、産道損傷や血腫の有無、子宮収縮の状態などの診察が行われます。また、全身状態を調べるために、血圧、脈拍数、血球数算定、凝固能検査などが行われます。ここでは、特に、貧血の程度と、DIC(播種性血管内凝固症候群)の合併の有無について調べます。さらに、出血部位を、内診、外診、超音波検査、CT検査などによって診断、特定されます。

なお、弛緩出血と似ている病気に、頸管裂傷(けいかんれっしょう)がありますが、これらは症状が異なります。弛緩出血は、胎盤を娩出後、暗赤色の出血が起こりますが、頸管裂傷は、胎児娩出直後に鮮紅色の出血が起こります。また、子宮収縮については、弛緩出血の場合は、子宮収縮が不良ですが、頸管裂傷の場合は、子宮収縮は良好です。

他に、弛緩出血と似ている病気には、子宮内反症、子宮破裂があります。弛緩出血の場合は、腹痛がありませんが、子宮内反症や子宮破裂の場合は、激しい腹痛が起こるため、症状が異なります。

とにかく、弛緩出血を含む産後の過多出血の場合、出血が多量になりDICを併発する前に、迅速に診断を行い、適切な治療を行うことが重要です。

弛緩出血の治療法・手術

弛緩出血と診断されたら、どのような治療法や手術が行われるのでしょうか?

まずは子宮の収縮をうながす治療と止血が行われます。

■子宮遺残物の除去
子宮腔内に残っている遺残物などを除去します

■子宮底輪状マッサージ
子宮をお腹の上からマッサージして、収縮させます

■導尿
膀胱が充満している場合は、導尿をします

■腹部氷罨法
腹部に氷嚢を置き、腹帯を強く締め、子宮体部を冷やします

■双合子宮圧迫法
膣内に入れた手と腹壁上の手の間に子宮を挟み、5~10分間、圧迫します

■薬物療法
子宮収縮剤の注射が行われます

■強圧タンポン法
子宮腔内、膣内に、ヨードホルムガーゼや滅菌ガーゼを入れて、圧迫止血します

■バルーンタンポナーデ法
メトロイリンテルというバルーンを子宮内に入れ、滅菌水等で膨らませ、その圧力で止血する治療法です。

■外科的治療
上記に挙げた治療法によって効果が出なかった場合は、次の外科的治療が行われます。

・子宮動脈塞栓術
局所麻酔を行い、足の付け根の動脈からカテーテルを入れ、子宮動脈まで誘導してから塞栓物質を注入し、止血する方法です。塞栓物質を注入したら、すぐカテーテルが抜かれるので、お腹を傷をつけず、かつ子宮を温存でき、翌日には歩行可能です。

・子宮動脈結紮術・内腸骨動脈結紮術
結紮術(けっさつ)とは、止血のために血管などを結んだり、臓器摘出で、周りの組織から分断するために糸で結ぶなど、結ぶことによって治療を行う手術方法をいいます。弛緩出血の治療においては、子宮や内腸骨の動脈を結ぶことで、止血を行います。

・子宮全摘出術・膣上部切断術
上に挙げた治療法を行っても効果が見られない場合には、子宮全摘出や膣上部を切断する手術が行われます。

弛緩出血と診断されたら、出血多量になるまでに、迅速に適切な治療が行われることが重要です。

まとめ

弛緩出血は、予防ができない、誰でも起こりうる大変危険な病気であることが、おわかりいただけたのではないでしょうか?主治医の先生が、毎日の診察の際に、お腹をぐっと押して、「子宮がちゃんと収縮してますね。」と確認されていたり、出血の具合を確認していたのが、弛緩出血していないかどうかの確認もあったんだなと、今にしてよくわかりました。

出産は、かわいい赤ちゃんの誕生という幸せの一方で、大変なリスクが伴うことも事実です。弛緩出血など、出産時に起こりうるリスクについても、出産前にぜひ、知識として知っておいていただければ、幸いです。

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この記事を書いた人

りこ

5歳の娘を持つ母親です。
42歳で出産しました。

これまで、営業事務、総務、経理、秘書、営業職など、幅広い業務を経験してきました。
ずっと仕事一筋でし...

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