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公開 2015年10月10日  

将来賃金に関係がある!?いま注目の「非認知能力」を育む、子どもとの家事シェアのススメ

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子どもに対しての「オテツダイ投資」が子どもの将来賃金に効果的だって知っていますか?家事を子どもに教えることは、むちゃくちゃ面倒くさいし大変だけど、必ずそれだけの価値があります。お手伝いを通して子どもに家事を教えることが、どんなに価値があるか、ある研究の結果を元に紐解いて行きます。夫婦だけでなく、子どもも一緒に「家事シェア」をしてみましょう!


目次
小学生の頃、大っ嫌いだった「お風呂掃除」
家事力が将来の子どもの収入に与える影響とは?
「家事ができる人」が駆使している3つの力
お手伝いを始めるのは何歳から?
家庭で「自分の役割」として家事をすること

こんにちは!NPO法人tadaima!の三木です。

これまで、パパとママの家事シェア。夫婦間でいかにして家事をシェアするかについてを書いてきました。でも家事シェアとは、夫婦間で家事をサポートしあう事だけではありません。子どものお手伝いや、家事のアウトソーシングも含めたもう少し大きな視点での「わが家の家事」と言うことで、今回は子どもとの家事シェアについて考えていきたいと思います。

小学生の頃、大っ嫌いだった「お風呂掃除」

思い返せば僕が小学生くらいの頃。お風呂掃除が僕の担当でした。このお風呂掃除が嫌で嫌でたまらなかった!TVを見ていたいし、かがんで床をこすったりするのが億劫だし。やったフリだけして、適当にサボったりした日も結構あったと思います。

でも、そんな日はなんとなく罪悪感が芽生えるんです。湯船につかったときになんだか側面がヌルヌルしているように感じたら、サボったことがバレるんじゃないか!?とヒヤヒヤしていました。

そして、このお風呂掃除、なぜか父親がうるさかったのです。

石鹸受けがヌルヌルしてるだの、隅っこにピンクカビがはえてきただの。使ったシャンプーのキャップが開けっ放しだの。後で使う人の身になって使えだの。

当時は本当にイライラしました(笑)

でも、父親からの注意は今でもハッキリ覚えているし、僕が掃除をする時の基本にもなっているんです。足でこすってみたり、スポンジを右手と左手に持ってやってみたり、いかに楽をして掃除をするかを工夫するようになりました。

最終的には毎日全部やるから大変なんだ!と考え、床掃除(腰高までの壁面&浴槽エプロン含む)の日・湯船掃除の日・壁面タイルの日、と日によって場所を変える作戦に落ち着きました。もちろん時間も手間も3分の1位になりました。

3日でローテーションがまわり、全ての場所の掃除をするので、カビだらけになるほど汚れることもありませんでした。

こういった父親からの注意や、自分なりに創意工夫をした経験は一人暮らしをはじめた時はもちろん、結婚をして子どもが生まれた今でも生きていると思います。

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家事力が将来の子どもの収入に与える影響とは?

突然ですが、みなさんは子どもに家事のこと、ちゃんと教えていますか?

「面倒くさくって、あんまり教えてないかも」と思った親御さん。心配しないで!みんなそうです(笑)

「母親からみた子どもの家事教育」によると、実は家事を「きちんと教えた」と解答しているママは1割程度。正直、家事をきちんと教えることはとても面倒なことでもありますよね。事実、同調査でも「親が忙しくて教えている余裕が無い」44%。「子どもが受験勉強などで忙しい」も同じく44%!さらに「家事よりも勉強が大事!」と思っているママは52%もいます!

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※「母親からみた子どもの家事教育」旭化成工業共働き家族研究所

家事って大切だよ!といつも思っている僕にとっては、とても悲しい結果ですが家事やお手伝いは「まぁ、余裕があればできたらいいな」と言う優先順位になってしまっているのかもしれません。

家事に対してあまり積極的でないパパさん達が口にするのは「家事は得意な妻に任せたほうが効率的です」や「レシピを確認しながらじゃないと料理できません」など苦手意識の高さ。

それでは、ママ達は家事が得意かと言うと、実は得意なわけではない人が大多数なんです。感覚値ですが、「家事得意!」ってママさんは全体の1割未満程でしょうか。得意なママも「料理は好き」など分野にわかれる傾向があります。

はっきり言って、日常生活を営むための家事は「得意・不得意」の問題ではなく「できる・できない」の問題なんです。

「家事ができる人」が駆使している3つの力

ではなぜ家事が「できる」のでしょうか。得意か不得意かは問わず「家事ができる人」が駆使している3つの力をご紹介します。

・創造性(問題を解決するために、必要な事を発送する力)
・やり抜く力(決めたゴールに向かって最後までやり通す力)
・人間関係能力(コミュニケーション力。人への気遣いや道徳観)

家事を行うには、限られた資源(冷蔵庫にキャベツと豚バラが少ししかないぞ!)で、いかにして問題(晩ごはんのレシピどうしよう?)を解決(キャベツと豚バラを和風だしで煮込んだら旨いかも!?)できるか、という創造力が必要です。家事をパパッと手間なくやっちゃう人は、ある物でできることを工夫して行う力に長けています。

家事が「できない」と諦めきっている人は、家庭内においてこれらの力をあまり駆使していないのかもしれません。

さて、上記で上げた3つの力は「非認知能力」と言われています。非認知能力とは「忍耐力がある」「協調性がある」「自制心がある」など、IQやアチーブメントテストに代表される認知能力では測れない力の事。

この非認知能力が高い事が将来の賃金や雇用に良い影響をしていることが、最近の研究で明らかになってきました。(※)

子どもに家事教育を行うことはこれら非認知能力のトレーニングにもなるのです。事実、お手伝いを幼いころによくしていた人は意欲関心・人間関係能力・文化的作法教養が高いと言う結果も出ています。

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お手伝いを始めるのは何歳から?

どんなお手伝いを、いくつからさせたらいいのでしょうか?
こちらの図をご覧下さい。

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年齢別お手伝い実践一覧 ミサワホーム

この図によると、3歳くらいから簡単なお手伝いを始め、8歳位でだいたいのお手伝いができるようになります。つまり、この3歳から8歳の5年間は徹底した家事の基礎体験をする時期なのです。

お手伝いによって、はじめての道具にふれ、親の真似をして、できなかった事が「できた!」となる体験をさせることができます。この頃の子ども達はお手伝いが大好き!「お手伝いしたい!わたしがやりたい!」となんでもやりたがります。さっさと家事を終わらせたい親にしてみたら、なかなかに煩わしい時期とも言えてしまうかもしれません。

でも、こんなにも楽しく家事を吸収する時期もなかなかありません。色々な道具に触れる機会。家族の「ありがとう」がどうしたら生まれるのかを知る機会。

3歳から8歳の5年間をそう捉えてみると、子どものおねだりも貴重な学びの時間に変わるかもしれませんね。

家庭で「自分の役割」として家事をすること

僕の尊敬している先輩ママさんで、何があっても子どもは家庭において家事をすべき!との方針を貫いている方がいらっしゃいます。

朝起きたら家族みんなで家の掃除。寝坊して遅刻しそうだって、容赦しません。受験当日の朝だって、いつも通りちゃんと家事をやってからでかけます。子どもにしても、親にしてもそれだけのルールをキチンと守るのはなかなかハードです。

でも、小さな頃から家事を(イヤイヤでも、時に全力で逃げながらでも!)やって来たお子さんたちは、家族のために素敵なご飯を作ったり、家庭の事情で色々と困っていた友達を家に呼んで「うちで暮らせばいい!」と一緒に暮らしたり。お話を聞いているだけでも、強さと優しさ、そしてしなやかさを身につけながら成長しているんだと感じます。

もちろん、いいことばかりではなくて、大変な事の方がたくさんあるとは思いますが家事を徹底させることで子ども達が身につける社会性や力は偉大だと感じさせてくれます。

子どもに家事を教えることは、成績とは直接関係はないかもしれません。でも、家事を教えることで、子ども達の一生に渡って活きる「生きるための基礎」を伝えることができます。それは家事スキル、なんていう枠にはおさまらない力だと僕は思います。

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子どもとの家事シェア、ぜひ楽しんでみて下さいね!

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