頭がよかったなっちゃんは賢い高校へ行って、賢い大学へ行って、賢い大学の大学院へ行った。
テスト勉強もせずに一緒にくだらない遊びばかりやっていたのに、なっちゃんは立派だった。
けれどなっちゃんは立派になってもずっと変わらず、いくつになっても会えばくだらなくて面白かった。
今年の夏、なっちゃんに何年かぶりに会った。
なっちゃんには子どもが4人いる。
そのうちのふたりは女の子で、完全になっちゃんと同じ顔で、それはまるで一緒に保育園でお絵描きをしたなっちゃんと、一緒に図鑑の「スベスベマンジュウガニ」を発見したなっちゃんだった。
なっちゃんと同じ顔のいつかのなっちゃん達は、当然だけれどなっちゃんとは違う性格で、なっちゃんと違う話し方で、なっちゃんとは全然違う子どもたちだった。
いつの日のなっちゃんも知っている私は、いつかのなっちゃんがそこにいるような錯覚と、全然違う人間と話している現実がごっちゃになって、少し混乱した。
嬉しくて楽しい混乱だった。
なっちゃんは仕事をバリバリこなして30代の若さで住宅ローンを完済していて相変わらず立派だったし、雨の中びしょ濡れになって子どもたちと本気の鬼ごっこをしていてやっぱりなっちゃんだった。
公開 2022年10月12日
出会いは3歳の幼馴染み。とても立派でどこまでも面白い、そんなあなたがやっぱり好き。(2ページ目)
3,726 View幼馴染っていいよね、とわりと思っているほうなので子どもたちの縁もできる限り長く続くといいなと思ったりします。
※ この記事は2024年04月11日に再公開された記事です。
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限界。愛しい。三人育児
#78
ハネ サエ.
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