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公開 2015年03月30日  

妊娠中の10ヶ月間の過ごし方

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妊娠期間中は、わずか10ヶ月間の間に胎児が3Kgまで成長します。それに伴い、体内の血液量は約1.5倍になり、お母さんの体重は約10Kgも増加します。この様な劇的な変化に上手に対応し、分娩時まで体調を整える事はとても大切です。今回は、妊娠全般・初期・中期・後期にわけて、上手な過ごし方を解説します。

出典:http://amanaimages.com/info/infoRF.aspx?SearchKey=10144000720

妊娠全般のアドバイス

最も大切なのは、バランスの良い食事を心がける事です。妊娠中は赤ちゃんの成長を補うためにも、妊娠前よりも多くの栄養を摂らなければなりません。しかしバランスを考えず食事量を増やすと、カロリーばかり摂取してしまい、体重が増えすぎてしまう事がしばしばあります。体重が増えすぎてしまうと、妊娠高血圧症候群をはじめとした、様々な妊娠合併症を引き起こす原因となります。妊娠中の必要栄養量はしっかりとチェックし、自分の献立を見直して、足りない栄養素はサプリメント等でフォローする事が大切です。

また妊娠中の注意点として、妊婦さんの血液はとても固まりやすいというものがあります。とくに、「血栓症」と呼ばれる疾患で、下肢の太い血管内の血液が固まってしまい血栓ができる病気に注意が必要です。命にも関わる事があり、一般的には「エコノミークラス症候群」として知られています。血栓症を防ぐ為に、十分な水分を摂取する・適度な運動をする・寝転がっているときも良く足を動かす・寝転がる時は適宜体位変換する(子宮による大きな血管の圧迫を防ぐため)等を意識的に行う事が大切です。

妊娠初期の注意点

妊娠初期において最も問題となるのは、やはりつわり(妊娠悪阻)に対してどのように対応していくのかです。つわりのピークは妊娠8-12週と言われていますが、実際はつわりがとても長い間続く事方も多いのです。つわり中は、食事も満足に摂れなくなる事も多々ありますが、あまりにカロリーを摂取しないと「ケトン体」という代謝排泄物が体内に蓄積してしまい、より吐き気が増強してしまいます。そのためつらくても水分・糖分をこまめに摂取する事が大切です。

また、妊娠初期はお母さんの体が大きく変化する時期です。体を巡る血液量は、妊娠中約1.5倍にもなると言われ、それに伴い、心臓が1回に送り出す血液量も増加し負担が掛かります。そのため妊娠期間中は、動悸や息切れがおこりやすく、さらに増加した血液により頭の血管もむくみやすくなるため、頭痛等も良く見られます。妊娠初期から始まるお母さんの体の変化に徐々に慣れていく様にする事が大切です。

妊娠中期の注意点

食生活については、とにかくバランスの良い食事を心がける事が大切です。つわりの時期の、とにかく食べられる物を食べるという食事から、バランスを重視した食事に移行しましょう。いわゆる「食べつわり」の食生活を、体調が回復してからも続けてしまい、体重が増加しすぎてしまうお母さんがとても多いのです。またこの時期から特に意識したいのが、十分な鉄分を摂る事です。赤ちゃんの体の成長に伴い、大量の鉄分が必要となるため、日々の食事でしっかり鉄分を摂取して下さい。

また妊娠中期から、お腹の張りを訴える方も増えてきます。軽い張りであれば、少し横になって休んでお腹の張りの変化を観察しましょう。段々強くなる・出血を伴う・腹痛を伴う等のサインがあったときは病院にちゃんと連絡して、専門家の指示を仰ぐ事が大切です。

妊娠後期の注意点

お腹もかなり大きくなり、動くのが億劫になる時期です。しかし、自然分娩にしろ、帝王切開にしろ、お産前後は非常に体力を使います。ちゃんと頑張れる様に適度な運動を継続する事が大切です。さらに、この時期は特に大きくなった子宮により、下半身の血流が遮られやすく、上述した「血栓症」にもなりやすい時期です。運動が難しい場合でも、寝たまま・座ったままの姿勢でも良いので、足をしっかりと動かしましょう。

また分娩が近くなるにつれ大切になるのが、胎動回数のチェックです。赤ちゃんの状態と胎動回数は非常に密接な関係があります。昔は妊娠末期に胎動が少なくなるといった事が言われていましたが、妊娠末期でも急に胎動が減少する所見は赤ちゃんが危険なサインの事もあります。一日数回、赤ちゃんの胎動回数をチェックしましょう。10カウント法(赤ちゃんの胎動が10回おこるまでにかかった時間をチェックする方法)により、特に道具等も必要無くチェック可能です。

まとめ

妊娠期間を通して、食生活・適度な運動はとても大切です。妊娠中の過ごし方について、上記を参考にしながら、時期に合わせた、無理のない対応をしましょう。

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