前編では、株式会社メルカリで人事をご担当されている石黒さんご自身のキャリアや、育休を取るようになったきっかけについてお伺いいたしました。後編では、株式会社メルカリの社風や人事制度についてお話をお伺いします。
−石黒さんご自身は育休も取り、家庭とのバランスをうまく取っていることがわかりましたが、他の社員の方についてはいかがでしょうか。
メルカリは、創業3年の会社とは思えないくらい、みんな帰りが早くてですね。公私のバランスがいい方が多いですね。21時以降に残っている社員というのは、ほんの数人のことが多いです。
家族と仕事のバランスで悩んでいるようなメンバーに「プライベートも大事にしてほしい」という意味でよくするのが、「家族の一大事にどうするか」という話。
例えがあまりよくないのですが、みんなきっと、「おばあちゃんの生命に係る一大事がおこった」ってなったら、すぐに仕事をやめておばあちゃんのところに行くじゃないですか。
そう考えると、大事な何かを放っておいてまでするべき仕事って何なんだろう?と思いませんか。つまり、「おばあちゃんの命」より大事な仕事って、世の中そんなにないんですよ。
その他にも「子どもの授業参観で」ってなったら、なぜ仕事を休めないのか。「子どもが風邪で」ってなったら、なぜ忘年会を休めないのか。
忘年会に行かなくて崩れる信頼関係があったとしたら、そんな信頼関係、最初から無いも同然です。
子どもが熱を出したとき、急遽休んで飛ぶような商談なら、子どもが熱出さなくても飛んでいた商談だし、それ以前に信頼関係を築けていなかった自分が悪いと思うんですよね。
−石黒さんが人事として「働き方」を考えるとき、意識していることはありますでしょうか?
前職で人事の上司に言われた「人事は平等ではないが公正であれ」という言葉が記憶に残っています。平等、イコールというのは、みんなが同じことを同様にしよう、という考え方。公正、フェアというのは、違うものであってもそれを正しく評価する、ということです。
仕事って実は、全く同じポジションってなかなかないんですよね。だから、「みんなが平等に同じことをやること」ではなく、大切なのは「違う仕事であっても、フェアに評価すること」なのだと思います。
日本の企業では、まだまだこの平等、イコールの概念が強い。ですからみんな同じくらい残業して、同じくらいの時間帯に働かなくちゃいけない。でも、本来必要なのはフェアな評価です。
じゃあどうやったら「公正に・フェアに」評価できるかというと、そのためには成果の明確な軸がないといけないんですね。メルカリは、実力で評価される会社。だからこそ、しっかりとした評価軸が求められますし、評価のための面談も丁寧に行われています。
−メルカリの人事制度はとても充実していると伺いました。具体的にどのようなものがあるのでしょうか?
手前味噌ですが、メルカリは創業3年目のスタートアップとは思えないほど、人事制度が充実している会社です。
たとえば入社後すぐに有休が付与されたり(一般的には入社後半年で3日の有休付与が多い)、10時〜16時がコアタイムのフレックスタイム制度(エンジニアやプロデューサーは12時〜17時がコアタイム)だったり、副業を推奨していたり。
先日は男性初の育休取得者も出ました。
−石黒さんも利用している制度はありますか?
フレックスタイム制度ですね。
僕は人事という仕事柄もあり、勉強会や採用関連で会食に行くことが多々あります。例えば16時に仕事切り上げ帰宅、子どもをお風呂に入れてご飯を食べて、19時半にまた家を出て、20時から会食や勉強会に参加というようなこともあります。
2往復するのは馬鹿らしくない?と言われることもあるけど、僕にとっては、子どもとご飯を食べるその時間が大事。これはやっぱり外せない自分の「ものさし」なんですよね。
〜編集部後記〜
2015年12月に実施したインタビュー後、メルカリは2月1日に新しい人事制度「merci box」について発表しました。