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「鶴の恩返し」は私たちに何を教えてくれたのか

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昔話といえばまず思いつくものの中に、多くの人が小さなころに絵本で読んだ「鶴の恩返し」もあるのではないでしょうか。子どもの親となって、我が子に絵本の読み聞かせをする機会ができた今、この「鶴の恩返し」から私たちが学べるポイントをおさらいしてみませんか?

「むかしむかし、あるところに」の効用

昔話(むかしばなし)は民話のひとつ。「ムカシ」「ムカシコ」「ムカシガタリ」などとも呼ぶ。民衆の生活のなかから生まれ、民衆によって口承されてきたもので口承文学

昔話は全国各地に伝わり、この鶴の恩返しをはじめ様々な物語が各地で語り継がれています。

昔は紙でなく口承で民衆の間で伝えられてきたことから、同じ話でも時代情勢やその土地の風俗が加味されて微妙に内容は変わっています。

民俗学の祖とも言われる柳田國男が全国を回って民話採集をし、1910年「遠野物語」で発表しましたが、その地の昔話を知ることでその土地に暮らした人々の様子をうかがい知ることもできます。

また、「むかし、むかし」と時代を定義せず、「あるところに」と場所も明かさず、「おじいさん、おばあさん」と名前も特定しない語り口は、話の真偽の責任から逃げているとも言えますが、一方ではっきりと特定しないことで誰にでも受け入れられやすい話となっているとも言えます。

昔話には子どもへ語り継ぎたい教訓が含まれていますが、それも人と人ではなく人間と動物の関係で語れると説教くさくなく受け入れやすくなります。

鶴の恩返しも地方により内容はさまざま

鶴の恩返しは、助けた鶴がその恩を返すためにやってくるという話です。「おじいさんとおばあさんの娘になる」という話から、「青年の嫁になる」「青年の嫁になり、子どもを授かる」といった話まで様々です。新潟や山形などの北国が発祥と考えられていますが、全国に似たような話が点在しているようです。

鶴の恩返しも、基本の物語は「おじいさんが罠にかかっている鶴を助けてやると、その鶴が若い女性に姿を変えて現れて、自分の羽で機織りをしておじいさんとおばあさんに恩を返す。しかし2人が約束を破り鶴の姿を見てしまったため、鶴になって飛んで行ってしまった」という話です。

「あれ?おじいさんでなくて、若い男の人では?」と思う方もいるかもしれません。地方によっては若い男という設定に変わっていて、この話を元に1949年に木下順二作が戯曲を書き、女優の山本安英が主演を務めた芝居「夕鶴」となったので、こちらを知ってる方も多いかもしれません。

おじいさんから若い男に変わった理由も、寒村で嫁不足が日常的な村だったなどと考えることもでき、とても興味深いですね。

「鶴の恩返し」が教えてくれること

鶴の恩返しから私たちはどんなことを学べるのでしょうか。

●良い行いをすれば必ず良いことで返ってくる
鶴のように空を飛ぶ鳥は天の神様に近い所に居ると考えらえ、神聖なものとされていました。たとえ誰も見ていなくても良い行いをすれば、神様が見ていて必ず良いことで返ってくるということを伝えているのではないでしょうか。

●感謝の気持ちを表す大切さ
鶴は恩を返すため、自分の羽を抜いて機を織ります。誰もが身を削ってものづくりをする必要はありませんが、誰かに感謝するならば、感謝を相手に伝わりやすいカタチで伝えることが大切です。

●約束を破ってはいけない
「機を織る度に痩せ衰えていく娘を心配して」、あるいは「綺麗な布にどうやって織っているか気になって」、おじいさん達は中をのぞいてしまいます。約束は守らなければいけないという教訓と共に、相手のからだを心配したための行いが悲劇を招く、あるいは人の欲が悲劇を招く、どちらにしても人間の持つ“性(さが)”や哀しさを表していると思われます。

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「鶴の恩返し」はあまりにも馴染みすぎていて深く考えたことがなかったかもしれませんが、大人になって改めて考えると奥が深いお話ですよね。ぜひ子どもと一緒に童話の世界を楽しんで読んでみてください。

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この記事を書いた人

sari

教育関係に勤めた後ライターに。
子育てももうすぐ終わりです。...

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