1. >
  2. >
  3. >
  4. 「個性は真っ直ぐ伸びていくもの。親が思い通りに伸ばせるものではない」乙武洋匡氏が語る子育て観

「個性は真っ直ぐ伸びていくもの。親が思い通りに伸ばせるものではない」乙武洋匡氏が語る子育て観

「個性は真っ直ぐ伸びていくもの。親が思い通りに伸ばせるものではない」乙武洋匡氏が語る子育て観のタイトル画像

今をときめく「気になるあの人」が、どのような環境で育ち、どのように親が関わったことによってその個性が磨かれたのでしょうか。その『原石の磨き方』を明らかにしていく当インタビュー特集第4回目。大学在学中に出版した『五体不満足』(講談社)がベストセラーになり、その後も小学校教諭等を経て、様々な活動をされている乙武洋匡氏にインタビューを行いました。

母が私に対して初めて抱いた感情は「喜び」だった

かわいい――。



母が初めて私を目にした瞬間、口にした言葉だそうです。



母と私が対面したのは、出産から1ヶ月後でした。病院側が必要な検査や、親と対面させるための準備をしてくれていたためです。母がびっくりして気を失って倒れてしまうかもしれないからと、先生方は別室にベッドを用意するなど準備してくださっていたそうなんですが、きっと拍子抜けだったと思いますよ(笑)。



もちろん、両親にもその前後でいろんな葛藤がなかったわけではないと思います。例えば赤ん坊のころ、両親を悩ませていたのは、とにかく眠らないことと、ミルクを飲む量が極端に少なかったこと。これにはさすがの母も不安だったようです。



でも、両親は悩んだ末に開き直ったのだとか。



「他の子と大きく違う形で生まれてきたんだから、寝る時間やミルクの量を比べたってしかたがない」「これくらいは、誤差の範囲」だと(笑)。



両親がそんな風に受け止めてくれたので、私は手足がなく生まれてきたことは、ある意味ラッキーだったんじゃないかとも思うんです。そういう両親のスタンスが、私の人生の支えとなっている自己肯定感―自分を愛する力―を育んでくれたのだと感じています。

私の負けず嫌いは、障害に関係なく褒められたかったから

「個性は真っ直ぐ伸びていくもの。親が思い通りに伸ばせるものではない」乙武洋匡氏が語る子育て観の画像1

幼いころは、とにかく負けず嫌い。でも、他の子の負けず嫌いとは少し違っていたと思います。



私は、みんなと同じこと、例えば、歩く、食べる、字を書く――それだけでも褒められることが極端に多かった。ただ、どうして私だけが褒められるのだろうと不思議に思っていました。



ある時、そこには「あなたは障害者だから何もできない」という前提があるからだと気づいたんです。そう考えると、褒められていながらも、どこか見下されているような、複雑な気持ちでした。



で、ここからが、負けず嫌いの本領発揮です(笑)。



純粋に結果としてみんなよりも秀でていれば、障害者ということに関係なく褒められる。それで褒められたなら、自分も素直に受け止められるんじゃないか――。



だから、クラスで一番勉強ができるようになりたい、一番字が綺麗に書けるようになりたい、そんな風に思うようになったんです。

担任の先生もクラスメイトも特別扱いはしなかった

小学校時代、1~4年生を担任してくれた先生の基本方針は、できるかぎり私の手伝いをしない、まわりの子どもたちにもなるべく手伝わせないというものでした。



例えば帰りの支度なんかも、私は全部自分でやるので相当な時間がかかってしまうんです。そうしたらある時先生が、クラスメイトが私を待っている間に「ゴミを5つ拾ってゴミ箱に捨てよう」と提案したんです。



けれど先生は「乙武くん以外のみんなは」と言わなかったので、あろうことに私は自分の支度を中断してゴミを拾ってしまったそうなんです。しかも口で……。



普通ギョッとしますよね。でも、先生は驚きはしたものの、それを止めることはしなかったんです。私ができる精一杯のことをしているだけなんだから、と。



先生が私を特別扱いしなかったから、クラスメイトも「僕らは僕らの、乙武は乙武のベストを尽くす。それは、同じことだから」という感覚に、自然となっていったんだと思います。

親に認められることの大切さ

「個性は真っ直ぐ伸びていくもの。親が思い通りに伸ばせるものではない」乙武洋匡氏が語る子育て観の画像2

小学校の教諭をしていたときのことです。



「先生、いいでしょ!うちの娘」



個人面談で、大抵のお母さんが我が子のダメ出しから始まる中、一人だけ、第一声がそんな言葉だったお母さんがいました。



でもその子は、飛び抜けて勉強やスポーツができるわけではなかった。ただ、いつも朗らかで笑顔を絶やさず、彼女のまわりには必ず友だちが集まっていました。



私はお母さんのこの言葉を聞いたとき「ああ、こういうことなんだ」って、彼女の姿とお母さんの言葉が一本の太い線でつながった気がしたんです。



人間性を形成し、他人を満たし、惹きつける人格をつくりあげるのは、勉強や運動が優れているかではなく、どれだけ親に認められて、肯定されて育つのかが重要なんだと。私自身、そのお母さんに親としてのあり方を学ばせてもらった気がしています。

生徒を褒め続けたことで、親子関係まで変化した

「個性は真っ直ぐ伸びていくもの。親が思い通りに伸ばせるものではない」乙武洋匡氏が語る子育て観の画像3

関連する記事

この記事に関するキーワード

個性と自己肯定感 個性・多様性

この記事を書いた人

[Conobie編集部]

子どもの個性をのばすために、ママパパが楽しく子育てライフを過ごせるように、さまざまな情報をお届けします!...

もっと見る

  1. >
  2. >
  3. >
  4. 「個性は真っ直ぐ伸びていくもの。親が思い通りに伸ばせるものではない」乙武洋匡氏が語る子育て観