江戸時代に何度か、幕府によって贅沢を禁止する「奢侈禁止令」が発令されたのだそう!
派手な刺繍や絞りの着物は贅沢品だとして禁止され、その禁令の中で工夫を凝らして生み出されたのが、江戸で発展した着物「東京友禅」や「江戸小紋」なのだそうです。
関西のファッションは派手で、関東は地味。そんなイメージには理由があった!(2ページ目)
4,213 View根底の文化が違うのかも
関東の着物が地味なのは、幕府が発した禁令のせいだった!
大阪のおばちゃんといえば、ヒョウ柄や金ラメが入った派手な服装を想像してしまう。
おばちゃんに限らず、関東と関西の若者のファッションを比べても、やはり関西は派手で、関東のほうが地味という印象がある。
そして、この構図はなんと着物にも当てはまるのである。
例えば友禅だ。
友禅とは花や鳥といった自然美の模様を着物に染めて表すもので、町人文化が栄えた江戸時代に盛んになった染め方である。
東京友禅と京友禅を比べてみると、東京友禅は色合いが抑えられていて渋めの文様となっているが、京友禅は色彩が豊かで絵画的に動物や器類などが描かれていて非常に華麗だ。
江戸小紋と京小紋にも同じことがいえる。
小紋とは、小さな文様を単色で型染めしたもので、江戸時代には小紋を染めた麻の裃が武士の正装とされていた。
それが江戸中期になって町人文化が栄えると、町人にも小紋が広まったのである。
その小紋のうち、江戸小紋は遠目から見ると無地に見えてしまうほど非常に柄が細かい。
一方、京小紋は当初こそ単色だったものの、次第に多彩な色が使われるようになり、柄も具象柄が多くなった。
こうして、江戸小紋とはまったく印象が違う色鮮やかな京小紋が生まれたのである。
京小紋が華やかなものへと変化したのは京友禅と互いに影響しあったからだといわれている。
それにしても、なぜ東京の着物のほうがおしなべて京都より地味なのか。
その理由は、江戸時代に何度か幕府によって発令された贅沢を禁止する「奢侈禁止令」にある。
これによって派手な刺繍や絞りの着物は贅沢品だとして禁止されてしまったのだ。
その禁令の中で工夫を凝らして生み出されたのが東京友禅であり、江戸小紋だったというわけだ。
一見地味だが、通ならではの装いだった。
これが江戸のファッションだったといえるだろう。
現代では、着物を普段着としている人はめったにいないが、関西より関東のファッションのほうが地味な印象なのは、東西で異なる着物文化が根底に残っているからかもしれない。
出典:『関東と関西 ここまで違う! おもしろ雑学』(三笠書房/2019年刊行)
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