話題のドラマ「コウノドリ」元NICU看護師目線でみる、赤ちゃんとママのはじめての対面編のタイトル画像
公開 2015年11月12日  

話題のドラマ「コウノドリ」元NICU看護師目線でみる、赤ちゃんとママのはじめての対面編

7,365 View

先週のコウノドリではNICUに入院した赤ちゃんとママのはじめての対面の場面が描かれていましたね。この初めましての瞬間はとても大切にしています。はじめましてを繋ぐのはNICUの看護師です。そんなひとつの素敵な場面のお話です。

出典:http://amanaimages.com/info/infoRF.aspx?SearchKey=11044012402

先週のコウノドリではNICUに入院した赤ちゃんとママのはじめての対面の場面が描かれていましたね。NICUとは、新生児集中治療管理室の略で、ドラマの中のように低出生体重児や、天性の病気など治療を必要とする新生児に、24時間体制で提供する治療室のことです。

ママと赤ちゃんのはじめましてを繋ぐのはNICUの看護師です。NICUで働いていた看護師として、そんな素敵な場面のお話を紹介したいと思います。

NICUに入院するということ

赤ちゃんがNICUに入院するということは、ママにとってそれまで一心同体だった赤ちゃんと離れた場所で過ごすこと。それはとてもママにとって悲しくて不安なことで、赤ちゃんにごめんねの気持ちを持つママが多いのです。

自分の身体も手術の後で動けない状況の中で、赤ちゃんは無事なのか、本当に心配で心配でたまらない。そんなお母さんばかりです。

そんなママと赤ちゃんがはじめてNICUで会う瞬間。ドラマ「コウノドリ」の中ではNICUの看護師は出てきませんが、現実では、その瞬間をサポートするのはNICUの看護師です。私自身、とても大切にしたい場面のひとつでした。

その瞬間はその親子、その家族によって反応がまったく違います。その時にNICU看護師として感じていたことをお話します。

NICUにいる赤ちゃんとの初対面!その時のママと赤ちゃんは・・?

ママが、NICUに入院した赤ちゃんに初めて会う時、嬉し涙のママもいれば、かわいそうと涙される方もいます。

どちらも本当にすてきな瞬間です。なぜなら会えてホッとしたと涙する姿も、ごめんねと涙する姿も、どちらも愛に溢れているから。会えて嬉しいと涙するお母さんに、赤ちゃんもよろこんでいるよと伝えます。

ごめんねと涙するお母さんにも、ママに会えて赤ちゃん喜んでいるよと伝えます。だって、本当に赤ちゃんは喜んでいるから。ママがそばにきていること、自分のことを想っていること、ちゃんとわかっています。

赤ちゃんなりのサインをいっぱい出して喜んでいます。だから、泣いてもいいんです。どんな涙でも、赤ちゃんはちゃんとわかっています。

心に「しっかりしなくちゃ」と無理を重ねなくていいんです。赤ちゃんの前で泣きたくなければ、場所を用意します。あんなに小さいなんてと思うのも当然あっておかしくない反応です。

どんなことがあっても、赤ちゃんはその状況を、自分だけこんな目に、、、なんて思ったりはしません。どんな時もママを想っています。

生きてうまれてこれなかった赤ちゃんも、空に還った赤ちゃんもみんなママを想っています。苦しめようとか、悲しませたいとか、何かの罰だとか、けっしてそんなことはありません。赤ちゃんたちはとても純粋で、健気でまっすぐママのことが大好きです。

赤ちゃんてすごいでしょう?

ママは予期せぬ出産に戸惑い、悲しみ、罪責の気持ちを感じる方が多くいます。NICUでは、ママ達が少しずつでも赤ちゃんの思いに気づき、ママと赤ちゃんとの間に絆がしっかりとあることを気づいてもらえるよう赤ちゃんからのメッセージを伝えていきます。

そうすると、すこしずつママの顔は和らぎ、そして赤ちゃんとの優しい時間が流れ出すのです。最初から笑顔で会えなくてもいいのです。ママ自身も深く傷ついています。赤ちゃんはママの元気を応援しています。お腹の中でも、生まれてきても、入院して離れた場所にいてもママと赤ちゃんは繋がっています。

少しずつ、ゆっくり、ママも癒されながら、その姿に赤ちゃんも癒されていきますように。

Share!