歩道を渡ろうと思ったら信号は赤。なかなか青にならなくてイライラ。せっかちな子どもも、まだかまだかと飛び出しそうで、危ない。そんなときは厳かに「待って。ママが信号を青にしてあげるわ。まだまだ。そろそろよ。」ともったいぶって、反対側の信号をチェック。
反対側の信号がチカチカし始めたら、そろそろ青になるタイミングがわかりますね。そのタイミングを推し量って、おもむろに「いい?見ててね。いーち、にーの、さん。えい!!」あら不思議、ママの掛け声とともに、信号が青に変わった!
そんなことがあった日には、もう子どもの目は尊敬の眼差しでキラッキラです。
壁伝いにズルズル歩く男の子。早く歩かないと幼稚園に間に合わないそうにありません。そんなときには「あ!ちょっとみて。ティンカーベルがいるわよ!」と叫んでみましょう!秘密は、時計に反射した日光が壁に当たってチカチカしているだけ。それを巧みにママの腕さばきで動かして、「ティンカーベルじゃない?あれ。そら捕まえて!そらそら!」「ほんとだ!ママ、ティンカーベルだ。まてまてー!」それそれとティンカーベルを追いかけながら猛然とダッシュして幼稚園まであっという間に着きました。
もちろん、その夜はパパに「今日さ。ティンカーベルがいたんだよ。もうすぐで捕まえられるところだったんだ。」とご報告。当然ママも「惜しかったわねえ。」とうなづいてみせます。「また来てもらうようお願いしておくね、ママお友達だからさあ。」これで、尊敬されること間違いなしです。
スプレー容器に水をいれ、太陽を背にして「ジニジニロイナナ、ペッケラポン」と呪文を唱えてから水をシュッ!もちろん庭の水まきの時に、ホースの水を使ってもOK。おお!目の前に七色に輝く虹が…。
「ぼくも、ぼくも」。子どもはもちろん真似をしたがるので、「やってごらん。」と、“太陽に向かって”水をかけさせます。この“太陽に向かって”というところがポイントです。当然のことながら、虹はできません。
「えーん、できないよう。」と悲しむ子どもに「ジニジニロイナナ、ペッケラポン!」と呪文をかけて、えいや!っと抱っこして、身体の位置を半回転!「もう1回やってごらん?」すると、当然、太陽に背を向けて立った子どもも、虹を作ることに大成功!「ママ!虹ができた!できた!」と大はしゃぎの子どもたちです。
子どもたちよ、あなた達は、いつも目をまん丸にして大仰に驚き、よく感動してくれて、ママを尊敬の眼差しで見てくれました。ありがとう。
いつの日にか、子どもたちはママが魔法使いでもなんでもないことに気づきます。母親が自分にとってすばらしく大きい絶対的な存在から、ほんの小さな存在へとどんどん変わっていきます。シンデレラの馬車が、いつしかかぼちゃに変わってしまったようにね。
そうやって母から巣立って行くのです。だからこそみなさんには、このほんの短い期間限定のきらめく時期を、大事に楽しんで欲しいと願っています。