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公開 2015年09月18日  

長くかかるお産も、赤ちゃんにとって必要な時間なんです~助産師からのメッセージ~

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1時間で産まれてくる子、50時間かかる子、赤ちゃんによって、産まれてくるために必要な時間は様々です。早いから安産、遅いから難産ではないんですよ。


「初産婦12~15時間」これはあくまでも平均

初めてのお産は、半日くらいかかります。そう言われて、12時間は覚悟されている方が多いように思います。でもそれは、あくまで平均です。初産婦でも2時間でお産になる方もいれば、24時間かかる方もいます。



『あと何時間かかるの~?』とはよく聞くセリフですが、辛くともいつかは産まれるのです。陣痛も、右肩上がりに強くなる方もいれば、強くなったり弱くなったりを繰り返す方もいます。たどった経過が、その母子にとっての『お産』です。

早ければ安産、と簡単には言えない理由

初めてのお産でスピード出産された方は『2~3時間で産んだの?楽だったね~』と言われることでしょう。しかし本当に楽だったのでしょうか?楽だったと感じる方もいらっしゃるかもしれませんが、それでもキツかったと感じる方が多いと思います。



例えば、硬い股関節。開脚しようと思っても、なかなか開きませんよね。毎日ストレッチすることで、徐々に開くようになるでしょう。子宮口も同じです。一度も開いていない子宮口が開くのは、大変なことです。弱い陣痛で徐々に負荷がかかって開いて行くのと、急激に強い力が加わって、一気に開いていくのとでは、負担が違うのです。初めてのことには、それなりに時間が必要です。



ゆっくりゆっくり花びらが1枚1枚開いていくように、子宮口が開いていきます。急激に開いた子宮口の場合、負荷が強すぎて切れてしまう場合もあるのです。特に冷え症の自覚のある方に多いような気がします。もちろん、スピード出産でも、何ともない良いお産もたくさんあります。スピード出産が悪いというわけではありません。

長くかかる陣痛で赤ちゃんも準備をする

長くかかる陣痛が、赤ちゃんに負担にならないかというご心配もあるでしょう。赤ちゃんは、陣痛が起こっている間、子宮収縮(陣痛)の度に血液の流れが緩やかになります。



でも大丈夫です。私たちも1分くらい息を止めると多少苦しくなりますが、特に影響はないですよね?赤ちゃんは、私たちよりも少ない酸素で、おなかの中で生活しています。陣痛は長くても1分。1分たてば十分な血液が流れます。



元気な赤ちゃんであれば、苦しくなるほどではありません。ギュッと圧迫されて、解放されて、少しずつ子宮口に向かって進んでいって、戻って…そういうことを繰り返す中で、産まれる準備を進めていきます。

母子の数だけ、それぞれのペースがある

お産は、人と比較するものではありません。自分と赤ちゃんが向き合う時間です。その母と子にとって必要な時間です。あっという間に産まれても、長く時間がかかっても、二人にとって必要な時間。たっぷり楽しんで、たっぷり満喫して、これからの育児の糧にしてください。

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