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公開 2022年08月16日  

育児中、私だけ食卓を囲めない…寂しさを抱えながらも気づいた温かな事実

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食事の時間、慌ただしくて一緒に食事をとることもできない毎日。

そのことに寂しさや苛立ちを感じていた私ですが、あることに気付いたら、心がふんわり温かくなりました。


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慌ただしすぎる食卓で、いつも感じること


育児中、食事の時間はとにかく「慌ただしい」の一言です。

わが家は2人の未就学児を年子育児中。
食事時間は、まったく気の休まることがありません。

「ママ―、あれこぼした」
「ママ、牛乳とって」
「ママ、これ食べたくない」

ママ、ママ、ママ、ママ!

一体、何回呼ばれているのか、数えきれないほどです。

テーブルについてゆっくり食べるなんて、とてもじゃないけど難しい状況。



育児書によく書いてある「家族で食卓を囲んで笑顔のコミュニケーションを」なんて、夢のまた夢。

キッチンで立ち食いが平常運転、食育なんて考えていられないのが正直なところです。


バタバタしている私をしり目に、ゆったり座っている夫に対してイラっとする時もありました。

「私は作ってばかりで、家族のだんらんに参加できてない!」


そう思って電話で実母に愚痴ると、「母さんだって同じよ!そんなものよ」とあっさり受け流されてしまいました。

子どもとして、かつては母をバタバタさせた身でありながら、悩みに共感してもらえず、少し孤独を感じてしまいました。


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息子の一言で気付いたこと


やがて世界的な感染症が広がり、子ども達が4歳と3歳になった頃。

夫は在宅勤務になり、ワンオペ年子育児から解放されました。

最近では、いつもではないけれど、子どもと一緒に食卓の椅子に座って食事ができることも増えてきました。



夫もミールキットなどを使って食事作りをしてくれるようになり、食事の支度自体もかなりラクに。


「ママが作ってくれるご飯、美味しい!」

そう言って、ニッコリ笑う子どもたちに癒される日々。

毎日慌ただしかったけど、これでやっと食卓に参加できる……

そんな幸せをかみしめていた私に、ある日、息子が言いました。


「これ、ママの味だね!」

息子が食べていたのは何の変哲もない、ひじきの煮物。

その時、唐突に気付いたことがありました。


一緒に食卓を囲めなくても


以前、電話で実母と話していた時、「食卓にはゆっくり座ることができなかった」と母も話していました。

2人子どもがいて、夫は仕事でほとんど不在&義理の両親と同居していた母。


当時の母の慌ただしさは相当なものだったと思います。

でも、母親が食卓にいなかったからといって、私はそんなに寂しさを感じていませんでした。

祖父母がいてくれたのもあるのかもしれないのですが、何より「母の味」があったのが大きかったのだと思います。


お味噌汁とか、ちょっとした煮物とか、名前のない炒め物とか、そういった大げさではない日常に馴染んだ料理。

実家を離れてずいぶん経ってからも記憶にずっと残っているその味。


たとえ母親が食卓に不在でも、その料理が私に愛情を感じさせてくれていました。

そんな母と同じように、私はたしかに子どもたちが幼い頃食卓にいませんでしたし、今も、たまにいないことがあります。


でも、料理は作って、子ども達に食べてもらっています。

そして、子どもがそれを「ママの味」だと認識してくれていることは、きっと、私が体験してきたことと同じなんだと気付くことができました。


料理の味を通じて、伝わるもの


自分が実際に子育てをする前は、子どもとゆっくり座って、話をしたり微笑みあったりする暖かな食卓を思い描いていました。

でも現実は、落ち着いて座ることすらもできない、理想とはかけ離れた毎日でした。

そのことに、悲しみや苛立ちを感じていた私。


でも、きっと子ども達には、私の料理と紐付いた食事の記憶は残っていくのだろうと思っています。

そして、夫の料理とも紐付いた、少しだけ大味な「父の味」の記録も残っていくのかもしれません。


たとえ食卓でゆっくり顔を合わせることができなくても、料理の味を通して子どもたちには愛情や気持ちが伝わり、コミュニケーションが取れていたことに気付きました。

料理は苦手なのですが、これを機にもう少し頑張ってみようと思います(笑)



最近は私も新型コロナのせいでなかなか実家に帰ることができておらず、母の料理を堪能する機会はグッと減ってしまいました。

でも、次に実家に帰った時には、母親にこの気付きを、ぜひ伝えたいなと思っています。



※ この記事は2024年03月22日に再公開された記事です。

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