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「自閉症には特別な才能がある」って言わないで

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「私の子どもは自閉症なんです」というと必ずと言っていいほど「だったら秀でた隠れた才能がきっとあるはずよ」と励ましてくれる人がいます。私のことを勇気づけるつもりで言ってくれていて決して悪気はないのですけれども、当事者の親としてちょっと疑問に感じることがあるのです。

人は人を型にはめたがります。
例えば、“男の子の育て方”、“女の子の育て方”の子育て本を読んだり、“一人っ子だからワガママだ”とか、“B型だから”“東京の人だから、大阪の人だから”…数えきれないくらい、そういった「型」にはめて、決めつけてしまうことは誰でもよくあることでしょう。

また、その中でも「障害児の親は人徳者で、障害児は天使で癒される」と言われることがあったり…
でも、私は“最初に型ありき”ではなく、“育ち”に影響されて人間はでき上がっていくものだと思っています。

人が無意識にはめてしまう「型」について、『1人でできる子が育つ テキトー母さんのすすめ』の著者の立石美津子がお話したいと思います。

よくある会話のパターン

知り合いになったばかりの人とのおしゃべりです。
Tさん(仮名)、とここでは書いておきます。


Tさん「お子さんは何歳?」

立石「はい、中学生なので今、15歳です」

Tさん「じゃあ、勉強大変でしょ~塾代とかもかさむし、いろいろ物入りの時期ね~」

立石「いえいえ、息子は知的障害のある自閉症なんで~だから勉強とは縁がないんです~塾とかも行ったことないし毎日、楽しく暮らしています。ずっと公立だし高校も都立だし教育費もかさみませんよ~」

Tさん「ああ・・・そうだったの・・・・」
 (Tさんは、何だかいけない話題を出してしまった・・・と気まずい顔をしている。)

  しばらくの沈黙の後…

Tさん「でも自閉症の人って、きっと何か秀でた才能あるわよね。そこを伸ばしてあげたらどうかしら?」

立石「そうですかね・・・・今のところ、特に才能があるとは思えないんですけど」

…会話終了!


私を励ますつもりで言ったのに、ピシャッと言い返されてかわいそうなTさんでした。
※同じように言ってくる方はかなり沢山いるので、以下、仮称“タクヤマさん”、Tさんとさせていただきました。

このように、“自閉症の人=秘めた才能がある”と思われている風潮があります。

「才能開花」を期待して…

息子は2歳の時、自閉症と診断されました。

保育園でじっと座っていられず、また、そうかと思うと、みんなで合唱の時は一人で座り込んで読書を始めるのです。
その様子に、他の子と比べて一喜一憂する毎日でした。

息子が自閉症と診断されて半年間、私は鬱にもなりました。

「自閉症には特別な才能がある」って言わないでの画像1
「自閉症には特別な才能がある」って言わないでの画像2

けれども、時が過ぎ、息子の状況を次第に受け入れ始めた直後のこと。

私は作家の大江健三郎さんの自閉症の息子さんで日本ゴールドディスク大賞を受賞した作曲家の大江光さんがピアノを上手に弾いている姿をテレビで見て奮い立ってしまいました!

「そうか!自閉症って何か特別な能力あるんだ~」と妄想し、椎名町にある“一音会”という日本でも有名なピアノ教室に、片道1時間半かけて、3歳の息子を通わせることにしました。

その一音会には、「ピアノの技術をマスターするクラス」と「絶対音感をマスターするクラス」があり、両方のクラスに通うのが入会の条件でした。

20種類の和音を聞いて、旗を揚げる訓練があり、通常は1年は要すと言われ、長く習得にかかる子だと数年かかるとも言われていました。ところが、息子はたった2ヶ月でその訓練をマスターしたのです。先生からも「今まで指導した中で、一番早く習得した」と言われ、「ああ、大江光も夢じゃないかも!息子の稼いだお金で隠居生活!と妄想は加速していきました。

そのため、中古でしたが「ピアニストにするのには電子ピアノではダメだ~」と思い30万円もするピアノを買いました。当時は狭い家に住んでいたので置き場所がなく、ベットを捨てて布団に変え、ピアノを置く場所を確保。
ピアノが家の中心にあるレイアウトになってしまった、狭小の賃貸マンションになりました。

「自閉症には特別な才能がある」って言わないでの画像3

その1年後には

息子の才能は開花…することなく、そのピアノ教室は1年後に退会することになりました。
30万円した中古のピアノは、4万円で引き取ってもらうことに…。

その理由は何だったのかと言うと、
耳は良くてもピアノを弾くことに興味を全く示さなかったからです。

興味を示さないどころか、練習をひどく嫌がり続けられなくなりました。
息子は聴覚過敏で、音が嫌だったみたいです。私にも、それ以上やらせる根気はありませんでした。

息子には15歳になった今でも聴覚過敏がありますが、音が聞こえ過ぎてしまうようで、昔は掃除機、ドライヤー、洗濯機、バイオリンの音色、赤ちゃんの泣き声など、多くのものを嫌がり、苦労している様子でした。

そもそも、息子が幼いころを思い出してみると、0歳4ヶ月の時、お腹にいる胎児のころから胎教でずっと聴かせていた“ビバルディの四季”のCDが壊れてしまいました。
同じ曲ですが、違うオーケストラのCDを買ってきたところ、ある特定箇所になると火が付いたように泣いていたのです。

さらに、何ヶ月してから、もともと胎教の時にきかせていた前のオーケストラのCDを買って聴かせたら、同じ部分でも泣かないことを発見しました。

その時、まだ産まれて半年も経っていなかったころなので自閉症だとは気づいていませんでしたが、「この子、音の聴き分けができるんだ。耳がいいんだ」と思っていました。

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この記事を書いた人

立石 美津子

子育て本著者、講演家、自閉症児を育てる母親

著書は『小学校に入る前に親がやってはいけない115のこと』
『読み書き算数ができる子にするために親がやっては...

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