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公開 2015年03月30日  

妊娠初期におこなわれる妊婦健診の内容

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妊娠が判明してから産婦人科を受診して、安定期に入るまで、一体病院ではどのような事をチェックしているのでしょうか?今回は「妊娠初期」のチェック項目について解説します。

出典:http://amanaimages.com/info/infoRF.aspx?SearchKey=11071000516

胎児の成長チェック「妊娠判明から心拍確認・妊娠週数の決定まで」

妊娠反応検査が陽性になって産婦人科を受診すると、まず行う検査が経膣超音波です。膣から超音波を挿入し、赤ちゃんの袋(胎嚢)が子宮の中にしっかりと見えるかどうか確認します。超音波検査を行う理由は、妊娠反応検査で陽性となっても、それが正常妊娠とは限らないためです。子宮内に胎嚢が認められない場合、「子宮外妊娠」の可能性もあるので、妊娠反応が陽性となったらなるべく早目に受診する事が大切です。さらに正常妊娠が確認できたら、1-3週間ごとに超音波検査で、子宮の中を観察します。



胎嚢成長→胎児心拍確認(5-6週)→妊娠週数の確定(8-11週)



といった流れで、胎児の成長を追っていきます。



妊娠週数というのは、生理周期が28日型の女性を基準に考えられていて、最終生理の開始日を妊娠0日として表されます。しかし、生理周期が長い女性では、実際の妊娠週数と上記の妊娠週数では解離が生じてしまいます。そのため、妊娠8-11週の胎児の大きさに個人差が最も少ない時期に、頭臀長(頭〜お尻の長さ)を測定して妊娠週数と分娩予定日を正確に決定します。

妊娠初期検査による、妊娠・分娩リスクの評価

分娩予定日が決定できたら、妊娠初期の各種検査(採血・子宮頸がん検査)を行います。採血検査では、あらかじめ妊娠合併症のリスクとなり得る項目をチェックし、対応出来るものに関しては、早い段階で対応する事により、そのリスクを減少する事ができます。

採血検査で行う項目



・ 血液型検査

緊急時の輸血等にいつでも対応出来る様に、血液型のチェックを行います。さらにRh型という、普段私達がイメージする血液型(ABO型)とは別の血液型もチェックします。Rhが(−)だった場合、お母さんの血液内の物質が赤ちゃんの血液を壊してしまう病気になる事があるので、妊娠中期とお産後にその発症を予防する注射を行います。また血液型にはABO型、Rh型以外にも様々なものがあるので、それらも一緒にチェックします。

・ 貧血の検査

妊娠中は胎児の体を作る為に、血液の材料である「鉄」が大量に消費されます。鉄は私達の体内で、貯金箱に貯める様に蓄積されていますが、もともとの鉄が少ないと妊娠中貧血がひどくなってしまう事が多いのです。

・ 感染症

B型肝炎・C型肝炎・風疹・梅毒・HTLV-1・トキソブラズマ(施設により基準が異なります)等をチェックします。これらの感染症は、胎児の奇形を引き起こしたり、妊娠・出産時に母親から胎児に感染してしまったりします。しかし早目に感染症の存在を知る事で、出産方法の選択や治療薬により、胎児感染リスクを下げる事ができます。

・ 血糖値

妊娠中は血糖値が上がりやすい体質になります。血糖値が上がりすぎてしまうと、胎児が大きく成長しすぎる事により、胎児の心臓に負荷が掛かってしまい最悪子宮内で亡くなってしまう事があります。血糖検査で高値だった場合、さらに詳しい検査を行い、血糖のコントロールを行う事が重要です。

妊娠初期に見られる胎児の異常

妊娠4-7週は、「器官形成期」と呼ばれ、様々な臓器が一斉に作られます。安定期に入るまでに、比較的超音波で発見しやすい異常に「無脳症」・「無頭蓋症」というものがあります。葉酸の不足によって引き起こされる、「神経管閉鎖障害」の一種で、脳が全く出来ていなかったり、頭蓋骨・脳が全く作られなかったりといった異常が認められます。さらにこの時期には、神経管閉鎖障害以外にも、胎児の命に関わる様な大きな奇形が見つかりやすい時期です。

まとめ

妊娠がわかってから安定期に入るまでの期間では、

「正常妊娠の確認〜分娩予定日の決定」

「妊娠初期検査によるリスクの把握」

「超音波検査による大奇形のチェック」

を大きくチェックしています。まずは正常妊娠しているかどうかを診断する事が最も重要ですので、妊娠検査薬が陽性に出たらなるべく早く病院を受診し、超音波検査で子宮内をチェックしましょう。

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