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公開 2015年03月30日  

妊婦の禁煙!のススメ

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喫煙は、皆さんが想像している以上に健康被害が強くなっています。

それは、本人の喫煙だけでなく、他人の煙を吸い込む「受動喫煙」に関しても同様です。今回の記事では、何故喫煙が妊娠に影響を与えるのかについて、詳しく解説します。妊娠中はもちろん、産後お子さんが成長する上でも、夫婦そろって禁煙する事は大変重要です。


喫煙が体に与える影響

タバコの煙には、4000種類以上の化学物質が含まれており、そのうち2000種類以上が有害物質であると言われています。タバコによる健康被害について考えると、「肺がん」というフレーズがすぐに頭に浮かびがちですが、実はタバコによる影響で、最も考慮すべきなのは血管に対する影響です。特にタバコの有名な成分であるニコチンは、非常に強い血管収縮作用を持ちます。さらに煙に多く含まれる一酸化炭素は、七輪やガスストーブによる事故死でも有名ですが、血液の重要な役割の一つである、全身に酸素を運ぶはたらきを妨げ、慢性的な酸素不足の状態を引き起こします。この様にタバコは、体の血管・血液に非常に悪影響を及ぼすのです。

ところで皆さんは体の中に一体どれだけの血管が存在するかご存知でしょうか?血管は私達の体の隅々まで張り巡らされており、人間の血管を全てつなげると、なんと地球を2周半もすると言われています。言い換えると、血管に悪影響を与えるもの=全身に悪影響を与えるという事なのです。

喫煙は、何故妊娠に悪影響なの?

お母さんと赤ちゃんを結ぶ【胎盤】が、血管の塊だからです。お腹の中の赤ちゃんは約10ヶ月間、胎盤を介して酸素や栄養を取り込み成長します。言い換えると、赤ちゃんにとって胎盤が唯一の生命線なのです。

しかし、ニコチンにより血管が収縮してしまうと、胎盤の血管が収縮してしまい、赤ちゃんは十分な栄養を受け取る事ができません。さらに先述した一酸化炭素は、容易に胎盤を通過し赤ちゃんの血液内に入り込むため、赤ちゃんはお母さんの子宮内で酸欠状態になってしまいます。特に妊娠初期の体が出来上がる時期(器官形成期:妊娠4−7週)に、タバコによる様々な影響を受けてしまうと、流産や胎児奇形等とても強い悪影響を受けてしまいます。

タバコによる影響をうける結果、流産・早産・胎児奇形・胎児発育不全・胎児死亡・乳児死亡・常位胎盤早期剥離・脳発達障がい等妊娠中のありとあらゆる異常が起こり得る事になり、妊娠中の喫煙に関して良い点は一つもありません。

中でも胎児発育不全は特に顕著で、一日20本以上の喫煙によって胎児の体重が約350gも抑制されるという報告もあります(5-20本で250g)。たかが350gと思うかもしれませんがそれは大きな間違いで、新生児の体重は約3000gほどですので、喫煙により、1割以上体重増加が抑制されるという事になり、とても大きな数字です。

受動喫煙にも注意を!パートナーの禁煙も重要

他人の煙(副流煙)を吸い込む事を【受動喫煙】と呼びますが、実は副流煙には、ニコチンが約3倍、一酸化炭素が約5倍も含まれており、受動喫煙に対しても、しっかりと注意する必要があります。そのため妊婦さん本人だけでなく、パートナーや周りの家族も一緒に禁煙する事が大変重要です。

また妊娠中だけでなく、産まれたお子さんが成長する過程で、受動喫煙により乳児期の突然死・呼吸器感染症・喘息・行動以上(注意欠陥多動性障がい)・学習障がい・肥満・血圧上昇等、様々なリスクを増加させてしまいます。そのため子供の成長の事もしっかり考え、妊娠を期に夫婦揃って禁煙を強く心がける事が大切です。

まとめ

受動喫煙を含む妊娠中の喫煙は、胎盤の異常を引き起こすために様々なリスクを上昇させます。さらに、産後の小児発達においても、喫煙は非常に強い影響を与えてしまいます。そのため妊娠を期に、夫婦揃って禁煙に取り組む事が非常に重要です。

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