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公開 2015年09月11日  

35万フォロワーの“てぃ先生”独占取材!「子どもの今を思いっきり楽しむ」〜保育士としての想いを語る〜

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ツイッターで話題のてぃ先生。フォロワーがなんと35万を超えています!子どもたちとの微笑ましいやり取りが印象的なツイートの数々ですが、その裏には、保育士としての真っ直ぐな「スタンス」がありました。子育てにも多くの示唆をくださった独占インタビューをお届けします。


てぃ先生ってどんな人?

みなさん、いま話題の保育士てぃ先生をご存じですか?



現役保育士として働きながら、園児たちの日頃の言動をTwitter上にアップ。Twitterから垣間見えるてぃ先生と園児たちとの心温まるやりとりが大反響を呼び、なんとフォロワー数は現在35万人超!

書籍も出版され、近頃ではテレビやイベントにも出演されるなど、いま話題殺到中の人気保育士さんです。

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お友達とケンカをした女の子(4歳)が物陰に隠れていじけていたから、「先生にお話し聞かせて?出ておいで」と言ったら「やだ」と言うので、「わかった。あっちで待ってるね」と言ったら「まって。あと 3かい『でておいで』って いったら でるかもしれないよ」って。何だそれ。可愛すぎるだろ。

園庭で遊んでいる時、男の子(4歳)が「あついねー」と言ったら、女の子(4歳)も「あついねー」と言って、男の子が「なつ だからねー」と言ったら、女の子も「なつ だからねー」と言って、男の子が「だいすきー」と言ったら、女の子も「だいすきー」と言った。何それ、先生もやりたい。羨ましい。

今回はそんな大人気てぃ先生に、Conobie編集部が特別インタビュー!



てぃ先生がどのような想いで保育に携わっているのか、また、子育てにおいて保護者の方が悩みがちなポイントについて、保育士の目線から答えてくださいました。

「子どもの良いところを伝えたい」その想いから始まったツイート

編集部ツイッターのフォロワー、35万人もいらっしゃるんですね。



てぃ先生:そうですね、自分でも驚いています。



編集部:園児たちの日常をTwitterにつぶやくようになったのは、どんなきっかけでしょうか?



てぃ先生:最近のニュース番組やネットの情報などを見ていると、「子育ては大変」とか「つらい」といった声ばかりが、いわば社会問題として取り上げられていますよね。



それももちろん、事実としてあるのでしょうけれども、保育士として関わっていると、そういった子育てのマイナス面ばかりが伝わってしまうのはもったいないと感じて。子どもと関わることの良いところをみんなに知ってもらえればと思って、園と保護者の了承を得て始めました。



編集部:ツイートからは、子どもたちと接するスタンスにとてもポリシーを感じるのですが、てぃ先生が子どもと接する上で心がけていらっしゃることは、どんなことですか?



てぃ先生:そうですね…。



気をつけていることはいくつかありますが、あくまで僕自身の中でできた考えなので、「僕の考えに賛同してよ」とか、「誰かにそれを押し付けたい」というものではないのですが、それでもよければ・・・。



編集部:もちろんです!ぜひ、ひとつの意見としてお伺いできれば嬉しいです。

「基本的に子どもは叱りません」大切なのは大人が作っている環境を変えていくこと

てぃ先生:まず、基本的に気をつけているのは、何事も「決めつけない」ということです。



例えばおもちゃの取り合いが起きている場面を見たとしますよね。そういう時、「この子が正しくて、この子が悪い」というようには決めつけることはしません。



その場面でおもちゃを取ったように見えた子も、もしかしたら元々使っていたおもちゃを他の子に取られて、取り返しただけかもしれません。



ですから、まずは事実確認をしっかりしたうえで、声かけをするということを大切にしています。



編集部:なるほど。最初から結論ありきで関わらないということですね。



てぃ先生:そうです。あとは、子どもたちの自由にするということも心がけています。



例えば、ブロック遊びひとつとっても、大人だと「組み立てる」という遊びしか思いつかないですよね。でも子どもたちは、自由に遊ばせてみると、いろいろな方法で遊ぶことができるんです。



ブロックの場合、いくつか積み上げると棒のようになりますよね。その棒を的に見立てて残りのブロックを投げて当てる、という新しいゲームまで考えてしまうんです。



こういう場面を見ると、大人はすぐに「ブロックを投げるのは危ないからだめ」と言ってしまいがち。でも、周りのお友達にぶつけるわけではなく、しっかりとそれが正しいルールの中で行われているのであれば、僕はそれでいいと思うので、止めません。



まずはなんでも自由にやらせてみるということを大切にしています。

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編集部:子どもたちが持っている文脈というか、流れをよく見ていないといけませんね。



てぃ先生:そうですね。

大人が「だめ」と禁止したり、注意したりする場面をよく見てみると、実は子どもが悪いわけではないことが多いと思うんです。



例えば子どもがうるさくしてしまうのは、子どもが悪いのではなく、「大人が騒いでしまう環境を作ってしまっている」から起こってしまうんですよね。静かにしてほしいのならば、うるさくならないような活動を考えたり、そういう環境をつくってあげればいいのではないでしょうか。



また、「本当に騒いではいけない場面なのか」ということを考えることも大切だと思います。

子どもに怒ってしまうのは、子どもに期待しすぎているから!?

編集部:ただ日頃子育てをしていると、頭では分かっていても「注意しない・怒らない」というのはなかなか難しいものです。何を心がければよいのでしょうか?



てぃ先生:そもそも大人が子どもを怒ってしまうのって、「子どもに期待しすぎている」からだと思うんです。



例えば、子どもがしっかりと「片づけられる」と思っているから「片づけて」と指示をして、子どもがそれをできないと怒ってしまう。子どもが自分の期待にそぐわない行動をしているように見えるから、怒ってしまうのです。



だから、まずは「その子の今の姿をよく見て声をかける」ということに気をつけてみるといいのではないでしょうか。



例えば、12時頃に子どもにご飯を食べてほしいとして、その10分前にいきなり「片付けなさい」と言っても子どもは片づけをしたがりません。なぜなら、その遊びに夢中だから。



そうではなく、例えば11時半頃に遊びがひと段落して飽きてしまっているタイミングがあれば、それを見計らって「ちょっと片づけをして、ママのお手伝いしてほしいな」と伝えてみる。そうすれば、子どもは喜んでやってくれるかもしれない。



編集部:たしかに、子どものその時の状況に関わらず、大人の都合で動かそうとしてしまうことって、結構あります・・・。



てぃ先生:この「子どもに期待をしすぎない」ということは、難しいですが、結構重要だと思っています。



「子どもが夜寝てくれない」という保護者の方からの相談もよく受けるのですが、よくよく話を聞いてみると、「7時には寝かせたいんです」と。でも7時って、大人でも「寝て」と言われて寝るには、少し早すぎると思いませんか?(笑)

早く寝てほしいと期待するのではなくて、眠くなるまで待っていてもいいと思うんですよね。



「ご飯を食べてくれない」というのも同様で、おなかがすいたら食べればいいくらいの気持ちでいればよいではないでしょうか。7時にはご飯を食べてほしいと期待しているから、食べてくれないと怒ってしまう。でも、その子にはその子のタイミング、状況があると思うんです。



保育園の僕のクラスでは、何時にお昼ご飯を食べましょうというルールは作っていません。12時くらいに声かけをすると、お腹がすいた子は遊びをやめて片付け始めます。そして、先に片付け終わった子から「いただきます」をします。



一方、そのときにまだ遊んでいたいって言う子は「どうぞどうぞ」と言って、そのまま遊ばせたままにしているんです。そういう子たちも、おなかがすいたら自分で片付けを始めて席につきます。



12時に食べるはずが、夕方5時6時まで食べない、というなら考えものですが、それが12時か12時半か、というくらいならば、その子の食べたいタイミングに合わせてもいいと思うのです。



この時、「社会性が」「協調性が」といったことを気になさると思いますが、この点は他の活動で補えばいいだけ。食事だけでそういったことを身につけるわけではないですからね。

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自分の子育てに自信を持ってほしい ~周囲ではなく、「その子の今」を見てあげて~

編集部:てぃ先生が日頃気をつけているポイント、子育てにも参考になる点がたくさんありました。Conobie読者のパパやママに伝えたいことはありますか?



てぃ先生自分の子育てに自信を持ってほしいなと思います。

だって、子育てって正解なんてないじゃないですか。周りから何と言われようと、その子どもに合ってさえいれば、僕は何でもアリだと思います。



だから、変に周りを気にして、一般的によいと言われているやり方を試すよりも、まずは自分がやっていることに自信を持ってもらえたらなと思います。



うまくいったらそれでいいと思いますし、うまくいかなかったら、また自分なりに考えてみる。考える時には、周囲の意見を鵜呑みにするのではなく、「この子には今何が必要なのか」ということを大切にするのがよいのではないでしょうか。



「おむつは3歳までにとれるようにしましょう」というように、何歳何カ月までにこれができていないとだめ、という情報も多いですが、本来ならば家庭ごと、子どもごとに違っていいものだと思います。



だから、周りの子どもを気にするのではなくて、自分の子どもをしっかりと見て、何が必要なのかを考えてみてもらえると嬉しいなと思います。



編集部:子どもの今と向き合う中に、答えはあるということでしょうか。



てぃ先生:そうです。

そうして自分のやっていることに自信がもてると、まずお父さんとお母さんが明るくなるんですよね。周りと比べずに子どもを見られるようになると「我が子がいちばん!」と感じられるようになるからだと思います。



「我が子がいちばん!」というのは、特別に何かに秀でているという意味ではなく、いちばん可愛いとか、いちばん元気とか、生活の部分で自信を持っているということですよね。そんなご両親の気持ち感じると、子どもも自然と元気になります。



編集部:たしかに、子どもにとっても親がそういった姿勢で見てくれているというのは、自信につながりますよね。



てぃ先生:自信をつけるという意味では、僕はあらゆることにおいて子どもたちを褒めまくります。



極端にいえば、「歩くのうまいね」とか「傘の差し方うまいね」とか言って、褒めます(笑)



当たり前のことでも、毎日毎日たくさん褒めてもらえると、「僕ってなんでもできるんだ!」という自信がついて、新しいことにチャレンジしてくれたりするんですよね。



「座り方かっこいいね」「靴はくのはやくなったね」「お着替えはやくなったね」「お洋服たたむのうまいね」など、褒めることはなんでもよいと思います。



「うちの子、何にもできないんです」という視線で子どもを見るのではなくて、細かいことから褒めてあげれば、子どもは「僕って何でもできるんだ!」という自信がついていくと思います。



編集部:跳び箱がとべたとか、かけっこ1番になった、ということでなくても、信頼している大人から、どんなに小さなことでも褒められることが自信につながっていくんですね。



てぃ先生:日頃の当たり前のことから褒められていれば、たとえ跳び箱がとべなかったとしても、「跳び箱はとべなくても僕は他のことはできる!」という自分への安心感にもつながります。



日々、どんなに小さいことでも構いません。子どもを見て、小さな変化を見つけて、褒めてあげてほしいなと思います。



(インタビュー:終)

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「子どもの『今』を楽しむこと」 ~編集後記~

周りと比較することなく、子どもたちの「今」をしっかりと見つめ、子どもの自由な発想や行動を尊重する。そこには保育士としての技術もあると思いますが、なによりてぃ先生は、そんな子どもたちとの日々を心から楽しんでいるようにみえます。その一貫した姿勢こそが、ツイートの人気の秘密かもしれませんね。



そんなてぃ先生のまんが第二弾がもうすぐ発売です!発売日は10月23日。アニメイト限定版には「おはなしCD」の特典付きで、すでに予約受付中とのこと。



ぜひみなさんチェックしてみてくださいね。

日頃の子育てのヒントになる内容がたっぷり詰まったインタビューでした。



てぃ先生、ありがとうございました!

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