日本の男性が育児休業取得するのはたったの2.3%。しかし世界を見ると、ノルウェーやスウェーデンでは何と80%以上の男性が育児休業を取っています。
なぜ日本は少ないのでしょうか。いろんな背景や考え方がありますが、日本は制度として「奨励」の色合いが濃く、ノルウェーなどの北欧諸国は「積極的に」だからではないかと考えます。
私は、短期間オランダで育児をした経験がありますが、保育園の送りも迎えのどちらも母親一人がしていたのは、日本人だけでした。
国際的には、多くの男性が取得している育児休業。「育児」の「休業」である育児休業ですが、そもそも育児休業の目的はどのように認識されているのでしょうか。
厚生労働省のホームページには、「労働者の職業生活と家庭生活との両立が図られるように」と記載されています。
夫婦から家族のスタートとなる「赤ちゃん期の育児」は、慣れないことの連続で緊張も強いられることでしょう。パパが、オムツ交換や沐浴を手伝ってくれたらとても心強いはず。
しかし、ママが育児を大変だと感じるのは、オムツ交換や沐浴といった育児のひとつひとつではなく、「たった一人でわが子を守る緊張感」「不測の事態にもたった一人で対応しなくてはならない不安」なのではないでしょうか。新生児期にパパが育児休業をするとき、多くの家庭ではママがそばにいるため、この「たった一人でわが子を守る緊張感」を体験することはありません。
妊娠をパパが交代できないのと同じように、母乳育児もパパは交代できません。
しかし、パパがママと対等に育児を頑張ろうとして授乳も体験したいあまり、「ミルクでもいいんじゃない?」「ミルクなら俺でも飲ませられるよ」と、女性にしかできない母乳育児の役目を奪ってしまうこともあります。
聖マリアンナ医科大学教授の小児科医堀内 勁先生は、講演会の中で「最近は、男女平等が変なことになっている」と話していらっしゃいました。
どれだけ熱心なパパでも赤ちゃんを子宮で育てることや母乳育児はできません。育児中にパパにしかできないこととはなんでしょうか。
それは、全面的にママをサポートすること。
パパには、育児そのものよりも「ママをサポートすること」を何より大切にしてほしいのです。
ママがリラックスできるように、緩めること、笑わせること、話を聴くこと…。ひたすら、ママの気持ちを聴き、共感する。ママが、心から安心して育児ができる環境を整えること。それはパパにしかできません。
ママの話を聴くときには、パパが会話をさえぎることなく、「それで?」「それで?」と聴いてあげてほしい。
そして最後に「大丈夫だよ、何かあったら俺が守るから安心していいよ」「絶対俺がそばにいるから」と安心させてあげてほしい。
ママが疲れている時は、マッサージをしたりハグをして、ママの心にたくさんチャージしてあげてほしい。
「夫婦の会話時間と夫婦関係満足度は比例している」という研究結果(シカゴ大学社会学教授の山口一男先生による)もあるほどです。