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公開 2022年06月08日  

末っ子はいつまでも赤ちゃん…。そんな私に「NO!」と言った、娘の小さな反抗(2ページ目)

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5歳の健やかな成長に目を向けていこうと思う次第です。



そんな末っ子もついに年長さんを迎えてしまった。

幼稚園では最高学年であり、もうこれはまぎれもないお姉さん。

分かっちゃいるのだけど、なんせ家には小4と小2がいて、しかも小さい長女と大きい真ん中は同じ身長で双子感が拭えない。

130㎝ 近い姉兄と、幼稚園児の末っ子ではどうしたって、末っ子が小さい。

物理的に。

赤ちゃんからお姉さんへのアップデートが追いついていかないのだ。

頭ではいよいよ分かってはいるのだけど、3人で並ぶとやはり末っ子は小さく「ああ小さいなぁ」と脳が幼さに反応してしまう。


ある日の朝、「おはよう」と眼をこすりながら階段を降りる末っ子に「上手に寝てたねぇ。立派だねぇええええ」と声をかけて気がついた。

これはあれだ。

新生児に対する声掛けである。

私は末っ子がお姉さん階段を上っていることを分かったふりをしながら、まだまだ赤ちゃんだと思っているらしい。

妹の声が蘇る。

このままでは末っ子は赤ちゃん扱いされている日々に不満を抱くかもしれない。

アップデートしなくてはならない。

とうに赤ちゃん砦を脱して、お姉さん階段を上っている末っ子を頭の中に描く。

そう、末っ子はもうお姉さん。

牛乳を自分でコップに入れられるし、シャンプーだって自分でできるし、幼稚園のお荷物だって自分で準備する、立派な立派なお姉さん。


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それでもある日、しぶとく私の頭の中で赤ちゃんだった頃の末っ子の残像が暴れてしまって、つい

「そうなの!!ちゅごいね!!!」

と口をついて出てしまった。

幼稚園の帰りの車の中だった。

「あのさぁ、そういう言い方ちょっと嫌なんだけど」

後部座席でテレビを観ていた末っ子が落ち着いた口調で言った。

私はついに、その時を迎えてしまったらしい。

「あ、えっと、それは、なんで……かな」

「だってさ、赤ちゃんみたいだもん。もうお姉さんなのに」

その通りです。

ほんとにそう。

「あのね、やさしい気持ちで言われることでも、自分が嫌なことはママだって言われたくないでしょ?」

相手の気持ちになって考えてみなさいと諭されている。

しっかりしすぎでは。とってもお姉さん。

紛れもなくお姉さんだ。

なんなら自分本位に赤ちゃん言葉を使っている私こそが赤ちゃんです。

「そうだよね……。ほんとにそう。ママ、もうそんな言葉使うのやめるわ」

心から、けっこうきつめの反省をした。

いくら赤ちゃんだった頃の眩しい残像がちらついたって、思い出は思い出として、今の末っ子を見つめて生きていこう。

赤ちゃんだった末っ子は写真フォルダの中だけで愛でるのだ。

目の前の末っ子はもう、健やかに成長したお姉さんだ。


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少し前に、末っ子にふわっとした胸下切り替えのワンピースを買って帰ったら「着ない」と言われて返品したことがあった。

返品ついでに「自分で好きなのを選んでいいよ」と言って末っ子が選んだ服は、トラッドなタータンチェックのノースリーブブラウスにお嬢さんらしい雰囲気のキュロットスカートの組み合わせだった。

ぜったい私だった選ばないし、視界にも入らないような服だった。

その服を着た末っ子は、いつの間にこんなに手足が伸びたんだろうと思うほどすらりとして、ほとんど小学生のようで、ついこの前まで赤ちゃんの残り香を探し回っていた私はくらくらするような心地になったのだ。

末っ子はお姉さんになった。


※ この記事は2024年03月22日に再公開された記事です。

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