まず、新生児訪問制度とは何でしょうか。厚生労働省HPでは、このように説明されています。
新生児訪問を受けられる時期や回数は各市町村によって若干異なりますが、一般的に「産院を退院後から2~4ヶ月までの間」で、「1回または2回」受けられます。「お1人目のお子さんのみ」の市町村もあれば、何人目でも受けられる市町村もあります。
ただ、このサービスは強制ではなく「希望した方」が対象なので、保健所や保健センターに「出生報告はがき」を出していないと受けられないことがあります。
また、里帰り中であっても受けることができます。住民票がなくても「赤ちゃんが生活している場」で受けることができる、ありがたい行政サービスなのです。
新生児訪問とは、具体的にどのようなことをするのでしょうか?
まずは問診です。ママが育児で不安に感じている点や、どのような育児をしているのかなどを質問されます。次に赤ちゃんの身体を診てもらい、湿疹などのトラブルケアの説明や、体重測定などを受けます。授乳についても、ママのおっぱいの状態に合ったラクな吸わせ方の紹介や、ミルクの追加量が適切かどうかのアドバイスを受けることができます。
それだけでなく、産後の体調に合わせた食事の摂り方の工夫や、2人目以降のときは上のお子さんとの関わり方についてなど、その方に合わせた内容を教えてもらうことができるサービス、それが新生児訪問です。
私は助産師なので、新生児訪問をしています。新生児訪問歴は18年で、今まで数千人の赤ちゃんのお家へ訪問してきました。
新生児訪問に伺うとよく「新生児訪問て、体重を計って終わりだと思っていました」「こんなにゆっくり話せるとは知りませんでした」という声を聞きます。「未熟児しか受けられないと思っていたので」とか、出生報告の葉書を出すことすら知らなかった…という方もいらっしゃいます。
そんな声を聞くと、新生児訪問のことをよく知らないのはもったいないなぁと感じます。妊婦健診や入院中は、マンツーマンで1時間、ゆっくり相談する機会はほとんどなかったのではないでしょうか?新生児訪問は、約1時間「無料」で個別に相談できる良いチャンスなの。ぜひ活用していただきたいのです。
訪問を予定していた日の朝に「あせもがひどいので訪問は受けずに病院に行きます」と連絡があったことがあります。
「赤ちゃんに日常的にできやすいあせもだからこそ、生活の中で改善できる工夫を一緒に考えましょう」とお伝えし、ご自宅に訪問しました。乳児湿疹の場合、生活の中で改善できる点やケアできることもたくさんあるからです。その方はお洋服の枚数やお風呂の入れ方を変えるなどを実践し、数日で湿疹はきれいになりました。
私はいつも、「新生児訪問を受けて、少しでも育児が楽しくてラクになるコツをつかんでもらえますように」と祈るような気持ちで訪問しています。また、かわいい赤ちゃんに会えるだけでもうれしいものです。
中には、訪問する助産師との相性が合わなくて、期待していたような訪問指導が受けられないこともあるかもしれません。また、産後は疲れているから来客は面倒くさい、ということもあると思います。ごくごくたまに「散らかっているので玄関先で」という方もいらっしゃいますが、赤ちゃんとの生活の場を見ることで、よりその方に合った具体的なお話ができることもあります。
日本中どこに住んでいても、保健所・保健センターの新生児訪問は受けられます。里帰りが長い方は里帰り先でも受けられるので、ぜひご活用くださいね。
詳細は、お住まいの保健センターにお問い合わせください。