今回のコウノドリ第8話では、赤ちゃんが口唇口蓋裂と知ったご両親のお話が描かれていましたね。 赤ちゃんが病気であることを、妊娠中に告げられたご両親の気持ちと、受け入れていくまでのことについて感じたことをお伝えします。
ドラマ中でも言っていたように口唇口蓋裂は、多く見られます。多くは妊娠中に気付かれることもありますが、生まれた時に知る方もいらっしゃいます。
妊娠中に知らされていたとしても、やはり、生まれて赤ちゃんと対面してみるまで、そして対面してからも、たくさんの思いを抱えていらっしゃいます。
「かわいい、、、かわいいって思えるか、本当は自信ありませんでした。」とおっしゃる方、
黙って涙される方もいます。
「ごめんね」と声をかける方、パパとママで全く反応の違う方、実に様々です。
口唇口蓋裂のように手術で対応できるものもあれば、できない病気の場合もあります。長い時間をかけて向き合っていく必要のある病気、命と向き合わなければいけない病気などいろいろなケースがあります。
今回のコウノドリでもあったように、親だからこそその事実を受け入れがたい。入院する子どもの姿を見ることで罪悪感がつのり、病院から足が遠のいてしまうケースもあります。
元 NICU看護師がみるコウノドリ第8話〜赤ちゃんが病気と知った時のママとパパ〜
12,839 View今回のコウノドリ第8話では、あかちゃんが口唇口蓋裂と知ったご両親のお話が描かれていましたね。
あかちゃんが病気であることを、妊娠中に告げられたご両親の気持ちと、受け入れていくまでのことについて感じたことをお伝えします。
赤ちゃんが病気であることを告げられたときのこと
「あなたがこの子の親なのよ」
そんななか、私の尊敬する先輩に、必ず重症の赤ちゃんのママや、病気をもって生まれた赤ちゃんのママに、名指しで「今日話したいんですけど⚪︎⚪︎さんいますか?」と必ずご指名を受けるほど、信頼を寄せられる看護師の先輩がいました。
その先輩と話すうちに、だんだんとママの表情が変わっていくのがわかるのです。ドラマの中の口唇口蓋裂のあかちゃんのママが、「私がこの子を育てます。」と強く医師に決意表明した時のような表情になっていくのです。スタッフはみんな、赤ちゃんにもママにもできる限り寄り添った対応をしています。でも、その先輩だけ、やはり何かが違っていました。
ある日、先輩に「どうやってお話しているのですか」聞いてみました。
先輩は「「この子があなたの子なのよ。」って伝えているのよ。」手がない、足がない、とかそういうことではなくて「どんな状況でも、この子があなたの子なのよ。」という気持ちで接している。親子の絆はいつだって同じようにあるからね、その時のお母さんの気持ちに寄り添い、言葉はいろいろだし、伝えるタイミングもいろいろだけれど、常にそういう気持ちは持ってお話しているの。」
と答えてくれました。
これは、もしかしたら、こどもが病気のときだけでなく、すべてのママに言えることなのかもしれないと思いました。
一見厳しい言葉のようにも見えるかもしれませんが、ついつい、人間は誰しも、足りないところ、人と違うところに目がいってしまいがちです。生まれてきた子どもがどんな子であっても、それ以前に、自分たちの一つの大切な命であることに変わりないという、最も大切なメッセージを伝えているのだなと思います。
ママの心にすっと解けるようにその感覚が入ってきた時、この子の母親なんだと、ある種覚悟を決めた時、ぐっと母としての頼もしい顔になります。
とはいえ、時には不安になったり、悲しくなったりする日もあると思います。そんな時に、心のうちを開かせる人がいることは、とても安心するのではないかと思います。
私もそんな看護師に、人間になりたいものです。
パパの気持ち、ママの気持ち、家族の絆
ドラマ中に出てくるパパも、口唇口蓋裂のパパのように、ママを支え、「大丈夫」と励ますパパもいれば、ママの体を最優先に考えて苦言を呈するパパもいます。中には駐車場で待っていて、赤ちゃんの姿を見ることもできないでいるパパなど、赤ちゃんに対する受け止め方や表現も様々です。
パパも本当はいろいろな気持ちを抱えていますが、多くの男性は、悲しいとか苦しいということをなかなか表に出すことができないでいたり、なかったことにというか感じていないように振る舞う方も多くいます。そして、ママを守らなくては、家族を支えなければと感じた悲しみやくるしみを心の奥へ押し込めてしまう方も多くいます。
それによって、「なんだかあの人は平気みたい。同じ親なのに、どうしてこんなに気持ちが違うのかわからない」という誤解も起きることがあります。
お互いに素直に感情を伝えあうことができないと、少しづつすれ違ってしまうこともあるので、大切なパートナーにはママもパパも素直な気持ちを伝えあえるといいなと思います。全く同じ感情を共有できないとしても、理解し合うことはできると思うのです。
パパとママがお互いの思いを伝え理解し共有して、そして赤ちゃんの持つ病気や障害を受け止めていけたなら、家族の絆はより強いものになるのではないかと思います。
決して、容易な道ではないと思います。二人だけでは、解決できない時もあるかもしれません。患者家族の会、SNSなどのコミュニティもいいと思います。医師・看護師、地域の専門家、信頼できる友人、たくさんの人の手も借りて少しづつ受け止めていけるといいなと思います。
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