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公開 2015年03月30日  

食事とサプリメントによる妊娠前後の上手な葉酸の摂り方

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妊娠前1ヶ月から妊娠中、胎児の成長に欠かせない「葉酸」。妊娠中どのくらい摂取する必要があり、自分の食生活で十分摂取できているのかをしっかりと確認する事が大切です。さらに、葉酸が通常よりも多く摂取する事が推奨されているケースについても解説します。


葉酸の一日摂取推奨量は?

細胞分裂に欠かせない(つまり胎児の成長に欠かせない)葉酸ですが、まずは一日にどのくらい葉酸が必要なのかを把握しないといけません。葉酸(ビタミン9)の摂取推奨量は、妊娠前:240μg 妊娠中:480μg 授乳中:340μgです。



といわれても、どの食品をどのくらいとったらいいのか分からないですよね。ここで、以下に代表的な食物をあげておきます(μg/100gあたり)。



ほうれん草(110)、アスパラガス(180)、オクラ(110)、モロヘイヤ(70)、アボカド(80)と、緑黄色野菜に沢山含まれている事が分かります。さらにうなぎやレバー等にも多く含まれています(これらの食品はビタミンA過剰症になりやすいので、摂り過ぎに注意)。また納豆や豆腐等、大豆製品にも含まれています。このように緑黄色野菜に多く含まれる「葉酸」ですが、食事だけで十分量の摂取は可能でしょうか?

和食・洋食による葉酸摂取量比較

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葉酸を多く含む食材を知った上で、実際の献立で検証してみます。和食・洋食でこの様な献立例を用意しました。



和食:ご飯・納豆・卵焼き・みそ汁・ほうれん草おひたし・漬け物

洋食:食パン・卵焼き・ウィンナー・グリーンサラダ・オレンジ・牛乳



この献立で摂取できる葉酸の量は、

和食:240μg

洋食:83μg

妊娠中の一日葉酸摂取推奨量を3食で割ると、480÷3=160μgですので、この献立では、和食で十分摂取できている一方で、洋食では不十分という事になります。この例からもわかる通り、緑黄色野菜や大豆製品が多い和食を食べる日本人には、葉酸不足はおきにくいと言われていました。しかし、近年の食生活の欧米化やジャンクフードを中心としたバランスの悪い食生活により、日本人でも葉酸を意識的に摂取する必要があることがわかります。



さらに妊娠中は、例に挙げた様な「伝統的な和食」を意識して毎日食べる事ができるかもしれませんが、妊娠適齢期の若い女性の方で、日常的にここまでちゃんとした食事を摂る事が出来る方は非常に少ないと思います。以前の記事で解説した様に、妊娠する1ヶ月以上前から十分な葉酸摂取が必要ですので、妊娠を意識した時から、毎日の食事で葉酸が足りないと思ったら、サプリメントでフォローする事が大切です。

葉酸摂取が通常よりも多量に必要なケース

この様に妊娠前後の葉酸摂取は、バランスの良い食事とサプリメントによるフォローによって意識的に行う必要があります。特に葉酸不足は前の記事で解説した様に、妊娠極初期におこる脳や脊髄の異常である、「神経管閉鎖障害」を引き起こすリスクを上昇させてしまいます。実はこの神経管閉鎖障害の発生リスクを減少させるために、通常の妊婦さんの約10倍の葉酸摂取が推奨されるケースがあります。

・ 前の妊娠で、胎児が神経管閉鎖障害であった

・ 抗けいれん薬を内服している(カルバマゼピン・バルプロ酸)

・ 潰瘍性大腸炎治療薬を内服している(サラゾスルファピリジン)

これらのケースに該当する場合は、妊娠前〜妊娠3ヶ月(妊娠12週)まで通常の10倍量の葉酸摂取をする事で、神経管閉鎖障害のリスクを下げる事ができると言われていますので、自分が上記のどれかに該当するかをしっかりと確認して下さい。10倍量(約4mg)の葉酸摂取は、食事やサプリメントだけではかなり難しいので医療機関に相談して、高用量葉酸の薬剤を処方してもらう必要があります。

まとめ

葉酸は、1日3食バランスの良い和食中心の生活だと、妊娠中の推奨量も十分摂取できますが、近年の食生活の欧米化やジャンクフードの出現により、妊娠適齢期女性が食事だけで十分な葉酸を補う事は、かなり稀であると言えます。自分の食生活をちゃんと把握して、サプリメントを上手に利用していく事が大切です。さらに、前回神経管閉鎖障害・抗けいれん薬内服・潰瘍性大腸炎治療薬内服をしている場合は約10倍量の葉酸摂取が推奨されているので、妊娠前に必ず医療機関にかかって下さい。

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