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公開 2015年03月30日  

前置胎盤:警告出血を見逃さない!

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胎盤が子宮の出口付近にかかってしまっている【前置胎盤】。前置胎盤は産後の出血リスクがとても高く、大きな病院での管理が必要な状態です。特に前置胎盤を診断された場合は、【警告出血】の存在を知っておかねばなりません。警告出血を見逃さず、病院を受診する事で、母児共に予後が変わってくる事もあります。


前置胎盤とは?

前置胎盤とは、子宮の出口を胎盤が覆ってしまっている状態です。正常の妊娠だと、胎盤が子宮の出口を塞ぐ事は無く、分娩する際、赤ちゃんはすんなり子宮の出口を通過します。

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しかし前置胎盤になってしまうと、赤ちゃんが通る道が塞がれてしまい、自然に分娩が出来なくなります。前置胎盤の診断は妊娠30週前後にされますが、それ以前から診察時に「胎盤が低めかもしれません」等と、注意を促される事もあります。前置胎盤を診断された場合は、総合病院や周産期センター等の大きな病院に紹介され、入院管理するケースも、とても多いです。何故前置胎盤は、こんなにもリスクが高いのでしょうか?

前置胎盤のリスク

先ほどの図で解説した通り、前置胎盤になってしまうと、自然分娩を試みたとしても胎盤が邪魔をしてしまい、赤ちゃんの通り道が無くなってしまいます。仮に無理に経膣分娩しようとすると、先に胎盤が剥がれないと赤ちゃんの通り道が出来ない事になります。胎盤は赤ちゃんが酸素や栄養を受け取る唯一の道ですので、もしもお産前に胎盤が剥がれてしまうと、赤ちゃんの状態が急激に悪化してしまいます。また、妊娠後期には子宮の血流は、毎分1Lにも達すると言われていますので、胎盤が適切な時期に剥がれないと、大出血をする事になります。そのため前置胎盤は、全例帝王切開術の適応となっていて、出血に備えるために大きな病院での管理が必要となるのです。さらに帝王切開を行ったとしても、術中・術後に大出血する事も往々にあります。何故なら、お産後胎盤が剥がれた部分は、子宮の筋肉が急速に収縮する事で止血がされるのですが、子宮の出口付近は、筋肉量が少ないため止血がなかなかすぐにされず、大出血する事もしばしばあるのです。

警告出血を知ろう

この様に、胎盤が剥がれてしまった場合、大出血をする事がある【前置胎盤】ですが、胎盤が剥がれかける徴候として、【警告出血】とうものがあり、胎盤が低めと診断された方々には是非覚えておいて欲しい所見です。警告出血とは、膣から突然不正出血が起こる現象で、妊娠経過に伴い子宮が収縮しやすくなる事等が原因で、子宮の出口にかかった胎盤が剥がれかける・もしくは剥がれてしまう事により、出血してしまう状態です。警告出血を認めた場合は、入院管理が必要となる事が多いため、前置胎盤を疑われた方が、警告出血を認めた場合は、必ず通院先に連絡する事が大切です。

またその際、電話で症状を伝える時に、

「胎盤が低めだと言われている」

事をしっかりと伝えましょう。

まとめ

子宮の出口を胎盤が塞いでしまう【前置胎盤】。自然分娩が不可能なだけでなく、産前・産後ともに大きな出血が予測される疾患です。「胎盤が低め」と言われた方は、妊娠期間中特に【警告出血】に注意する様にしましょう。

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