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体験談:重度のアレルギーは、レベルが違う<3>息子の食物アレルギー

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息子は「重度のアレルギー」です。全5回にわたり自身の経験と思いをお伝えいたします。第3回は「誤飲による事故について」。何でも食べられる子どもがいる一方、毎回の食事が命がけの子どももいるのです。「うちの子好き嫌いして困るわ」という声を聞くと、「なんて贅沢な悩みなんだ」と思ってしまうのです。

出典:http://amanaimages.com/info/infoRF.aspx?SearchKey=30701000351

私の息子は「重度の食物アレルギー」があります。その私の体験談を綴った第3回目のシリーズ。
『1人でできる子が育つ テキトー母さんのすすめ』の著者、立石美津子が「誤食による事故について」お話ししたいと思います。

食物アレルギー親の会に参加をして

ご先祖様から他にたくさん良いものを受け取っているのだから“アレルギー体質”もあるがまま受け入れようと決心はしたものの…

やはり、何でも自由にお菓子を食べているママ友の子、ファミレスで好きなものを注文できる子どもを見ると羨ましく、また妬みの気持ちさえ沸き起こってきました。「うちの子好き嫌いが多いわ」なんて嘆いているママを見ると「なんて贅沢な悩みを言っているんだ!」と感じました。

そんな時、“食物アレルギーの子どもを持つ親の会”が目に留まり早速、入会。同じ悩みを持つ仲間で一緒に遠足に行きました。

行先は遊園地、ランチ時間、ベンチで向かい合って息子にパンを食べさせました。すると、前のお母さんが一言、私に向かってこう言ったのです。

「うちの子は小麦アレルギーがあるのでパンを近くで食べないでもらえますか?粉が呼吸器に入ると死んでしまうんで。」

本人が食べなくても粉が舞い散ってショックを起こすというのです。実際、パン屋さんの前を通ると具合が悪くなるのだそうです。


その時「私がアレルギーがない子を持つママを羨ましく思ったように、この親御さんからは、私たち親子は恨めしい目で見られているのかもしれない」と思いました。

そして、正直こんな感情を持ちました。
「我が子が大変だと思っていたけれど、それ以上に大変な子どもや家族はいる。」

それは、どんなに給料上がっても、どんなに成績良くても、上には上がいて下には下がいるように…
どんなシーンでも言えることだったのです。ない物ねだりしてはならないのですね。

「“絶対評価”ではなく、他との比較で“相対評価”ばかりしていたら精神的に持たないなあ」と思いました。

そうは思っても、やはり「普通に食事できる幸せ」を気にもとめてないママたちに物申したい気持ちをぐっと押さえながら…

「この間、遠足に一緒に行った子どもは毎日大変だなあ。でも、息子は小麦アレルギー、大豆アレルギーではないからまだましだ。うどん、パスタ、パン、納豆、豆腐は食べられるじゃあないか。牛乳、卵だけ除去すればいいなんで幸せじゃあないか」と自分を慰めていました。

チーズを食べて亡くなってしまった女の子

主治医からも「乳製品や卵のアレルギーは大きくなって治ることが多い」と聞いていたので、少しは希望を持っていました。ところが私の常識を覆す事故が起こりました。

“チーズ入りの給食を食べた女児死亡事件”

東京都調布市の市立富士見台小学校で、小学5年の女子児童が給食を食べた後に体調不良を訴え、搬送先の病院で亡くなりました。

女児はチーズなど乳製品にアレルギーがありましたが、その日の給食で出された粉チーズ入りのチヂミを食べてしまいました。女児に最初に出されたチヂミにはチーズは除去されていました。

しかし、担任教諭が女児がおわかりを求めた時、誤って粉チーズ入りのチヂミを渡したことが判明しました。


さらに状況が悪かったのは、女児はエピペン注射を携帯していましたが、「苦しいのは軽い喘息発作を起こしただけ」と本人が言いはり、担任教諭が注射を打とうとしたところ拒否したのです。その言葉をそのまま信じた先生でした。

しかし、その後、事態は悪化。急変した女児を見て校長がエピペン注射をしました。しかし、タイミングを逃したエピペン注射は命を救うことができず、悲しいことに女児は給食を食べてわずか15分後には息絶え、救急車が到着した時点では亡くなったのです。

※エピペン注射・・・アナフィラキシー症状の進行を一時的に緩和し、ショックを防ぐため患者自身が自己注射する補助治療薬

体験談:重度のアレルギーは、レベルが違う<3>息子の食物アレルギーの画像2

「エピペン注射」の現実

子どもが幼い当時はエピペン注射は保険もきかず1本15,000円、しかも消費期限は1年間。
しかも打つのが許されているのは本人か親が医療従事者だけで、保育園、幼稚園、学校の先生が打つことは禁止されていました。

でも看護師が常住している園ではありませんでしたので、保育園に「エピペン注射を預かってください。いざと言うときは打ってください」とお願いしても「それはできません。連絡しますからお母さんが来て打ってください」と言われました。

「ショックを起こして数分後に死ぬかもしれないのに私の到着を待っていたら間に合わない!」と抗議しましたが「保育士は打ってはいけない決まりになっているので申し訳ありません」と言われてしまいました。
これは国の決まりなので保育士が悪いのではありません。仕方がないのです。

何とも意味のない注射です。アレルギーの子に救世主となる注射がやっとできたのに、まさに“宝の持ち腐れ”です。
苦しんでいる本人がエピペンがしまってある自分のかばんまで這って行って、打たなくてはいけない状況は本当に現実的なのでしょうか?ショックを起こした時は一刻を争う事態で、親が駆けつける時間的余裕もありません。
でも、保育園の先生は法律上打つことができない、変な注射でした。

この状況が問題視され、現在は医療従事者以外の人が救命のために打ってもよくなりました。
でも医師でもないのに人に注射をするのは怖いですよね。こんなに太い注射です。

体験談:重度のアレルギーは、レベルが違う<3>息子の食物アレルギーの画像3

でも “エピペンを打ったために死ぬことはないが、エピペンを使わなかったために死んでしまうことがある”のです。
だから勇気を奮って打ってほしいのです。


この誤食事故以降、どの学校もかなり神経質になりました。エピペン注射を打つ研修も教師は盛んに受けています。
アレルギー児を持つ家庭には今まで以上に細かい成分表が渡され、3回に渡るチェックをします。

給食も今では、銀紙で覆われ給食室に先生と一緒に受け取りに行くくらい厳重です。
他の生徒の給食があるカートに紛れることはありません。

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この記事を書いた人

立石 美津子

子育て本著者、講演家、自閉症児を育てる母親

著書は『小学校に入る前に親がやってはいけない115のこと』
『読み書き算数ができる子にするために親がやっては...

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