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  5. 障害のある子もない子も、全員の居場所がある学校 ~映画「みんなの学校」~

障害のある子もない子も、全員の居場所がある学校 ~映画「みんなの学校」~

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すべての子どもに居場所があることを目指し、児童と教師だけでなく、保護者や地域の人たち皆で作っている学校があります。その大空小学校の実践を丁寧に取材し、撮影してきたTVドキュメンタリー「みんなの学校」は大きな反響を呼び、やがて映画化されました。
娘の中学校時代の様子を重ね合わせながら、映画「みんなの学校」を紹介したいと思います。

2006年に大阪市に新たな小学校が開校しました。当時、木村泰子初代校長と教職員皆で、どんな学校を作りたい?今までにない新しい学校を作りたいよね?と話し合ったそうです。結局、何が新しいのか?がわからなかったそうですが、木村泰子校長先生の思いは一つ、「すべての子供に居場所がある学校を作りたい!」。その思いは、他の教職員の思いと重なり、大空小学校はスタートしたそうです。

大空小学校には、校則がありません。その代わり、「自分がされていやなことは、人にしない、言わない」という「たった一つの約束」があります。

理想の学校とは?障害のある子がいたら、迷惑?

障害のある子もない子も、全員の居場所がある学校 ~映画「みんなの学校」~の画像1

皆さんは、どんな学校が理想でしょうか?理想の学校の条件を書き出してみましょう。

・安全で、安心できる場になっている。
・学力をしっかりつけてくれる。
・何かあっても、先生に相談しやすく、一緒に考えてくれる。
・いつも笑いが絶えず、子どもも教職員も楽しそう。
・学校の中の様子がわかりやすく、地域に開かれている。

細かく書き出せば、それぞれ個別の思いがあって、多少の違いはあると思いますが、以上のようなことは、ほとんどの保護者にとって理想的ではないか?と思います。

では次に、重度といわれる障害のある子が普通学級で過ごす、と聞くと、どんな風に思われるでしょうか?特に、大きな声を出したり、立ち歩いたりするような子も、皆と一緒の教室で学んでいると聞けば、驚かれる方は、まだまだ多いのではないでしょうか?

こんな不安を持たれる方が多いのではないかと想像します。
・授業が妨害されて、学力が低下するのではないか?
・先生方は、その子にばかり手がかかり、真面目に授業を受けている子は放ったらかしになるのではないか?
・先生の数が足りなくて、負担ばかりかかって、先生方がかわいそう。
・重度といわれる障害のある子は、特別支援学校へ行く方が幸せなのに。その子の親は、子どものことを考えていない。

「すべての子どもに居場所のある学校」であるべき

ところが、全国には、どんなに重いといわれる障害のある子も、皆と同じ教室で一緒に過ごしている学校があります。

大空小学校もその一つです。
大空小学校の様子を関西テレビが取材し、初めは夕方の報道番組で10分程度紹介されました。

やがて、45分や75分のドキュメンタリーとして放送されたのが「みんなの学校」です。

その全てにおいて、大きな反響があり、文化庁芸術祭の大賞や、日本放送文化大賞準グランプリを受賞するなど高い評価を得て、映画化されました。

映画館では、上映期間を延長するほどの盛況ぶりで、一度終了した後にも、またアンコール上映をされる程の話題となりました。

大空小学校には、映画化された後も開校当時からの9年間、不登校の子が一人もいません。
他の地域では、困った子とレッテルを貼られていた子も、大空小学校に来てから、大人を信頼するようになっていきます。以前は、モンスターペアレントというレッテルを貼られていたお母さんも、我が子が毎日学校へ通うようになり、どんどんキレイなっていかれたそうです。障害があっても、障害児とも言いません。

誰にとっても居場所があることって、子どもだけではなく、大人にとっても、障害の有無に関係なく、とても大切なことであり、最も大切にされるべきことだと思います。

障害のある子もない子も、全員の居場所がある学校 ~映画「みんなの学校」~の画像2

多様な人間が一緒に過ごすことで成長する、それは子どもも大人も同じこと。

私の娘も、最重度といわれる知的障害があります。娘は、小中ともに地域の学校で過ごしました。大半の時間を普通学級で過ごしました。

中学時代も、娘は授業中は立ち歩いたり、大きな声を出していました。確かに、親としては、周りの友達に申し訳ない気持ちはありました。ただ、子ども達はあまり気にしている様子はなくて、先生方の方が最初はヒヤヒヤしていたようです。ですが、子ども達の動じない様子に気がつき、やがて先生方もあまり気にならなくなっていったようです。

先生方が生徒たちを大きな声で叱ると、娘はパニックを起こしてしまうので、仕方なく子どもたちの肩をポンポンと叩いて、「ねえねえ、それはいいことかな?よくないね。」と優しく言うようにしたそうです。すると、怒鳴っていた時には、全然言うことを聞いてくれなかった生徒たちが、よく話を聞いてくれて、ビックリした!とおっしゃっていました。

娘の卒業式で言われた言葉

娘の卒業式では、式を終え生徒らが体育館を退場した後に、一人の先生が保護者席へ来られて挨拶されました。
先生がおっしゃるには「今まで教師をしてきた中で、3年間で一番成長したと感じるのが、この学年です。」と泣きながら話してくださり、私たち保護者も先生方の愛情の深さを感じて、もらい泣きになっていました。

その後、あるお母さんが私のところへ来て、「さっきの先生の話だけど、うちらの子がこんなに成長したのは、あなたの娘のおかげだと思ってるの。少なくとも、私はそう思っているから。」と伝えに来てくださいました。

そのほかにも、ほとんど会話を交わしたことのないお母さんからも「3年間、お母さんもお疲れ様でした。私は、障害のある人もない人も一緒に過ごしたらいいと思ってる。一緒に過ごすのががいいとかよくないとかというよりも、みんなが同じ場所で過ごすことは自然で当たり前なことだと思ってる。」と言いに来てくださいました。その上、「同じように思ってる方は、たくさんいると思いますよ~」と。

実は、そんな娘の学年は不登校の子がいませんでした。最近の中学では、珍しいと言われていました。成長したのは「娘のおかげ」ではなく、子ども達自身の力のはずです。子ども達の方こそ、娘にとって、居心地のいい場を作ってくれていたことで、結果的に、娘だけではなく、皆にとっての居心地のいい場を作ることができたのではないか?と思っています。

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インクルーシブ教育 教育 遊び・教育

この記事を書いた人

井村よしみ

大阪府在住。子育て支援の活動を少し、最近は、ガラスアクセサリー作りをしています。
娘は最重度の知的障害があり、地域の小中学校、支援学校高等部を経て定時制高校に...

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