2軒目のお店には随分といろんな色が揃っていて、またあれこれ背負わせてもらった。
現代のランドセルの頑健さにほれぼれとしながらあれこれ眺めていると、長女が淡いパステルカラーのランドセルを背負いたいと指さした。
私の母が、私たち姉妹が子供だった頃、ことあるごとに口にしていたセリフが脳裏をよぎる。
「今の子ねえ」
そうだ。長女は「今の子」なのだ。
今を生きている今の子はこんな感性で生きているのか、と軽いカルチャーショックだった。
その色は、ほんとうに、私たち世代にはなじみがなく、もちろんそのような色のランドセルを背負っている子を、私が子どもの頃に見たことも聞いたこともなかった。
お店の方にお願いして、背負わせてもらった。
その日、背負ったいくらかのランドセルの中で、そのランドセルは一番長女に似合っていて、「これを背負って小学生になるんだな」とようやく実感のかけらみたいなものを掴んだ気がした。
パステルカラーのランドセルを背負った長女は、さっきまであんなに面倒くさそうにしていたのに、そのランドセルを背負ったとたん「これにする」と即決して、あっという間にお会計と相成った。
後日届いたランドセルを背負った長女は、きちんと小学生だった。
パステルカラーのランドセルは家で見てもやっぱり長女によく似合っていて、とても長女らしかった。
彼女には彼女の世界があって、そしてその世界をこれからもずっと生きていくんだなという感じがした。
公開 2022年07月13日
わが家に並んだ3つのランドセル。それはまるで、3きょうだいの顔が並んでいるようで(2ページ目)
12,653 Viewこの夏、末っ子がランドセルを購入して3人分のランドセルが揃いました。
どのランドセルもとてもかわいいです。
※ この記事は2024年03月14日に再公開された記事です。
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限界。愛しい。三人育児
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ハネ サエ.
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