出会いは3歳の幼馴染み。とても立派でどこまでも面白い、そんなあなたがやっぱり好き。のタイトル画像
公開 2022年10月12日  

出会いは3歳の幼馴染み。とても立派でどこまでも面白い、そんなあなたがやっぱり好き。(2ページ目)

3,726 View

幼馴染っていいよね、とわりと思っているほうなので子どもたちの縁もできる限り長く続くといいなと思ったりします。



頭がよかったなっちゃんは賢い高校へ行って、賢い大学へ行って、賢い大学の大学院へ行った。

テスト勉強もせずに一緒にくだらない遊びばかりやっていたのに、なっちゃんは立派だった。

けれどなっちゃんは立派になってもずっと変わらず、いくつになっても会えばくだらなくて面白かった。


今年の夏、なっちゃんに何年かぶりに会った。

なっちゃんには子どもが4人いる。

そのうちのふたりは女の子で、完全になっちゃんと同じ顔で、それはまるで一緒に保育園でお絵描きをしたなっちゃんと、一緒に図鑑の「スベスベマンジュウガニ」を発見したなっちゃんだった。

なっちゃんと同じ顔のいつかのなっちゃん達は、当然だけれどなっちゃんとは違う性格で、なっちゃんと違う話し方で、なっちゃんとは全然違う子どもたちだった。

いつの日のなっちゃんも知っている私は、いつかのなっちゃんがそこにいるような錯覚と、全然違う人間と話している現実がごっちゃになって、少し混乱した。

嬉しくて楽しい混乱だった。

なっちゃんは仕事をバリバリこなして30代の若さで住宅ローンを完済していて相変わらず立派だったし、雨の中びしょ濡れになって子どもたちと本気の鬼ごっこをしていてやっぱりなっちゃんだった。


出会いは3歳の幼馴染み。とても立派でどこまでも面白い、そんなあなたがやっぱり好き。の画像1
pixta_83986140_S


実は2歳児クラスから幼稚園に通っている末っ子にも、年少さんクラスに上がった初日から仲良くしているお友達がいる。

年長さんになった今もずっと仲良しで、なにをするにもいつも一緒だ。

おのおの、ほかに仲の良いお友達もいるようで、最近名前を聞かないなという時期もあるのだけど、気が付けばまた前のように名前が出て、お休みすれば寂しがってもいる。

ほんの少し、私となっちゃんを重ねてしまう。

そして、長女と長男にもそれぞれ幼稚園から仲のいいお友達がいて、有難いことに小学校が離れた今もそれぞれ親密な関係が続いている。

この先いろんなステージでいろんな友達ができるだろうし、彼らの人間関係がどう変わっていくかは分からないけれど、もしかすると私となっちゃんみたいに、いつか大人になったその時もまだ一緒に遊んだりすることがあるのかもしれない。

遥かの先で、まだ交わって、大人になった彼らが笑い合うのを想像すると、おやおやこれはなんとしてでも長生きせねばという気持ちになる。

まだまだ彼らの行く先にはたくさんの出会いが待っていることは承知しているけれど、笑う彼らの顔を見ると、どうしても未来永劫こうしてずっと仲良くいてほしいな、と思ってしまうものでもあって。

「スベスベマンジュウガニ」や「戦艦ポチョムキン」が今も私の中で異彩を放っているみたいに、彼らにも永遠に忘れられないくだらない思い出がたくさんできるといい。

そうやって積み上げた思い出の先で、もしまた出会えたのなら、ほんの少しでいいからふすまの隙間からそっと覗く程度でいいから私も混ぜてほしい。

美味しいお茶くらいは用意するので。


※ この記事は2024年04月11日に再公開された記事です。

Share!

 限界。愛しい。三人育児のタイトル画像
限界。愛しい。三人育児 #78
ハネ サエ.のタイトル画像 ハネ サエ.

関連情報